このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年7月25日水曜日

山行記 : 2012年7月14日~ 吾妻連峰縦走【5】 2日目その2 「五色沼から東大巓」編



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一切経から五色沼方面に下りる登山道は、すぐに樹林帯に入る。
思ったとおり、樹林帯では全く風が無く、ウィンドブレーカー代わりに雨具を着ていると、少し暑さを感じるぐらいだった。

低い位置から見る五色沼もまたオツなもの。

20年以上前、当時在籍していた高校の山岳部で吾妻山登山に来たときに、たぶんこの辺りを通った気がするのだが、当時の絵が全く思い出せない。

この最鞍部近くに、1つの石碑が建っている。

どうにも達筆で読み取れず、人の影も無い強風吹きすさぶ曇天模様の山の中で長時間石碑と対峙するのも気味悪いため、詳細確認できず。


家形山への登りの途中で、高湯温泉方面への分岐が現れる。

この分岐からさらに登るとすぐに、ヤブで登山道が閉ざされていた。
いくら東北の山だとはいえ、こんなにヤブが濃いのかと驚く。
とりあえず、掻き分け掻き分け進むと、すぐにヤブが切れ、明瞭な登山道が現れ、ホッとする。

その後すぐ、五色温泉に降りる道との分岐に到着。


あれ?いつの間にか家形山のピークを過ぎてしまったようだ。。。

吾妻小舎にあったノートには、1週間前にこのルートを通った方が書いた記録があり、それによるとここから先の登山道はしばらく、道なのか沼なのか分からないようなヒドイ状態だとのこと。
心して進まねば。

分岐から3分。早くも登山道沿いにミズバショウが生い茂り始める。

ミズバショウって湿地の植物じゃなかったっけ・・・?
そう、実際に登山道付近はまさに湿地帯で、登山道を整備してくれた人が敷設したと思われる飛び石の上を歩かないと靴が泥まみれになるような、ひどい道だ。

ミズバショウのすごい群生地なのだが、残念ながら花はもうほとんど終わっていた。

残った花も、すでに元気が無かった。

あと1週間早ければ・・・。無念。

ところで、ミズバショウを見るたびに思うのだが、この葉っぱ、おひたしにしたら美味そうな外見をしてるよなー、と。
でも、毒があるので食べてはいけない。うーん、こんな美味そうに見えるのに。

そこから数分歩くと、分岐の道標が現れた。

あれ?なんでこんなところに家形山の道標が??
地図で見る限り、家形山の山頂には分岐なんか無いんだけどな・・・。
いずれにしても、この分岐から西に進むのは間違いないので、道標どおり左折する。

ここからが、本当の悪路だった。

まず、ぬかるみばかりの登山道を進むと、堀田林道への分岐が現れる。

その後すぐに兵子新道への分岐が現れる。

柱型の道標のほかに、金属板を木の幹に打ち付けたものもあった。

兵子と姥湯の間には、「三階滝」の文字が赤く塗りつぶされていた。
地図を見ると、兵子新道は三階滝を通っていない。むしろ、三階滝を遠巻きに回避するように、ぐるっと回り込んでいる。昔は滝のほうにも道があったのかなぁ。

さて、家形山の道標からここまで、道標の周辺だけを写真で見る分には普通の登山道に見えるわけだが、実は、途中何度もヤブこぎをしなくてはならなかった。
これが道なのか?と疑わざるを得ないようなところもあった。むしろ、ヤブが生い茂りすぎて、道が全く見えない部分も多々あった。

たとえば、これ。↓

ただのヤブに見えるが、実は登山道だ。
この赤い矢印のところを、登山道が通っている。

こんなレベルのヤブがたびたび現れて、そのたびに掻き分けながら進まなければならない。
確かに足元は道の感触があるのだが、いかんせん目視確認ができないので、穴があったり段差があったりすれば確実に落ちる。なので、慎重に慎重に、足元の感触を確かめながら進むのである。

この登山道沿いには、たびたび木の幹に、ここが縦走路である旨のプレートが打ちつけてあるが、

こんなにヤブだらけだと、縦走路であることを疑ってしまう。
実際に、あまりにヤブが長いので、いったん引き返して地形図を再確認するようなことも2、3度発生した。
人影も全く無いし、何か有ったらと思うと正直なところ少し怖い。

