このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2014年5月26日月曜日

第4回 野麦トレイル10マイルレース

ここ1ヶ月以上、体調が悪くて、トレイルどころか平地すら走れていない日々が続いている。
日常生活や日帰りトレッキング程度なら大丈夫なのだが、走るとなるとキツイ。

そんな状態なのに、野麦峠スキー場で5月24日に開かれたトレランのレースに出場した。
といっても、たかだか10マイル(16km)のレースなので、なんとでもなるだろうとタカをくくっていた。
だが、現実はそんなに甘くない。


前日の夜、松本のビジネスホテルに泊まり、当日慌てなくて良いように準備万端。

会場に着いたのは10時だった。
乗鞍の先っちょだけが見えていた。
天候は快晴。日差しも強く、気温も高い。
熱中症に気をつけねば。

スタート/ゴールのゲート。
ここからゲレンデがひたすら伸びている。
これを直登するのか・・・?


スタートまで時間があるので、いったん会場を離れ、車で10分のところにあるお店までソバを食べに下りる。
思えば、これが良くなかった。

11:30、会場に戻ると、ちょうど開会式が始まるところだった。

ゆるーい感じの開会式が終わると、スタート地点に移動。
みんなでカウントダウンをして、ゼロと叫んでスタートする。
ゲレンデを直登するのかと思いきや、ゲレンデ脇に付けられた作業用の砂利道がルートだった。
砂利道は大嫌いだ。


スタートしてすぐはいつものペースで走ったのだが、500mも行かないうちに異変を感じた。
明らからにお腹が重い。
そして、さっき食べたソバが込み上げてくる。
うぇっ。
こんな状態、ここ5年以内の記憶には無い。

おそらく腹筋が衰えて、胃袋が揺れるのを抑えられない状態なのではないか。
未消化のソバが入った胃袋は、いまの僕の腹筋には荷が重すぎるということか。。。
なんと情けない。

幸い、吐き出すまでには至らなかったが、1km地点のはるか手前で走れなくなり、歩き出してしまった。
このコンディションでは、リタイアもやむを得ないかもしれない。
ちなみの、この大会は過去3回行われ、そのいずれもが100%の完走率だそうだ。もし僕がここでリタイアすれば、大会史上初のリタイアという汚名を押し頂くことになる。できればそれは避けたい。

朦朧としながら斜面を上り、砂利道を抜けるとゲレンデに出た。
ここらから、ゲレンデを登ることになる。
開放感はあるが、日差しを遮るものが何も無いので暑い。

少し登ると、背後には乗鞍の全容が見えてくる。
この時点ですでに、僕はランナーであることを諦め、トレッカーになることにした。
森林浴と風景を楽しみながらの行楽にシフトチェンジ。
タイムさえ気にしなければ、トレイルランニングの楽しみ方は様々なのだ。


3km地点の少し手前で第一エイド。
食べ物は、赤かぶの酢漬け、野沢菜、バナナが用意されていた。
この赤かぶの酢漬けは、甘酸っぱい味わいが疲れに効く逸品だった。

3km地点。ゲレンデをひたすら登り続ける。

コース脇にはフキノトウ。
食べるにはちょっと育ちすぎ。

3km地点を過ぎてからは、ところどころに雪が残っていた。


ようやくこのレースコースの最高到達点が見えてきた。

最高到達点には、地味な道標。
写真は撮らなかったが、この上にもゲレンデはある。
来年あたりはあの上のゲレンデまでコースになっちゃってんじゃないか、という気もする。

ここからは、乗鞍がはっきり見えるものの、リフトが邪魔。

下り始めると、真正面には御嶽山。

ゲレンデを下り始める直前には、穂高方面が見えてくる。

乗鞍も。

ゲレンデを下りるところでは、スキーの大回転用のポールが立てられており、まさに大回転のようにポールの外側を縫うようにジグザグに下りる。
これをちゃんとやらないと、5分のタイムペナルティが与えられるというルールになっている。
これは、安全上の理由からの、直滑降をさせないための施策なんだだそうな。

ゲレンデは、茎の固い植物を刈り取った跡がところどころにあり、うっかり勢いをつけて踏んでしまうと踏み抜いてしまいそうで怖い。

足元に注意してさらにゲレンデを下りると、やたら見晴らしの良い場所にでる。

その先には、スタート地点に向かうゲレンデが見下ろせる場所。

スタート地点が、第2エイド。
ここには、飲用の水だけでなく、掛ける用の水もあり、ドンブリで掛けてもらえる。
まさに生き返る瞬間だ。

一応コースマップでは、ここから先は比較的なだらかなトレイルが続くようなことが書いてあった。

ただ、やはりトレイルをつなぐために、多少のアスファルトもある。

ただ、アスファルトの部分はそれほど続かず、すぐにトレイルに入る。
快適なフカフカのトレイルで、気分が上向く。

トレイルに入ってすぐ、山小屋のようなものの前を抜ける。

そしてまた少しだけアスファルトを通り、
すぐにまたトレイルに入る。

トレイルに入って間も無く、8kmの標識。
てっきりスタート地点が8km地点だと思っていたので、激しくショックを受ける。

謎の構築物の横を抜け、
このコースの最低到達点へ。
この地点にはトイレもある。
が、「トイレがあるなぁ」と思って見ていたら、係のジーチャンが、
「ちっこじゃねぇ、そっちだ、はやく行け!」
と、やたら急かす。
わかってるって!

