このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年7月28日土曜日

山行記 : 2012年7月14日~ 吾妻連峰縦走【7】 3日目 「晴天、西吾妻、そして下山」編




(PREV:2日目その3 「天元台へ」編へ)


ペンションで迎える3日目の朝。
リフトでまた縦走路方面に登り返す予定だったが、リフトが動き始めるのが8時半なので、ゆっくりな朝を迎えた。
前日は21時には寝落ちしてしまったので、睡眠時間は充分。

朝食は7時半から。


これだけでも充分なメニューだが、これに加えてサクランボのジャムを乗せたヨーグルトと、その原料になる生のサクランボを出してもらえた。
このジャムが、サクランボの種を取ってそのまま丸煮した贅沢なジャムで、甘さもちょうど良くてとにかく美味い。生のサクランボも、奥さんによるとジャム用だから酸味が強いとのことだったが、僕にはちょうど良かった。さすが山形。
ロールパンの加熱もちょうど良くて、満たされた朝食だった。

8:30、リフトが動き出したのを窓越しに確認して出発する。
親戚の家に遊びに来たようなくつろぎを得たこのペンションには、また近いうちに来たいと思った。


リフトで登れるところまで登り、また徒歩で登り始める。
リフトからすぐに分岐が現れる。


左は人形石。右はかもしか展望台。
右に進む。

登ると、前日とはうって変わって、雲は多めながらも晴天。
中吾妻山も見える。

ちなみに、3つあるピークのうち、中吾妻は一番右手。
その向こうには、薄っすらと安達太良山が見える。
嗚呼、智恵子、本当の空がやっと見えたよ。(via 高村光太郎)

縦走路の分岐に到着。

左は人形石。右は西吾妻方面。正面には中吾妻。
当然、右に進む。目指すは西吾妻。

チングルマのお花畑だ。


登山道のまわりにも沢山のチングルマが咲き乱れている。

なんとも風光明媚。

1日目、2日目がガスっていたのを取り返すほどの見晴らし。雲は多いけど。

9:53、大凹の水場に到着。


ここから少しの間、岩場の急登が続く。


これが意外ときつい登りで、傾斜が50度以上ある。
しかも笹や樹木で視界は無し。

斜度が緩くなったあたりから、再び視界が開ける。

来し方である中大巓。


梵天岩に至る木道。


いろは沼と、その向こうに見える中吾妻。さらにその向こうに見える安達太良山。


木道沿いのチングルマ。


梵天岩が見えてきた。


この梵天岩へのルートは、このまま直登するのではなく、右手に巻いてピークの反対側に出るのが正しい。

僕はうっかり直登してしまい、金峰山の山頂を思い出した。

ピーク直下にはゴゼンタチバナの花。


10:22、梵天岩のピークに登頂。

ピークから見た中大巓と弥兵衛平。




前の日にガスがかかっていなければ、向こうからこの場所が見えたんだなぁと、改めて残念に思った。

同じく、梵天岩ピークから見た、一切経・吾妻縦走路の峰々。


写真右端には一切経。昨日は概ねこの範囲を歩いたのだ。(実際はもうちょっと長い。)

同じく、中吾妻山と安達太良山。


さらに、多分、西吾妻山。


さらにさらに、雲に隠れ気味ではあるが、遠く飯豊連峰も見えた。


雲の切れ間から見える飯豊連峰はまだ雪に覆われていて、なんだかすごく神々しい。
よし、来年の海の日3連休は、高校時代からの憧れである飯豊連峰に決めた。

本当は高校3年の時の山岳部の合宿地が飯豊連峰だったのだが、親の同意を得られずに、部長でありながら参加できなかったという苦い思い出がある。(今でもそれを根に持っていたりする。)
ついに、リベンジを来年果たす決心がついた。

なお、地元のおじさんの話によると、この梵天岩からは、天気が良ければ月山が見えるとのこと。
ただ、散々通い詰めているそのおじさんも、まだ1度しか見たことが無いとのこと。たしかに、夏は空気が澄みにくいし、このあたりは冬は曇天が多いだろうから、機会は少なそうだ。

梵天岩の標識はこんな感じ。


この梵天岩からほんの2、3分のところに、天狗岩と呼ばれる場所がある。


天狗岩はやたらとだだっ広い岩場だ。
この広場の西の端に吾妻神社が建っている。


風雪の厳しい場所だけに、岩を積み上げた頑丈な外壁だ。
この吾妻神社のすぐ向かい側から西吾妻避難小屋に向かう登山道が伸びているが、これを下ると西吾妻山のピークを踏むことができない。

その登山道の入り口から臨む西吾妻避難小屋と、西吾妻山から西に張り出した特徴的な尾根。



正しい道は、天狗岩の南東にある。

西吾妻山山頂には、天狗岩から10分ほどでたどりつく。
10:50登頂。


展望はゼロ。

ペンションの奥さんからは「全然展望が無いので有名」と言われ、道中で出会ったオッサンからは「あんなところはただの道」と言われ、いったいどんな百名山だよと思っていたのだが、本当にこりゃヒドイ。
たしかにこれはただの道端。分岐ですらない。
今回の縦走の中で、最後のピークがここなのに。嗚呼。。。

