このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2011年8月21日日曜日

加藤則芳 『メインの森をめざして アパラチアン・トレイル3500キロを歩く』

ついにこの大著を読み終えた。
『メインの森をめざして』。




















本書は、著者が2005年にアパラチアン・トレイルをスルーハイクしたときのことを、日記体で綴った作品である。

読む前は、自然と向き合いながらひたすら旅程を記しているような作品なのだろうと思っていた。だから、内容も、あくまで「どんな場所か」の記述が多いのだろうと思っていた。
ところが、実際に読んでみると、風景の話よりも、トレイルで出会った「人」の話が非常に多い。それらの「人」との心のつながり、心のふれあいということに非常に力点が置かれているのである。

著者は作品の終盤で「ソーシャル・トレイル」という言葉を使って表しているが、アパラチアン・トレイルの魅力はまさに「人」にあるのだと、全編にわたって述べられているのだ。

これらの「人」とは、著者の旅をバックアップしてくれる奥さんや友人たちであり、「トレイルエンジェル」と呼ばれる、バックパッカーに対して援助するボランティアであったり、著者と同じくトレイルを歩くバックパッカーであったりする。
特に、同じ苦しい時を同じ目的のために共有するスルーハイカーたちに対する思いは、読んでいて胸が熱くなる。

本書を語るのに多くの言葉は要らない。
できることなら、僕もこのアパラチアン・トレイルを5ヶ月かけて歩くたびをしてみたいと強く思う、ただそれだけである。


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