2013年4月17日、加藤則芳さんが亡くなった。
筋委縮性側索硬化症(ALS)を患い寝たきりとなりながらも、積極的にインタビューや口述筆記といった方法で、アウトドアの魅力や自然保護の大切さを訴え続けた晩年であったそうだ。
その遺作とも言うべき書籍が先ごろ出版された。
それが『ロングトレイルを歩く 自然がぼくの学校だった』である。
内容は、大きな字で著者の人生を振り返ったものである。
中高生やトレッキング(ハイキング)の初心者を読者対象とすべく、易しい語り口で、自然やロングトレイルの魅力を力強く記されている。
まさしく、若い世代、未来ある人々に対する遺書と考えて差し支えないものなのだろう。
僕のような、四十路のオッサンが買ってしまい、中高生の目に触れる機会を奪ってしまったことを心から反省しつつ、それでも、僕もこの遺書は読んでおきたかったのだ。
これまでの著書を読んでいれば、本書に目新しい情報が含まれているわけではないだろう。
が、死を目の前にして語っておきたかった総括であることを考えれば、込み上げるものを抑えきれない。
本書を読まずして、何を読むのか。「新潮文庫の百冊」などよりも、少年少女には本書を強く勧めるのである。
余談だが、著者が晩年に関わったロングトレイルプロジェクトである「みちのく潮風トレイル」は、僕の出身地の町も通る。そんなことにまで、何やら縁を感じずにはいられないのである。
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