このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年6月30日土曜日

本田勝一 『日本人の冒険と「創造的な登山」』

本田勝一氏については、僕はほとんど何の予備知識も持っていない。ルポルタージュなどで厳ついことを書いている人という程度の印象で、実際にその文章を読んだことは無かった。
概して、新聞記者上がりのルポルタージュ作家というものに昔からほとんど興味が持てないのだ。

が、せっかくヤマケイ文庫で氏の著作が発刊されたので読んでみた。
それが『日本人の冒険と「創造的な登山」』である。






















本書は著者の著書である『冒険と日本人』『新版・山を考える』『リーダーは何をしていたか』の3冊からピックアップした選集である。

前半は探検と冒険について、後半は山での遭難について、収録されている。

前半の探検と冒険については、首肯すべきところも多々あるものの、大時代すぎてあまり今日性は感じられない。ただ、一ついえることは、著者が繰り返し指摘している、日本人の「冒険」に対する冷淡さや無理解さについては、改善されるどころかどんどん悪化しているように感じるということか。

一方、後半の山での遭難に関する文章は、非常に残念なことだが、全く以って今日性を失っていない。
これらが書かれたのが1980年代初頭であることを考えると、日本の登山界は30年も同じ議論を繰り返しているということか。無念の思いに駆られる。
むしろ、前半部分の「冒険に対する無理解」として指摘されている日本人の気性と相まって、高校生登山に対する規制が厳しくなり、全国の高校からどんどん山岳部が姿を消しているのが嘆かわしいのである。


個人的な話になるが、僕が高校で山岳部に所属していた1980年代後半は、まさに本書で取り上げられているような高校山岳部の遭難事故を受けて、色々なことが禁止されてしまった直後の時代だった。
雪山は禁止、ホワイトガソリンの使用も禁止、岩登りも禁止。
これじゃ、ただのピクニック部だ。
実際、高体連の大会に出ても、競技の中身といえば、重い荷物を背負うことと、道すがら見える山の名前を同定することと、天気図を上手に書くことと、食事のメニューを充実させることぐらいだった。

とはいえ、僕の所属した山岳部の顧問も本書で告発されているような山岳部顧問と同じレベルで、上記のような禁止事項がお上から押し付けられていなければ、僕も成人式を迎えることなく山で死んでいたかもしれない。
実際当時を振り返ると、アイゼンもザイルもなしで広い雪渓をトラバースさせられたり、ペラペラの春装備で猛吹雪の中テント泊させられたりと、今考えればよく無事であったと寒気のする思いである。

せめて自分がオッサンになった今は、自分自身に対しても、同行するメンバーに対しても、厳しく安全登山を求めていきたいと日々考える次第だ。


購入&インプレッション : HAGLOFS(ホグロフス)「GRAM 1」

乗鞍天空マラソンで出場するにあたり、気分を一新して新しいランニングポーチの購入を決意した。
これまでは旧YURENIKUIをつかっていたのだが、なんだかミーハー心が抑えられなくなって、どうしても山岳レース用のポーチが欲しくなってしまったのだ。
おそらく人はこれを「浪費」と言うのだろう。


で、最初に買おうとしたのはノースフェイスのエンデュランスベルトだったが、あいにく全国的に在庫切れ。店員さん曰く、UTMFの影響ですっかり完売状態なんだそうだ。

え?! UTMFでこんな軽装備?! 信じられん・・・。


次の候補として、ホグロフスの「SPRINT LUMBAR PACK」を検討したが、いつの間にか廃盤になってしまっていた。
そこで、同じくホグロフスの「GRAM 1」を購入してみた。
















ボトルホルダーはあるが、ボトルはついておらず、定価6,300円(税込)。
ボトル分だけ「SPRINT LUMBAR PACK」より安いと考えるべきか。
いずれにせよ、僕はペットボトルを使うので、ボトルは要らん。

