このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年4月17日火曜日

服部文祥 『百年前の山を旅する』

服部文祥氏といえば食料を現地調達しながらの山行で有名だが、それ以上に、テレビ「情熱大陸」の取材クルーの目の前で滑落してアバラ3本を折るというハナレ業を繰り出し、登山界以外にも旋風を巻き起こしたことで有名な登山家である。

その服部文祥氏がその滑落直前に出版したのが『百年前の山を旅する』である。





















僕は、鹿の食害に対する狩猟圧の一助になればと思って狩猟免許の取得を検討しているのだが、それを考えるきっかけになったのが、服部文祥氏の本書以前の著書だったりもする。

そんなわけで、氏の行動に対して非を唱える気は一片たりとも持ち合わせていないのだが、それでもちょっと本書の内容は物足りないような・・・。

というのも、表紙が嘉門次に扮した著者の写真で、出版当時の各登山誌での書評でも「100年前の装備で山行」と散々書かれていたので、てっきり全編このノリだと思ったのだが、実際は、収録された7つの山行のうち3つだけが当時の装備で、残りの4つは「100年前に思いを馳せる」という程度の内容だったのだ。
まー、そういうのも「100年前の山を旅している」と言うのかもしれないが、、、

とはいえ、相変わらずの服部節で、楽しく読むことができた。
大げさなまでの心象風景の描写、アゴを引き気味にして獲物を食いちぎる斜めからのキメ顔の写真、懐古趣味とも言える述懐、全てが「服部文祥」だった。嫌いじゃない。

特に、自分と世代が近いこともあって、ストーブに関する記述については、非常に懐かしさを感じた。
いわく、
当時は登山用の火器類が、ちょうどガソリンからガスに変わる過渡期にあり、私のクラブも時代の流れに沿って、翌年には合宿で使う火器類をガスストーブに切り替えた。1990年前後のことなので、20年ほど前のことになる。
僕も高校3年からガスストーブの使用が認められ、ガスストーブとはこんなに便利なものなのか!と驚愕した覚えがある。
それまではホエーブスを使っていたのだが、高校生は当時高体連の取り決めで、ホワイトガソリンが禁止で灯油を燃料に使っていた。
当然、気温が低ければプレヒートしても灯油が気化せず、ゴールデンウィークの猛吹雪の中で火が起こせなかったこともある。ホントに死ぬかと思った。
今思えば無茶な話である。

閑話休題。

そんなわけで、本書は読みものとしては大変面白かった。
もちろん僕は、まだまだテクノロジーに頼った山行で充分楽しめているので、真似する気は無い。
というか、高校のときのような、理不尽なシンドイ思いはしたくない。

2012年4月13日金曜日

山と溪谷社アウトドア出版部『南アルプス』『八ヶ岳』(ワンゲルガイドブックス)

山と渓谷社の「ワンゲルガイドブックス」シリーズの『八ヶ岳』と『南アルプス』が発売された。





















八ヶ岳は、メジャーだし、東京からそんなに遠いわけでもないのに、何故か僕にとって縁遠い。
お手軽感と山小屋の多さが、縁遠い理由ではないかと思っているが、特に深い理由があるわけではない、というのが本当のところだ。

ただ、八ヶ岳の全山縦走は2泊3日でできることだし、今年の9月の3連休に行ってみようかなどと漠と考えている次第だ。

『八ヶ岳』は、それに際して、どのルートで攻めようか考えるためのとっかかりを見つけるには非常にまとまっていて分かりやすい本だと思う。



一方で『南アルプス』も、入門編的な内容で、非常にライトで分かりやすい。
が、ライトすぎてちょっと面白くない。
南アルプスの懐の深さは、本書では感じることは難しいのではないかと思う。
気軽にトレッキング、というノリならいいのかもしれないが。




2012年4月8日日曜日

宮崎学 『写真ルポ イマドキの野生動物 人間なんて怖くない』

山に入ったとき、僕はクマが何より怖い。だから1万円以上も払ってクマ撃退スプレーを買って、山に入るときには持っていくのだ。
だが、実際はクマだけでなく、様々な野生動物が危害を加えてくる可能性も充分にある。今どきの野生動物は、人間をナメているのだ。

先日、アウトドアショップの店員さんが「笠取山で鹿に囲まれて怖かった」と話してくれた。
そう、実はオスの鹿はけっこう気性も荒いので、油断がならないのだ。

そんな今どきの野生動物事情に鋭く迫った本が、『写真ルポ イマドキの野生動物 人間なんて怖くない』だ。




















本書の著者は写真家であり、中央アルプスをメインフィールドにして動物の写真を撮り続けている。

本書には、人間を恐れなくなった野生動物たちの姿が生々しく描かれている。脅しても逃げないクマなどは、もう僕にとって恐怖の的でしかない。

もちろん、そういう固体は全体の少数派ではあると思うのだが、人里に近いところにいる野生動物ほど人間を恐れなくなる割合は高いのではないかと。
そうなると、登山口周辺なんかは特に油断できない。


