このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2014年5月14日水曜日

山行記 : 2014年5月11日 両神山 八丁尾根ピストン

2週間前に両神山に行ったのは、今回のための下見だった。

というわけで、会社の同僚と3人で両神山の八丁尾根をピストンしに行ってきた。
(ルートについては、2週間前の山行記をご参照ください。)
目的はあくまで、今年の夏に剱岳の別山尾根を安全に登るためのトレーニングである。

装備は、万が一のことを考えて、20mのお助けロープ、ハーネス、エイト環、アッセンダーなどの登攀具や、ツェルトなどのビバーク用具を持った。
ソロならもっといろいろ簡略化するのだが、仲間を連れてきている以上、万が一の事態に対する対策は怠れない。


結局今でも赤岩橋までしか自動車は入れず、7:25、赤岩橋から歩き始める。

赤岩橋では、2週間前に満開だったヤマザクラもすっかり葉桜となっていた。

上落合橋までも舗装路は、2週間前とすっかり風景が変わっていた。
第一に、ツツジの花がすっかり散っていた。
その代わりに、春の低山とは思えないほど濃い蒼の空をバックに新緑が目に鮮やかだった。
なんだか、奥多摩の川乗橋から百尋ノ滝へ向かう林道を彷彿とする。
そのコースは今、豪雪などによって橋が崩落し、通行止めになっているらしい。(詳細はこちら
この季節にそのコースを歩けないのはなんとも残念だが、そんな思いもこの景色のおかげで吹き飛んだ。

路肩の崩落箇所については進捗なし。

また、前回は気付かなかったが、ガードレールがひしゃげている箇所も。

8:03、上落合橋の登山口に到着。

赤岩橋を出発した時点では早朝の空気が少し肌寒かったのでウィンドブレイカーを着てここまで来たのだが、さすがに温まってきたので、脱いだ。
僕は薄手の長袖のランニングウェアとファイントラックのトレラン用のドライレイヤーだったが、連れ2名は半袖だ。岩にこすって擦りむいたりしなきゃいいけど。。。


登山届を出して、いよいよ登山道へ。
ハシゴを登ってすぐに現れる登山道の細さに、連れが弱気になる。

登山口からのすぐの雪渓は、前回より明らかに小さくなっていた。

この雪渓を渡ったところからの登山道が分かりにくく、前回戸惑った場所だ。
今回は分かっているから良いものの、やっぱり初見では分かりにくい。
連れがますます弱気になる。

が、ここから八丁峠へ突き上げる地味な急登に差し掛かると、全員汗ダクになり、もはや弱気になどなっている余裕は無かった。

尾根に近づくにつれ、日差しを遮るものがなくなり、強い日差しが照りつけるようになってくる。
群生する下草は、食べるとお腹が痛くなるやつである。
名前を失念していたのだが、前回の山行記を見た友人から、バイケイソウである旨の連絡があった。

ちなみにバイケイソウは、先日読んだ高桑信一氏の著書によるとウルイと間違えて食べてしまう事故が多いらしい。(それについては厚生労働省もこんな注意喚起を行っている。)


そうこうするうちに、8:56、八丁峠にたどりつく。

やっぱり最近体調が芳しくなく、いくら連れが居るとはいえ、コースタイムちょうどでしか歩けないというのは、なんとも不甲斐ない。

八丁峠のベンチで、ヘルメットを装着。
このルートで他にヘルメットをかぶっている人はいないけれど、安全登山励行が第一優先事項なので、連れの2人にもかぶってもらう。

9:25、1つめの小ピークの手前で振り返ると、八ヶ岳がはっきりと見えた。
連れの1人は八ヶ岳が大好きで、この八ヶ岳の姿を見て今にも八ヶ岳に転身したそうにしていた。

9:29、1つめの小ピークに到着。
飛竜や雲取方面の眺めが良い。

9:39、2つめの小ピークに到着。

見晴らしの良い場所に来ると、ついつい足を止めてしまう。

その後も登ったり降ったりしながら、
鎖場の基本動作をしっかりと練習する。
特にこのルートは浮き石や小石などが多く、落石させずに注意しながら登り降りをするトレーニングには最適な場所だ。

また、鎖を使わずに、岩を手がかりにして登るトレーニングも徹底した。
これによって、クライミングジムでは得られない、実際の岩の手応えが理解してもらえたと思う。
なにしろ、クライミングジムのホールドは、1つ1つが比較的大きくて数が少ないのに対して、この手の岩場では、手がかりになるホールドの数は多いものの、1つ1つが小さいという異なる特徴を備えているのだ。