ポケットの容量は2つ合わせて1リットルらしいが、本当に1リットル分も入るか疑わしい。
もうちょっと、あとほんのちょっとだけ、容量を増やしてほしかった。たとえば、フロント側に1つとか。
このポケットに入れたのは、

  • iPhone
  • いくばくかのお金
  • モンベルのウィンドブレーカー
  • イヤホン
  • 味の素のアミノバイタルのゼリー

で全部。これでパンパン。

とはいえ、ベルトの巻き心地は非常に良く、実際に乗鞍天空マラソンで使用した際も安定感バツグンだった。
また、炎天下のレースだったが、こんなに太いベルトであるにもかかわらず、お腹が蒸れるようなこともなく、非常に快適であった。
これなら、夏のトレーニングでもちょっとシャレオツに走れるかも?



ちなみに、乗鞍天空マラソンで一番多く見かけたのはYURENIKUIの現行モデルだった。
すげーな。<YURENIKUI

2012年6月28日木曜日

購入&インプレッション:adidas(アディダス) 「adizero TAKUMI REN」

使っていたadizero JAPAN wideがいい加減ヘタってきたので、シューズを買い換えることにした。

のだが、JAPANがリモデルしてJAPAN2になって、なんとワイドモデルがなくなってしまった。
なんてことだ!

そこで、前から気になっていたモデルを試してみることにした。
それが「adizero TAKUMI REN」だ。
















「TAKUMI」には「REN」と「SEN」がある。
「SEN」のほうが、エリートランナーのレース用モデルで、「REN」はトレーニング用とされている。
さしずめ、「戦」と「練」といったところか。

この「TAKUMI」、匠の名を冠しているのは伊達ではなく、昨年までアシックスでエリートランナーのカスタムシューズを作っていた三村仁氏が定年退職し、アディダスと組んで発表したコモディティモデルなのである。


「REN」は概ね「JAPAN」と同じ程度の走力を想定しているようだし、ワイドモデルもあるので、まずはワイドモデルを店頭で試着してみた。
すると、なんとつま先がガバガバ。アディダスには無いフォルムだ。とてもアシックスっぽい。

こんなガバガバでは走れないので、ワイドではないほうのタイプを試着すると、まあ何とかなりそうだったので購入。


5kmほど試走してみたが、「JAPAN」とは全く違った特徴を持ったシューズであることが分かった。

まず、グリップの感覚が全然違う。
僕はフラットめに着地するクセがあるのだが、それをやるとグリップしすぎて突っかかってしまいそうになるので、自然とフォアフットで着地するようになるし、そのためにより前傾になる。確かにこれは高速で走らないとシューズの強みが活かせないかもしれない。

次に、ソールの反発。
「JAPAN」のソールは強い反発力があるが固い。「REN」のソールは、固さは無いが、このクラスのシューズにしてはヒールを包み込むような印象。

「JAPAN」に慣れた僕にとって、「REN」はちょっとピーキーな印象を持った。

あと、「JAPAN」のワイドモデルがとても足に合っていたので、なんとも無念なのだ。「REN」は、ワイドだとガバガバだし、ノーマルだとちょっとだけキツイ。フルマラソンで後半足が浮腫んできた際にどうなるか、ちょっと不安。


第3回 甲州フルーツマラソン 大菩薩コース エントリーしてしまった!

乗鞍天空マラソンからホウホウのテイで帰ってきた翌日、自宅の郵便受けに甲州フルーツマラソンの案内状が入っていた。

このタイミングでかよ!
とは思ったのだが、なぜか今年も大菩薩コースにエントリーしてしまった。。。
(昨年の大会の様子はこちら。)

今年もまた、あの標高差1,200mを駈け上がるレースに参加するのか。。。
しかも、このあいだの週末に1,200m駈け上がって900m駈け下りたばかりなのに・・・。