オオカミを日本に輸入して野に放とうとしている人たちは「狩猟圧」という言葉をよく用いるが、まさに人間が直接的に野生動物に危害を加えることが少なくなって久しく、そりゃ動物側も人間に対する警戒心が薄くなるわな、と。(もちろん、環境破壊などによる間接的な危害は今なお甚大だと思うが。)

現代日本に生きる社会の構成員として、と同時に、1人の登山者として、野生動物に対してどのように向き合っていくべきなのか、本気で考えなくてはならないように思う。そして、本気で行動しなければならないように思う。


OUTDOOR DAY で購入④ : Victorinox(ビクトリノックス)のペティナイフ

ビクトリノックスの刃物は、大変切れ味が良い。
すでに折りたたみ式のナイフを3本持っているが、非常に重宝している。

一方、自宅で使っている包丁も切れ味には文句が無いのだが、メインで使っているのが何故か鋼の菜切包丁なので、りんごの皮なんかを剥いていると、すごく大げさな感じだ。

そんなわけで、なんとなく小ぶりなペティナイフで鮮やかにフルーツをカットしたりするスマートさに憧れるのだ。

で、OUTDOOR DAYで半額で売っていたビクトリノックスのペティナイフを見て、即決購入。





















サヤが無いので山に持っていくかは微妙だが、非常にウキウキする。




















この切れ味、ゾクゾクするぜぇ~。ワイルドだろ~? (スギちゃん風

OUTDOOR DAY で購入③ : Evernew(エバニュー)「折りたたみヒップマット」

山用の座布団が欲しくて、サーマレストのZシートの購入を検討していたが、微妙に高いのでためらっていた。
そもそもこんなに高スペックな座布団が必要なのか?と。けっこう嵩張るし。

で、OUTDOOR DAYのエバニューのブースで、ちょうど良さげな座布団発見。

















畳んだときのためのゴムもついている。

広げるとこんな感じ。



















まー、ペラペラなんですが、その分コンパクト。なので、荷物が多いときでも気軽に持って行ける。

これで、300円。
ダメならダメで諦めのつく価格。


OUTDOOR DAY で購入② : SOL 「Heatsheets Emergency Bivvy」

僕は心配性だ。
なので、山に行く前はだいたい、自分が遭難するイメージが頭から離れなくなる。

そんなわけで、遭難したときの準備(?)を万全にして出発する。
詳細な計画書を会社に提出して、遭難保険にも入って、予備の食料を充分に持っていく。

アルミ蒸着シートを必ず持参するのも、その一環だが、単なるペラペラのシート1枚では不安で仕方が無い。なので、アルミ蒸着シートが袋状になっているタイプのものが欲しかったのだが、普通に買うと3,000円以上しちゃうので、購入をためらっていた。

それが、OUTDOOR DAYでは1,500円で売られていた!

SOL 「Heatsheets Emergency Bivvy」。















広げてみるとこんな感じ。





















108gと、普通のアルミ蒸着シートよりもやや重めだが、止むを得ん。
こうして僕の荷物はどんどん重くなっていく。。。

OUTDOOR DAY で購入① : EASTON(イーストン)のペグ

長期テント泊縦走を計画しているので、少しでも荷物の重量を軽くしたいと思い悩んでいるところ。

そんな折、OUTDOOR DAYのエバニューのブースで見つけたのがEASTONのペグ。






















これが、えらく軽い。1本9g。
それでいて、素材は単なるアルミではなく、航空機に使われる超々ジェラルミンの7075-T9。これなら無理に叩き込んでも曲がったり折れたり潰れたりしなさそう。

ただ、ペグのヘッド部分がちょっと変わった形なので、テントロープの引っ掛け方にコツが要りそう。

価格は1本200円。なんと正価の半額以下。


とりあえず10本買った。























あれ、オレのテントって、ペグ何本必要だっけ??

2012年4月7日土曜日

OUTDOOR DAY JAPAN 2012

4月7日(土)、8日(日)の2日間に、代々木公園で開催されるOUTDOOR DAY JAPAN 2012に行ってきました。






















NHKホール側からアプローチ。
いきなり現れるトップロープクライミング。






















みんなクライミングシューズではなく、自前のスニーカーなどで登っており、登りづらそう。

そして、ワーゲンバス型テント。
















こちらは本物のワーゲンバス。
















これに限らず、軽食販売が多々出店されていた。
















そんでもって、改造ワゴンという意味ではこれらの移動販売車に引けを取らない車がズラリ。

なんと、軽ワゴンを改造したキャンピングカー。





















































この軽キャンピングカーでも分かるように、登山というよりはキャンプな感じのアウトドアラインナップ。

ガチなキャンピングカーも。
















テントもキャンプ仕様。
















テント村状態。
















ちょっとしたアクティビティも。
















snow peakのトラック。

















かなりの人出で、人の顔を写さないように配慮しながら会場内の写真を撮ることが難しいほど。

各アウトドアメーカーがアウトレット品を販売していたが、掘り出し物も多く、ついサイフの紐が緩んだ。まさかこんなに色々買ってしまうとは・・・。

また、アウトドアとどう関係があるのか分からないが、スバルのインプレッサに乗って、自動制動システムのEyesightを体験するコーナーがあった。
実際乗ってみると、すげー。
でも、アウトドアとどう関係があるんだ??