ここからしばらく、トレイルというよりも公園道っぽいルートにはツツジが多数咲いていた。
紫のツツジは満開だったが、
赤いツツジはつぼみだった。
種類が違うんかな?

公園道をしばらく進むと、今度は謎の遊具をくぐって、
シングルトラックのトレイルに入る。
このトレイルに入るとすぐに9km地点。
9km地点から振り返ると、こんな感じ。
やや泥濘んだ場所が現れる。

そのすぐ先で、係のオッチャンが立っているすぐ足元に、若いシダが生えていた。
この写真を撮っていたら、
「そんなもんより、こっちのほうがいいぞ」
と、係のオッチャンが声をかけてくる。
見ると、ウドだ!
ウマそうだなぁ。
でも、山菜採りのヒマはないので、写真だけ撮って先を急ぐ。

その先で砂利の林道にニアミスするも、その林道には入らず再びトレイルへ。


10km手前ぐらいだろうか、第3エイドが現れる。
エイドスタッフは松本大学のハッピを着ていた。
メニューは他のエイドと同じ。
水を2杯と赤かぶを頂く。赤かぶウマイ。

エイドを過ぎるとすぐに砂利の林道に出た。
この砂利道、少しだけ上り坂になっていて、ダラダラ続く。
暑い・・・。


やっと砂利が終わってトレイルに入ったと思ったら、
ツヅラ折りで斜面を登る。
「わらび牧場」の看板に反して、ワラビの姿は全く見当たらない。
時期的な問題なのだろうか。

このツヅラ折の上で、若い係員の人が
「ここで登りは終わりです。あとはほとんど下りです!」
と声を張り上げている。
コース地図らか考えてもそんなわけあるまい、と思いながらも、がんばって励ましてくれていることに対してただただ感謝である。

その若い係員の50m程度先が11km地点。

ここからは気持ちの良い雑木林が続く。
シラカバ、ブナなどの樹林で、植生も豊かだ。
思えば、おそらくこのコースで最も気持ちの良い区間だろう。

この気持ちの良いトレイルに、12km地点があった。

13km地点を過ぎてすぐに、開けた場所に出る。
第2エイドを過ぎてからご無沙汰だった雪の峰が見えた。たぶん穂高だ。

この先で、少しのアスファルトコースを経て、
なぜか急登のトレイルに再び入る。

急登はそれほど長くなく、その後すぐに下り基調となる。
比較的ジメジメした道だった。

下りきったところで、美しい沢沿いを通り、
そして渡渉。

この渡渉後は、道が泥濘み、走れない場所が多くなってきた。(写真は15km地点)
3月の高尾山より泥濘んでいた。

ただし、それも登り返すうちに地面が乾いてくる。

登りつめると、見覚えのあるアスファルトの道路に出た。

ここまで来れば、ゴールはすぐそこだ!
と、喜び勇んで走って行ってみたら、なんとコースはゴールゲートの脇をすり抜け、再びゲレンデへ。
なんだこりゃ!

そして、ある程度の高さまで登ったところで、折り返すようにゴールゲートへ。
疾走してゴールするという演出なのだろうか。

何はともあれ、無事にゴールできた。

ゴールゲートをくぐったところで、レースディレクターの栗原さんと握手。
こういうところが、アットホームな手作りレースっぽくて良い。

完走証をもらうと、そこに印刷されている実行委員長の名前に目を奪われる。
なんと、フルネームが「亘亘」。
昔、ミサキという名前の同級生(♀)が、
「キャプ翼の岬くんと私が結婚したら、ミサキミサキだー(はーと)」
なんて言ってたが、それを地でいくような人が居ようとは。。。脱帽である。


帰路、松本駅から見た夕暮れの常念岳は、いつもと変わらぬ姿をして屹立していた。
いまの自分は、あの常念岳に向かって胸を張れる状態ではない。

今回のレースでは、最初の3kmではリタイアを覚悟したもののなんとかゴールできて、レース史上初のリタイア選手という汚名だけは避けることができた。
だが、現時点でこの状態では、とてもじゃないが7月上旬のキタタンまでに仕上げられそうにない。
非常に残念だが、キタタンはキャンセルをすることにする。

果たして、フィジカルの弱い自分が納得のパフォーマンスをできるようになる日は来るのだろうか。