なんということだ。 
とりあえず、せめて去年よりマシなタイムでゴールしたい。

2012年6月26日火曜日

ワンゲルガイドブックス『全国ベストトレイル』上・下

山と渓谷社のワンゲルガイドブックスシリーズの7と8が出た。

『全国ベストトレイル』の上と下。










































取り上げられているコースは、さすがに「ベスト」としてチョイスされているだけあって王道ばかり。
なにも本書をわざわざ買うまでもないのではないかという人もいるかもしれない。

たしかに単なるガイドブックとしてであれば、正直買う気はしない。
が、読み物だと思うと、なかなか優れた書籍ではないだろうか。
写真もきれいだし、脳内登山をするにはもってこいだと思う。

あー、山行きたい。


2012年6月24日 第7回 乗鞍天空マラソン

ついに乗鞍天空マラソンに出場した。
もう3年も前に、取引先の人からその存在を教わったこの大会に、やっと出場する日が来たのだ。

乗鞍天空マラソンは、距離は30kmと大したことはないが、着目すべきはコースの標高差である。
標高1,500m地点をスタートし、2,700m地点まで上がって、そこから1,800m地点まで折り返すという、過酷なレースなのだ。

山を走るわけだが、いわゆるトレイルランニングではなく、すべて舗装路を走るオンロードのランニング大会だ。
乗鞍は3,000m級の複数の山々の総称なのだが、それらの山頂直下までバス通りが通っている。
このバス通りがこの大会のコースなわけである。


東京からでは当日入りは無理なので、当然前日入りをする。
乗鞍観光センターから紹介された宿まで、電車とバスを乗り継いで、東京から約5時間の旅。


宿の名前は「並木荘」。
















小じんまりした民宿だが、隅々までちゃんと掃除の行き届いた、とてもキレイな宿だった。
しかも、HPには「露天風呂×1・・・開放感を大切にしました。」と書いてあるだけの露天風呂だが、これがまた気持ちの良い、キレイな露天風呂だ。
朝ごはんも、大会向けに朝の5時半から食べさせてくれて、しかもその内容は、そのへんの旅館など及びもつかないほど丁寧で豊富な内容。特に、ワラビの味噌汁が美味しかった。
8時スタートの大会には、時刻も種類も量も、非常に適した朝食だった。

宿の方もとても大らかで親切で、心の底からお礼をお伝えしたい。

宿を出たところから見える乗鞍は、この季節には珍しいほどクッキリと、その姿を現していた。
















さて、その並木荘を出て、会場に向かう。
大会当日の朝は、大会の送迎バスが路線バスの停留所から出場者をピックアップしてくれる仕組みだ。
「町を挙げての一大イベント!」という感じが、こういうところからもヒシヒシと伝わってくる。

会場につくと、物好きな人々がスタートを待っていた。
並みのマラソン大会とは違った、変な熱気に包まれている。
出場者の世間話も、
「○○のウルトラマラソンはXXだ。」
「○○のトレランのコースはXXだ。」
など、ちょっと頭のネジが3本ぐらい飛んでしまっている内容が多い。


そして、スタート直前の、憂いと興奮がナイマゼになった参加者たち。
ここで、大会プロデューサの軽妙なトークがスタート30秒前まで続く。
















向こうには、目指す乗鞍の山々が待ち構えている。
なんという雄大さ。
そして好天。

8:00、スタートの号砲が鳴り、いっせいにスタート。
参加者が2,000人程度のためか、どうやらネットタイムは計っていない模様。


スタートしてすぐに、コース真正面に乗鞍の山々が全貌を現す。
















感動の風景。神々しささえ感じる。

ほどなく、コースは新緑の樹林帯に入る。
















樹林帯では、天ぷらにしたら美味そうなウドや、今が盛りのヤマツツジなどが目を楽しませてくれる。

コースの10km手前ぐらいで現れる大滝。





















こんなに天気が良いと、暑すぎて滝壷に飛び込みたい!