ちなみに、この日の代々木公園は桜が九分咲きで超見頃。
















そんなわけで、花見客であふれており、えらいことに。

これは代々木公園の入り口の様子。





















当然トイレは、男子も女子も長蛇の列。
会場へ行く前に、トイレは済ませておきましょう。




2012年4月4日水曜日

井賀孝 『山をはしる―1200日間山伏の旅』

神保町の石井スポーツ登山本店にアルファ米を買いに行って、「入荷はずっと先」と言われてガックリした際に目に入ったのが『山をはしる―1200日間山伏の旅』。(アルファ米に関してはこちらを参照)





















「山をはしる」というからにはトレランの話かと思ったら、どうも表紙の様子がおかしい。
よくよく見てみたら「山伏の旅」とか書いてあるじゃないか。ちょうど今、自分がハマっているテーマ。
(山伏の山行についてはこちら。)
ということで即買いした。

読み始めてみると、冒頭の文体がちょっと嫌いなタイプであった。
これはハズレか?!と思いながら読み進めていくと、わりとすぐに文体が気にならなくなってきた。
文体そのものが正気になったというか、少なくとも冒頭の雰囲気とは異なって足腰のしっかりした文体になってきたというのが大きな理由だが、それとともに、彼が「行」に惹かれたキッカケや思いに強くシンパシーを感じたからだと思う。

本書は、大きくわけて、大峯奥駈道、羅臼山、越後三山、富士山の4つの山域に著者本人が行った話で構成されている。
このうち、修験道の行として入山したのが大峯奥駈道と越後三山、もっと広い意味での「行」として入山したのが羅臼山と富士山である。

全編を通していえるのは、登山そのものの話ではなく、そこで「行」を通して出会う人々に対する思いを綴った本である、ということか。
おそらく著者は、人間が好きで、その人間を通して見たときの畏怖されるべき山が好きなのではないかと、僕は想像するのである。

非常に印象深い逸話がたくさん散りばめられており、読んでいて全く飽きるポイントが存在しなかった。スピーディでパワフルで、ぐいぐい読ませる。

特にその中の1つ、冬の富士登山の際にピッケルが氷の斜面に刺さらず進退窮まった話は、他山の石として充分に心に刻まなければならないことだ。


とりあえず、今年か来年の海の日の三連休に、越後三山に行ってみよう。


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追記:
著者名を誤って記載しておりました。
訂正させていただきますとともに、関係者の皆様には深くお詫び申し上げます。



2012年4月1日日曜日

TOKYO OUTDOOR SHOW 2012

天気が良かったので、ランニングのついでに代々木公園で行われていた「TOKYO OUTDOOR SHOW 2012」を覗いてみた。






















昨日3/31は荒天のため中止になったようで、本日は一部のプログラムを変更しての開催だったようだ。

それにしても、隣ではワインのイベントをやっているし、逆サイドの隣はサイケな音楽イベントをやっているし、まさにカオス。

僕が普段から使っているようなブランドはNITE IZEDANA DESIGNぐらいしか出展していなかったが、普段あまり使わないようなテントがデモで張られていたので興味深かった。


SIERRA DESIGNS(シエラデザイン)

オリガミ
















最近、ウルトラライト系の人に支持されているワンポールテントだが、こんなんで稜線の強風に耐えられるんだろうか、、、
そういう使い方はしないんだろうけど。

ゾロ
















2本のポールをクロスさせて自立させるスタンダードなタイプ。
前室は広かった。本体の上半分がメッシュなので、暖かい時期には快適そう。

Mojo
















公式サイトに載っていないので詳細が分からないのだが、見たところ、最近流行の3本のポールをY字に組み合わせて自立させるタイプ。
これはフライシートは別にあるんだよね?? シングルウォールじゃないよね??


HILLEBERG(ヒルバーグ)

A&Fの店頭に張ってあるのをチラっと見たことはあるけれど、そもそも価格が高くて手が出ないので別世界のテントだと思っている。いつかこんなテントで寝てみたいものだ。

ウナ
















えーなー。金持ちのテント。

アクト
















自立しないタイプ。
すごいとは思うものの、ペグダウンできないところで上手く張れる自信が無いので、自分には今のところ無縁。


■ HEIMPLANET

ザ・ケイブ

















「エアフレームテント」ということで、このやたら太いフレームは空気で膨らませている。専用のポンプ付き。
これはどういうシーンを想定しているのかよく分からない・・・。


DANA DESIGN

DANA DESIGNのブースは、登山というよりは「リア充アウトドア」という感じで、自分には異世界だった。
うらやましくなんかないもん!


















このほかにも幾つかブースはあったが、写真は撮れず。

ランニングの途中に立ち寄っただけ(この時点ですでに20kmほど走っている)なので、あまり踏み込んで情報収集する気力も無く。。。