そうこうするうちに、やっとニセ烏帽子山のピークにたどりついた。

「ニセ」だけあって、狭い山頂だ。
すぐに通過する。

ここからいったん標高を下げ、再び登り返して、10:23、烏帽子山の山頂に到着。

烏帽子山の山頂はハイマツばかりのゴロゴロした岩場で、遮るものが無いために風が強い。
晴れていれば南側の展望を遮るものは何も無く、すばらしい景色なんだろうけど、隣の尾根もロクに見えないようなガスの中にあっては、ただただ風が強いだけのクソ岩場だ。


このクソ岩場を、強風に煽られながら、いったん南側に下りる。

風が強くてバランスを崩されそうになる上に、ガスのせいで岩が湿り気を帯びていて滑りやすく、恐怖でしかない。
樹林帯にいるときは寒さを感じることはなかったが、強風に煽られてどんどん体温を持っていかれる。
レインウェアを着ているのに、こんなに一気に体温を持っていかれるとは!
やはり強風というのは、いろいろな意味で怖いものだ。

その後すぐに、登山道は再び樹林帯に入り、またしてもヤブこぎが始まる。


そして、地味にキツい登り返しの後、11:11、昭元山の山頂に到達。

特に見るべきもののない山頂だったのでそのまま通過。

再びジワジワと高度を下げ、再びジワジワと登り返す。
やっぱりここでも登山道はぬかるみだらけ。
もはやこの時点で、ゴアテックス製のトレランシューズは泥だらけで、完全に浸水していた。歩くたびにグチャグチャと不快な音がするぐらいに。

そんな中、何かの罠なんじゃないかという風景に出くわした。
それがこれだ。

なんと、大きな水溜りの途中で飛び石が途切れているのだ。

仕方が無いので、浅そうなところをビチャビチャ歩いたわけだが、靴の中への浸水がより酷くなったのは当然である。

しかし、この辺りまで来ると、もうヤブこぎの必要が無いぐらいに視界は開けてきた。やや風はあるものの、適度に樹木もあるため、強風に煽られることもなく、ぬかるみ以外はかなり快適な状態である。
視界は悪いが、カンカン照りよりは気持ちよく歩けるというものである。

11:53、東大巓分岐に到着。

ここから先は木道が整備されていて、非常に歩きやすいルートになる。

ちなみに、一切経を出てからここまで、出会った登山者はゼロ。本当に誰も歩かないんだなーと、シミジミ思った。

ここまでは登山道近辺の植生といったら熊笹とミズバショウぐらいだったが、ここにきてチングルマがちらほら見られるようになってきた。

チングルマにはさまれるように、イワカガミの姿も。

東大巓の山頂手前の平原に出ると、チングルマのお花畑が広がっていた。


このあたりで、前方から2人のトレイルランナーが走ってきた。
この天気の中、2人ともタンクトップにランパンだ。


そんなカッコでヤブは大丈夫なんだろうか。
何処から来て、何処に行くのだろうか。
やはり僕がトレランをしているときも、ハタから見ると彼らと同様に常軌を逸しているように見えるのだろうか。
いろいろな疑問が湧いてきて、少し混乱した。



12:11、東大巓の山頂に向かう脇道を示す道標に行き当たる。


ここから、やはりヤブを掻き分けるように小道を登ると、東大巓の山頂に至る。

山頂は樹林の中にあって、晴れていたとしても展望は皆無と思われる。
非常に狭い山頂で、せいぜい2坪といったところか。


だが、ロクに休むところもない単線の木道の上よりは、ここで休憩するのが得策のように思えた。
風も遮られているので非常に都合が良い。
というわけで、吾妻小舎で作ってもらったお弁当をここで広げることにした。

お弁当は、大き目のおにぎり(具は梅干)が2つと、シャケ、壷漬けだ。

これが美味いのなんのって、食べながら吾妻小舎の方角に向かって何度感謝の言葉を述べたことか。(周りに人がいなくて本当に良かった。。。)
今こうしてこれを書いていても、涙が出そうになる程だ。

このおにぎりのおかげで気力がみなぎり、残りの行程も頑張ろうという気になれた。
吾妻小舎のお弁当、お勧めである。



2日目その3 「天元台へ」編につづく)

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