ヘアピンカープを幾つ越えたか分からなくなった頃に、冷泉小屋が姿を現す。
















冷泉小屋の名前の通り、小屋の正面には冷たそうな雪解け水がザバザバ流れていた。





















これで顔洗ったら気持ち良さそう。

どんどん標高を上げるたびに、どんどん山が近づいてくる。

















第4、第6エイドは位ヶ原山荘。
















下りのときは、ここでトイレを逃すとゴールまでトイレは無い。注意すべし。(実際僕は漏れそうだった。)

位ヶ原山荘を過ぎると、雪壁はもうすぐ。
遠くには穂高の山々が見える。すごく得した気分。
















梅雨の季節に、こんな天気の良いことがあるんだなぁと、自分の晴れ男ぶりに驚くばかりだ。(←ただの勘違い)

そして、いよいよ雪壁ゾーンに差し掛かる。
















今年は例年に比べてかなり雪が残っているとスタート前に聞いていたので、非常に楽しみだ。


ついに雪壁登場!

















雪壁は標高を上げるごとにどんどん高さを増していく。
































一番高いところで、6mはあるだろう。
こりゃ儲けた。こんなに立派な雪壁が見れるとは思ってなかった。
































バスで来ればこんなに苦労せずに見られる風景なわけだが、自分の足でたどり着いたからこその感動であるはずだ。

参加者の多くが、この雪壁を背に記念写真を撮っていた。もはやタイムそっちのけである。
そう、この乗鞍天空マラソンは、タイムも大切ではあるものの、それ以上に、この風景が大切なのだ。
実際、こんなに参加者が写真ばかり撮っているマラソン大会を見たことが無い。

そうこうするうちに、いよいよ折り返し地点が近づいてくる。
















雪渓には真新しいシュプールが描かれていて、実際、バックカントリースキーやバックカントリースノーボードの人たちが何人も居た。
こっちは半袖短パンなのに、彼らは分厚いウェアを着込んでいる。もはや季節感がグチャグチャな風景だ。

まー、マラソンランナーは気温0度でも半袖短パンだからなー、、、

そんなわけで折り返し地点。
















この折り返し地点を回りこんで、第5エイドに至る。

エイドにはいろいろな食べ物が用意されている。

酢メシ。
















バナナ。
















このほかに、煮物なども用意されていたが、何よりも美味かったのが野沢菜だった。

さすが野沢菜の名産地といったところだが、やはり体が塩分を欲していたに違いない。
これまで食べたどんな野沢菜よりも美味かった。

あとはひたすら下るだけ。


下りは得意なつもりだったので飛ばせるだろうと思っていたが、第6エイドを前にピタっと足が止まってしまった。
なんということだ。

あとはひたすら重い足を引きずるようにして下る。
どんどん後続に抜かされていく。くやしい。でも、足が上がらない。

ゴールまで残り1kmを切ったところで、ピッコロ大魔王とサイヤ人に抜かれた。
なんという屈辱。


吐きそうになりながらゴールしたが、目標タイムにわずかに届かず。
この「わずかに」を食いきれなかったところに、自分のメンタルの弱さを見た。
猛省である。

実際、行きつけのマッサージ師には「この筋肉の状態なら、あと20分は早く走れたはず」という、いつもの厳しいご意見をいただいた次第だ。

この反省を活かして、8月末の日光白根の50kmトレランの大会には万全で臨みたいと思う。


2012年6月21日木曜日

九州脊梁登山地図 買ったった!

先日、九州脊梁登山地図という気合の入った地図が出たという紹介をしたが、







買ったった!


















とりあえず、すげーデカイ! さすがB1サイズ。

あんまり持ち歩きには適さないサイズなので、山にはコピーを持っていくことになりそう。


福岡天神にクライミングジムOPEN! ブラボークライミング福岡天神

福岡天神近くにクライミングジムがオープンした。

ブラボークライミング福岡天神
http://tenjin.keizai.biz/headline/3548/


早速行ってきた。

入口は、オシャレなカフェみたいな感じ。
















中はさすが新装オープンだけあって、キレイ!