岩場を登ると、素晴らしく見晴らしの良い場合が多く、しばしば足を止めて景色を堪能する。
西上州の山々の向こうには、雪をかぶった山並みが見えた。
あれはどこの山だろう? 谷川あたりか、それとも福島県の山なのか。

また、写真は撮り忘れたが、北アルプスも、大キレットや槍ヶ岳が視認できるほどクリアに見えた。
さらにその向こうには、後立山連峰と思われる山々の姿も見てとることができた。
この季節に、そんな遠くまで眺めることができるとは、僥倖以外の何ものでもない。

9:55、行蔵峠に到着。
登山口周辺のツツジはすでに終わっていたが、稜線はまさに花盛り。
ただし、花を愛でながら歩くと、コケる危険性の高いルートではある。

10:02、西岳に到着。

西岳の北面の壁から登ってくるクライマーは、西岳のこの広場↓に上がるのだけれど、
まさに我々が小休止しているときに、3名のクライマーがギアをガチャガチャさせながら登ってきた。
脱帽である。

西岳から鞍部に降りたところで、さらに岩を巻いて下に降りなければならないのだが
花に見とれて巻き方を間違えて、気付いたら岩の上に出てしまった。
本当にウッカリである。
しぶしぶ引き返し、大岩を巻く。

その後、東岳手前の崖を登り、東岳に到着。
写真も取り忘れ、到着時刻不明。

東岳でランチをとる。
先着していた80歳の男性4人組がベンチを使っていたので、こちらは岩に腰掛けて休んだ。

聞けば、その80歳の4人組は今年の夏に、西穂~奥穂~北穂~大キレット~槍というルートを4泊5日でピストンする計画なのだそうだ。
正直、彼らの半分程度の年齢の僕でも、4泊5日でやりきるのはキツイ。なんという元気なジーサンたちだろうか。
山に来るとこういう元気なジーサンと話す機会が多いが、その度に人生設計を見直さなければならないような気持ちになる。

東岳の山頂は心地よい風とさんさんと照りつける太陽と開けた展望がセットになり、このまま寝てしまいたかった。
が、さすがにそんなわけにもいかず、11:40頃には出発する。

東岳から両神山へは、平凡な尾根歩きが続く。
それでもアプダウンはけっこうそれなりにあるので、いい加減疲れてくる。

ややウンザリした頃に、両神山の山頂手前の稜線に出た。
そこは、モタモタとウロつく年配の女性で混雑していた。
やや険しい岩場を横切ろうとして、一番楽そうな場所を求めてあっちに行ったりこっちに来たり。
完全に他人のことなど眼中に無い。
そんな状態なので、当然譲り合いの気持ちを発揮してくれる訳もなく、正直なところこちらとしては邪魔に感じる。
せめて、行くなら行く、行かないなら行かない、しっかりと歩いてくれ、と。

その年配女性の群れをどうにかやり過ごして、12:24、両神山山頂に到着。

山頂はとても混んでいた。
しかも、平均年齢が異常に高い。
2週間前はこんな感じじゃなかったんだけどなー。

山頂の花は綺麗でした。

混雑した山頂に長居しても仕方がない。
さっさと八丁峠を目指して、来た道を引き返す。

今度は下り基調のため、視界が開けて眺めが良い。

岩と花。

岩と花2。

西岳から八丁峠への尾根。

岩と花3。

ここまで来る途中で、一度東岳ダウンした。
ここ1ヶ月ほどの間、日常的にめまいを感じるという体調不良にみまわれ、この日も調子は決して良くなかった。寝不足でもあり、いったん休憩を取らないと事故ってしまうと考え、15分ほどベンチに座り込んだ。
情けないが致し方ない。

その休憩が幸いして、なんとか気力と体力が復活。青空に励まされる思いがした。

花と岩と青空を楽しみながら歩いていると、顔面のかなりの面積にガーゼを貼り付けた登山者とすれ違った。
10名程度のパーティとすれ違ったのだが、その中の1人がそうだったのだ。

怪我でもしたのかな、と思ったが、特に気にせず先に進むと、岩場に大量の血痕が残されていた。
血痕は、10mぐらいにわたって、まるでコップからこぼしてしまったかのようにザバザバとたらされていた。
こんなに大量の出血をして、さっきの人は大丈夫なんだろうか。。。


その後も淡々と歩き、登り、降り、八丁峠を経て、16:20、上落合橋の登山口に到着。

ここからさらに30分ほど歩いて赤岩橋まで戻った。
途中の道では、新緑を心ゆくまで堪能した。

こうして僕たちのトレーニング山行は終了した。

これなら、表妙義も問題なく行けるかもしれない。


(完)



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