特に何をするでもないので、さっさと通過することにした。

ここから先は、西吾妻避難小屋を経由して若女平コースを白布温泉まで降りる。

西吾妻のピークを下り始めると、視界が開け始めた。
西南西には、初めて見る西大巓。




その少し左には磐梯山。


磐梯山は、オハラショウスケ氏が、朝寝、朝酒、朝湯のトリプルコンボで身上を潰したことで有名な山である。

そして、相変わらず雲に姿を中途半端に隠した飯豊連峰と、西吾妻避難小屋の赤い屋根。


その西吾妻避難小屋に、11:06到着。


さすが豪雪地帯。2階の窓から入れるようになっている。
特に用は無いのだが、せっかくなので見学がてら中を覗いてみる。


良くも悪くも、普通の避難小屋。
というわけで、見るものも見たことだし、あとはもう下山するだけだ。

ここから先の行程は樹林帯をひたすら下るだけと予想していた(歩いてみたら実際にそうだった)ので、非常に気が重い。

若女平への分岐。これを左折する。


ちなみに、真っ直ぐ木道に沿って行くと、先ほどの天狗岩に至る。

若女平コースは、木道などあるわけが無い。
分岐から先はグチュグチュの泥との戦いが始まるのである。


若女平コースは、どう考えても通る人の少ないコースだ。
だって、ほんの2時間で天元台のリフト&ロープウェイを使って白布温泉へ降りられるのに、見るべきものも無いこの樹林帯を誰が好きこのんで3時間も歩くというのか。

案の定、僕が見た登山者は、登ってくるオジサン1人。下っていく人2人。梵天岩や西吾妻避難小屋前の賑わいを考えると、ウソのように閑散としている。

実際、もう1度この道を歩きたいかと言われれば、僕としても答えは「NO!」だ。
なにしろ、「展望が無い」などということ以上に、「滑る」「ぬかるむ」「濡れる」という状況に、登山口に着くまでずっと苦しめられたのだ。

地形図で見る限り、かなり標高を下げるまではずっと尾根道のはずなのに、登山道は沢のようになっていて、ゴツゴツの岩が滑る滑る。
もちろん、岩っぽい地面のところは清水、土っぽい地面のところはぬかるみ、と、どこまで行っても靴の中が乾かない状態が続いた。
あまりに沢っぽいので、道を間違えて沢に迷い込んだのではないかと思って周りを見渡してみるのだが、木々の隙間から見える様子からすると、やっぱり尾根を歩いているようだ。

そして、不安になりながらしばらく歩くと、ここが登山道であることを示す金属プレートが現れる。


唯一の救いは、ヤブで道が塞がれているという場所がそれほど多くなかったことだ。(もちろん、ゼロではない。)

そんな道なので、当然、何度もコケた。この若女平コースだけで、全身に幾つものアザを作った。
捻挫や骨折に至らなくて本当に良かった・・・。

唯一の見どころは、このコース上の水溜りに大量のオタマジャクシが泳いでいたことだ。


この大量のオタマジャクシ、サイズ感を考えれば小型のカエルではないかと思う。
また、アマガエルのように水中に卵を産むカエルが、こんな登山道の水溜り(といっても、増水すれば沢になるんだろうけど)に卵を産むことは考えにくい。
もしかしたらモリアオガエル?!
結局僕の知識では同定できず。踏まないように脇に避けて歩くことだけが、そのときの僕にできる唯一の対応だった。

※追記
調べてみたら、どうもアズマヒキガエルだったようだ。
大人になるとあんなにデカくなるのに、オタマジャクシは小さいんだそうだ。


さて、このコースには、途中で「若女平」という地点があるかのように、山と高原地図には書いてある。
僕の見落としかもしれないが、少なくともその地点を示す標識は最後まで見つけられなかった。
地形的には、後から「あー、あれが若女平だったんだろうなー」というのは思い当たったのだが。

そうこうするうちに、登山道がどんどん沢に向かって下り始めた。地形図と照らしてみると、藤右ェ門沢に下りるようだ。
降りてみると、登山道にありがちな、沢と道が一緒クタになった場所だった。
渡渉というほど深くないが、トレランシューズで無事で済むほど浅くも無い。ううう、、、

沢筋には、名前の分からない花も咲いていた。



そこを抜けると、出し抜けに登山口への標識が現れる。


その標識からすぐに沢を渡る橋が現れ、


その先すぐに、若女平登山口に至る。
13:49、若女平登山口に到着。




登山口には、白布温泉のでっかい看板が。




ここからは、普通のアスファルトの道を10分ほど歩き、東屋へ。




温泉に入ってサッパリして、路線バスで米沢へ。
こうして僕の吾妻連峰縦走は終わったのだ。




総括へつづく)

0 件のコメント:

コメントを投稿