館内の説明をしてもらって、いざクライミング。
















壁の斜度は90度から145度までバリエーションが豊富だ。





















ただ、天井の高さが3.5mなので、長い課題は用意されていない。ゴールまでせいぜい6~7手といったところだ。
そういう意味ではちょっと物足りないが、なんといっても福岡の街の中心部から程近いというのがありがたい。
平日は23時まで営業しているので、「ちょっと仕事帰りに」というのが可能だし、近所に飲み屋も多いので帰りがけに一杯というのも容易だ。

また、手洗い場、足荒い場もキレイ。






















是非今後、出張のたびに立ち寄りたいと思う。



2012年6月18日月曜日

「九州脊梁登山地図」ってのが出たらしい

GreenWalker』に書いてあったのだが、「九州脊梁登山地図」というのが発売になったらしい。

九州脊梁といえば、ロングトレイルとして最近整備されつつあり、トレイルランニングの大会も開かれる、九州では有名な山域だ。

「九州脊梁登山地図」ではその山域の60座を網羅しているそうで、縮尺は3万分に1。
サイズは驚きのB1!! すげー!

欲しいのだが、販売パスが限られているそうで、無念。

詳しくはECO九州ツーリスト合同会社へ、とのことだ。




2012年6月21日 追記:

買ったった!

『GreenWalker』 2012夏号

九州・山口限定山雑誌『GreenWalker』の夏号が出てました。


















地元に根差してる感じで、なーんか良いんだよなぁ。

対象範囲が狭いだけあって、情報の粒度が細かい。全国誌では取り上げないような山をじっくり特集していたり、どこそこの登山道が復活したなどの情報が満載だったり、読んでいるとそぞろ神に誘惑されたような気持ちになって、いてもたってもいられなくなる。


実は、いちばん好きな雑誌かもしれない。



2012年6月17日日曜日

加藤則芳 『森の聖者 自然保護の父ジョン・ミューア』

加藤則芳さんといえばジョン・ミューアという感じだが、その加藤則芳さんによるジョン・ミューアの伝記が『森の聖者 自然保護の父ジョン・ミューア』だ。

もともとは1995年に単行本で出版されたものが、先日ヤマケイ文庫から文庫化された。





















単行本はすでに持っていたのだが、まだ未読で、持っていることを失念して文庫を買ってしまった。
その手の失敗は、近年非常に多くなっており、年のせいなんじゃないかと危機感を覚えている。

さて、肝心の中身だが、ミューアに対する著者の深い敬愛の情に心打たれる一方、こんなスーパーマンの話を読んでもとても真似できそうにないと、心が折れそうになる思いだ。自分はこんな年になるまで、何の成果も挙げられないまま、ただただ無駄に生きながらえてしまったなぁと、恥じ入るばかりだ。

さて、スーパーマンのミューアも、万能ではない。
自然保護に冷淡だった当時のアメリカにおいて、自然保護を訴えて勝ち取るという活動の中で、成功も挫折も疲弊も葛藤も味わっている姿が、本書では克明に記されている。
こういうときの加藤則芳さんの筆致は、とても温かい。著者の人間好きが伺われるのである。

伝記にありがちなように、前半は、どうしてもダレる。しかし、後半は作品に吸い込まれる。
さすが、の一言だ。
ミューアが一生をささげたシエラネバダに行ってみたいという思いを強くした。


なお、本筋とは関係ないが、ミューアが設立した自然保護団体・シエラクラブの会員向けに作られた食器がシエラカップの始まりだというのを、本書で初めて知った。あまりシエラカップに興味がなかったが、今度使ってみようと思う。


2012年6月13日水曜日

山メシ : 野菜とコンビーフのスープ&バケット(バジルアンチョビペースト添え)

