(PREV:2日目その2 「五色沼から東大巓」編へ)
東大巓の山頂で昼ごはんを食べ、すっかり元気になって再び歩き始めた。
しばらくは東大巓ののなだらかな尾根を下るのだが、ここが弥兵衛平だ。
ほとんどが湿地帯で木道歩きである。
ガスのかかったなだらかな湿原の木道を延々と歩いていると、ここがこの世なのかどうかの確信さえ持てなくなってくる。
この真っ直ぐ伸びる木道の向こうには、本当にただの縦走路があるだけなんだろうか。
なんだかだんだん夢見心地になってくる。
緑の湿原を抜け、
最鞍部の樹林帯を抜け、
登り返してすぐに大平温泉方面への分岐が現れる。
が、この分岐の道標になぜか、ここが藤十郎であるかのような書き方がされていた。
地図で見る限り、もっとこの先の小ピークが藤十郎なんじゃないかと思うんだが・・・。
大平温泉は車では辿り着けない秘湯だ。
この大平温泉のすぐ近くにある火焔滝を見てみたかったのだが、今回はスケジュール的に無理なので諦める。
謎の「藤十郎」標識から5分ほど歩くと、今度はヤケノママへの分岐が現れる。
まー、破線といっても色々なレベル感のルートがあるものだが、このルートは入り口からしてハードそうだ。
その入り口の写真はこちら。
2メートル進んだら、その先はヤブ。
歩ける気がしねぇ。
きっと沢登りの人たちが歩くようなルートなのだろう。
その後、本当の(?)藤十郎あたりまで登り、ふと東大巓方面を振り返ると、ガスが切れかかって弥兵衛平の湿原が姿を現した!
天気の良い時に来たら、どんなにか素晴らしい風景だったんだろうなと、たったこれだけの風景からでも充分に感じ取ることができた。
が、ほんの数十秒後には、またガスの向こうに姿を隠してしまった。
いつかまた、天気の良さそうな時期にリベンジすることを決意した。
この辺りからは、ゴロゴロの岩がルート上に増えてくる。
途中の道標周辺も、岩がゴロゴロ。
ここまで来れば、人形石はもう少しだ。
そしてついに人形石が見えてきた。
13:50、人形石に到着。
本日はここから縦走路を外れ、天元台スキー場のリフト乗り場に降りる。
その後、リフトに乗って天元台のペンション村に投宿するのだ。
結局、一切経を出てからここまでで出会った人はトレイルランナー2にだけ。
海の日の3連休なのに、どんだけ空いているのか、と。
その後、リフト乗り場に向かう30分弱の間に、3人の登山者を抜いた。実際のところは「登山者」というよりも、リフトで散歩に来た、という感じの出で立ちである。
リフトへの道はなかなか急な悪路で、高尾山のようなわけには全くいかない。僕が抜いた3人も、なかなか苦労しながら歩いていた。
さすがは東北の山である。容赦の無い感じがたまらん。
14:16、リフト乗り場到着。
この日の踏破距離、約15km。
予定よりも1時間早い到着だった。
リフト乗り場のオジサンに、浄土平から来たと伝えたら、
「あの道歩いてる人なんていなかっただろ~?」
と言われた。
やっぱりあの縦走路はみんな歩かないのか・・・。
リフトに乗って下界方面を見ながら下っていると、米沢市内のほうは雲が多いものの晴れているといってもいいお天気だ。恨めしい。
約35分かけて、天元台まで降りる。
リフトの降り場のすぐ向こうに、ペンション村はあった。
今晩はこのペンション村にある「ペンションかもしか」に投宿する。
縦走中とは思えない贅沢だが、いいんです、これで。
ペンションに到着すると、かわいらしい奥さんが応対してくれてドギマギしてしまう。
あとで聞いたところによると、この奥さん、山スキーやら沢登りやらをやってしまう、気合の入った方だった。スゴイ。
さっそくひとっ風呂失礼して、ビールをいただく。
テレビをつけると、大相撲中継では高見盛が負けていた。
もはや縦走中だということを忘れてしまいそうになる。
しかも、今晩の泊り客は僕だけだそうで。
心置きなくのんびりさせてもらえる環境だ。
きっと今頃、穂高あたりの山小屋はクソみたいに混んでるんだろうな。ウヒヒヒ。
18:00、夕食をいただく。
豪華な食事。
どれもこれも美味しく、至れり尽くせりだ。
お腹がパンパンになるまでいただいた。
まさに至福である。
このまま快適な寝床へ。
(3日目 「晴天、西吾妻、そして下山」編につづく)
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