山メシを作ってみたので、レシピを紹介。


【1】野菜とコンビーフのスープ

<材料>
・カット野菜(キャベツ、にんじん、タマネギ、しめじ、ピーマンなど)→スーパーなどでパックで売っているもの
・コンビーフ
・コンソメ
・塩、こしょう

<準備>
・カット野菜は当日の朝に水洗いをし、ジップロックに入れて持参。
・コンビーフは、今回は缶ではなくパウチに入ったものを持参。
・コンソメは、固形のものでも良いが、小分けの袋に入っているものが便利。

<調理>
1.コッヘルに適量の水を入れて、沸騰させる。
2.コッヘルにカット野菜を入れてひと煮立ちさせる。
3.コンビーフをパウチから出してコッヘルに投入。
4.野菜に火が通ったころを見計らってコンソメを適量投入。
5.ひと煮立ちさせたら、味を確認しながら塩・こしょうで味を調える。
















以上。

<感想>
コンビーフのダシ(?)がよく出ていて、風味は豊か。
ただ、もし下界で食べたら、きっと一味足りないように感じるに違いない味だと思う。
何を追加するのがいいのか、調味料なのか食材なのか、ちょっと分からないので今後検討する必要を感じた。



【2】バジルとアンチョビのペースト

バケットをそのままモソモソ食べてもつまらないので、何か付けるなり乗せるなりして食べたいところだ。
以前、アンチョビの缶詰をそのままバケットに乗せて食べたら、塩辛いし生臭いしでイマイチだったので、今回はバジルソースと和えてみた。

<材料>
・アンチョビの缶詰
・バジルソースの瓶詰め

<調理>
・アンチョビの缶詰を開けて、オイルを切ります。
 (もちろん、オイルはちゃんと持ち帰りましょう。)
・器にアンチョビとバジルソースを入れて、混ぜます。バジルソースとアンチョビの割合はお好みで。

以上。

<感想>
味は大変よかった。
バジルがアンチョビの生臭さを消してくれて、また、バジルソースで薄めることで塩辛さも薄らいだ。
しかし、見た目は非常に悪かった。
特に、アンチョビの小骨が緑がかった茶色のドロドロのものから飛び出している様は、一歩間違えるとグロだった。
ただ、ペースト状にしないと生臭さや塩辛さは充分に中和されないのは間違いないので、そのようなビジュアルになるのは已む無しか。
今後の課題だ。



ということで、全体的には75点といったところか。



















おいしくいただきました。


山行記 : 2012年6月10日 奥多摩・千本ツツジ(赤指尾根から)

6月といえば、奥多摩・石尾根にある千本ツツジのツツジが見頃だ。と、前々から聞いていたが、雨の日の登山が面倒で、いままでお目にかかったことがなかった。

今年こそはと思い、友人を誘って行くことにした。

朝の5時台に新宿で中央線に乗り込み奥多摩に向かうのだが、いつもながらこの時刻の新宿駅はカオスだ。ホームに居る人々が酒臭い。
自分も若い頃はそういう遊び方ばかりだったが、それに興味が無くなった頃に再び登山に目が向くようになったんだよなぁ、と振り返る。


7:55、奥多摩駅をバスで出発。
午後からは雨の予報だが、今のところはまだ大丈夫そう。

8:30頃、峰谷バス停到着。
そこには、周辺の案内板があった。
















「峰」とか「奥」とか、本で見たことのある集落の名前が載っていて、ちょっと興奮する。

ちなみに、この停留所には立派な公衆トイレがあり、キレイな水洗トイレで用を足せる。
ここから先、どっち方面に向かうにしてもしばらくの間トイレとは無縁な登山道なので、しっかりと用を済ませておきたいところだ。

峰谷バス停からは、鷹ノ巣山へ向かう道と、千本ツツジに向かう道がある。
鷹ノ巣へは、林道を延々と歩き奥集落を抜けて浅間尾根を登る。
一方、今回の僕らの目的地である千本ツツジへは、やはり林道を延々と歩いて峰集落を抜け、赤指尾根を登る。

峰谷では約20人程度の登山客がバスを降りたのだが、鷹ノ巣方面に向かう登山者がほとんどで、千本ツツジ方面は僕ら2人のほか、3人パーティが1組、ソロトレッカーが1人、トレイルランナー1人だけだった。

身支度を整え、8:45、いよいよ出発。
林道をくねくね登っていくこともできるのだが、案内板はいきなり民家の方を指している。





















ここを通るとショートカットできるようだ。
これはきっと民家の方のご好意なのだろう。ありがたく通らせていただく。

ただ、本当にガチで民家の庭先なので、少しだけ心がハラハラする。
庭先を抜けてもおそらくまだ民家の敷地内なんではないかと思うのだが、しっかりと標識が立っている。
















ありがたい話だ。

そのまま作業道のようなところをたどる。





















右手の畑には電気柵が!





































やっぱり触ったらビリッと来るんだろうなー。
すごく確認したい欲求にかられるが、なんとか思いとどまる。

電気柵に気を取られながら歩いていると、すぐに林道に合流。





















ここからがひたすら退屈な舗装道路を歩く。

畑仕事をしている地元のおばあさんに挨拶したりしながら、ひたすら峰集落を歩くこと1時間弱。
唐突にゲートが現れた。
















ここで舗装路は終わり。
ここから先は舗装されていない林道となる。

その林道を歩くこと5分。
唐突にトレイルの入口が現れた。
















唐突すぎて、標識がなかったら、まさかこれが登山道とは思わないだろう。

ここからはひたすら、退屈な杉の植林を歩く。
途中で1度林道を横断する。
















このあたりは、倒木が多く、所々で踏み跡を見失いそうになることがある。
前日が嵐に近い天候だったようで、杉の落ち葉が多く、ただでさえ通る人の少ない道を隠しがちで、慎重に見極めながら歩かなくてはならなかった。

そんな植林を抜け、
















10:50、赤指山(たぶん)の山頂直下に出る。
















周辺の様子からすると、尾根をたどっていけば赤指山の山頂を踏むことができる。
実際、尾根も歩けそうな気配だ。





















だが、明確な登山道は尾根の東側についている。(写真ではちょっとわかりづらいかも。)





















歩いて楽しそうなのは尾根だったが、小雨が時折パラつくような天気だったので、大事をとって明確な登山道を歩くことにした。

登山道は尾根の少し下を並行して通っている。
尾根はピークを迎え、再び登山道に合流するように標高を下げる。

登山道と尾根の合流地点にたどりつくと、そこには標識が。
















なんだよ、尾根も道だったのかよ!

このあたり、「山と高原地図」と2万5000分の1の地図とで、登山道のつき方が違うのでよくわからん。

さて、このあたりはこのルートで珍しく平らな場所で、しかも大きな広葉樹もあるので、少し早いがランチにすることにした。

↓こんな感じの場所。





















この先、落ち着いてメシを食えるような場所があるのかもよく分からないということと、おそらく天気も悪化することが予想されたので、大きな広葉樹の下であれば雨が降っても屋根代わりになってくれるであろうと。

結果から言うと、これは大正解の判断だった。
ランチを食べている間に本降りになり、木陰でなければヒドイ目に遭うところだった。


今回のランチはめずらしくちゃんと調理をしてみた。

献立は、

・野菜とコンビーフのスープ
・バケット(バジルアンチョビペースト添え)

の2品。

レシピは別途ご紹介。

やはり、山ゴハンは多少凝ったものを作ってみると幸せを感じる。特に日帰り登山は荷物が少なくて済むので、多少食料をいろいろ担いでも平気なのが嬉しい。
というわけで、幸せを感じすぎて、ランチに1時間半もかけてしまった。

正気に戻って、12:30、慌てて出発。
ランチの間に降っていた雨は止んでいた。ちょうど良い雨宿りだったと言えよう。

しばらくは裏山っぽいのどかなトレイルが続く。
















あんまり登山道が立派じゃないあたりが、よりウィルダネスっぽくて良い。
これこそが不人気コースの醍醐味だ。

だが、そんな幸せも長くは続かなかった。
なだらかなトレイルはすぐに終わりを迎え、急登の続く杉林が現れた。
















急なばかりで全く面白みの無い道。
最初の林道歩きと併せて、このルートが人気の無い理由がよく分かった。
たった20分程度の素敵なトレイルのために、こんなシンドイ思いをしたのでは割に合わない。

そんなわけで、写真を撮る気にもならず、ひたすら黙々と歩いた。
汗がダクダクと流れ落ちる。
この時期にしてはかなり空気がヒンヤリしている方だと思うが、それでも暑くて仕方が無い。
これで天気が良かったら干からびて死んでいただろう。
それを思うと、視界を遮るモヤを愛おしく感じた。

急登を歩き続けること約40分、木々の間からやっと石尾根らしきものが頭上に見えてきた。
そういえば、周りにツツジが頻繁に見られるようになってきていた。

いよいよ千本ツツジか?

と、ついに石尾根の巻き道にぶつかる。
















これで、あとは尾根に上がれば、本日の上り坂はほぼ終了だ!

周囲はたくさんのツツジに彩られていて、まさに千本ツツジ。
ついにこの時期にここに来たのだ。

ツツジの写真を撮りながら石尾根に向かう。
































霧の向こうに色鮮やかなツツジというのは、なかなか美しいものだ。
炎天下のツツジよりも艶やかさを感じる。

赤いツツジも咲いていた。
















赤と紫のコントラスト。
















針葉樹には水滴が光っていた。

















もちろん、晴れていれば見えたはずの遠くの山々は一切見えない。
入浴剤でも溶かしたかのような、完全な乳白色の世界。





















でも、ランチの時に降って以来、雨は全然降らず。雨具要らずの状態。
入梅しているのだから、雨が降っていないだけでも儲けモノだ。

さて、ツツジを満喫したら、
















あとは鴨沢に下りるだけ。

石尾根の新緑のトンネルをくぐり、
















七ツ石山の山頂へは向かわず、七ツ石小屋に向かう。

七ツ石小屋上の水場は、昨日の土砂降りにもかかわらずチョロチョロと流れていた。





















相変わらずの七ツ石小屋。
















と思ったら、見慣れぬ張り紙が。
















富士山の山小屋の方が奥多摩で小屋番?!
山小屋にも交換留学みたいな制度があるんかいな?

ちなみに、この後、小屋番と思われる男性が僕らを追い抜きざまに
「七ツ石小屋から10日ぶりに下山してまーーす!」
と言っていた。
山の暮らしは楽しそうだけど、大変でもあるだろうなー。

さて、七ツ石小屋名物の展望もこの天気では残念なばかりなので、立ち寄らずにそのまま鴨沢に向かうことにする。

七ツ石小屋の近道から大きな登山道に出てすぐ、満開のツツジの木が立っていた。





















地面に落ちた花弁が、このあたりのツツジの見頃がもうすぐ終わることを告げていた。





















堂所の手前では、びっくりするほどの緑のトンネル。






















この先はただひたすら鴨沢のバス停を目指し、口数も少ないままに黙々と歩き、16:30、バス停到着。

バス停近くの商店で飲み物を買おうと思ったら、店が閉まっていた。まさか、商売を辞めてしまったんだろうか。
やむを得ず、自販機でペプシを買った。本当はコカコーラのほうが好きなのだが、無いものは仕方が無い。


こうして念願の千本ツツジのツツジ観覧登山は終了した。



【総評】

思ったよりも行動時間が長引いてしまった。やはりランチに1時間半もかけてしまったのが原因か。
それでも、日帰り登山はランチに懲りたい。

先月の川苔山の赤杭尾根をもう一度歩きたいと思わないのと同じく、今回の赤指尾根は再度歩きたいとは思わない・・・。