このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2014年11月29日土曜日

山行記 : 2014年11月22日 滝子山 想定外のポカポカ陽気と積雪

晩秋のみぎり、近郊の山でも標高1000m以上では紅葉も終わり、いよいよ冬山の季節に突入しつつあるこの時期、山梨県の滝子山に行ってきた。

発端は、登山仲間である滝マニアの、滝子山のナメ滝が見たいという発言だった。
その滝マニアに加え、登山初心者の女子を加え、3名パーティで臨むことにした。


元々の予定では笹子駅まで電車移動の後に、タクシーで道証地蔵("ミチアカシジゾウ"と読むらしい)まで乗り付けるつもりだった。
が、笹子駅前にはタクシーが常駐していないそうなので、そのエリアをテリトリーにする大月タクシーに電話をして迎車をお願いしようとしたところ、大月駅から乗っても笹子駅から乗っても、道証地蔵までの料金は同じだという。
実際に乗車する距離は明らかに笹子駅からのほうが短いのだが、笹子駅までは遠いので、回送分を貰い受けないと迎車は出せないため、結果として料金は同じになるとのことだった。
それなら、ということで、大月駅で下車し、そこからタクシーで道証地蔵まで向かうことにした。

それも踏まえ、コースは以下のとおり。


道証地蔵から登山道に入り、沢沿いの登山道を登る。
その後、山頂の北側から滝子山山頂へ。
山頂でランチの後に、初狩駅へ下山。
コースタイムとしては6時間弱というところだが、初心者を帯同するため、もう少し時間がかかりそうだ。


新宿発7:30の特急あずさに乗り、新宿を出発する。
約1時間で大月駅に到着。
岩殿山の紅葉が真っ盛り。
もう岩殿山でいいんじゃないの?と思わせるほどの美しさだった。(コンデジの写真では再現性が乏しいけれど。。。)

トイレやらなんやらを済ませて、タクシーに乗り込む。
運転手さんは、今まさに道証地蔵まで登山者を乗せて帰ってきたところだという。まさにピストン輸送。

30分ほどで道証地蔵に到着。
本当にお地蔵さんがいるだけ。

9:15出発。
道証地蔵からいったん沢沿いに下りる。

すぐに橋が現れ、沢を渡る。
橋の上から見た沢は、まさに紅葉真っ只中。

沢を渡ると、ゆるやかな登山道をじりじりと登る。
登り始めてすぐ、連れの2人が音を上げ始めたので、超スローペースに切り替える。
果たしてこのペースで無事に夕暮れまでに下山できるのだろうか。

しばらく歩くと、沢向こうの峰が木々の間から垣間見えた。
見事な紅葉にテンションも上がりっぱなし。

足元にも紅葉。

道沿いの斜面にも紅葉。

道は次第に沢に向かって下りていき、
9:45、橋を渡る。
渓流には倒木も多い。

沢を渡ってすぐ、「三丈の滝」という案内板が現れる。

そのすぐ先に再び別な「三丈の滝」の案内板があり、その足元には小さな滝があった。
1丈は約3mなので、約9mといった規模感を表している。そんな厳密な話じゃないだろうけれど。

その先、沢を右下に見ながらの登山道歩き。

振り向くと、水面に陽光が反射して眩しい。

空も快晴。

気持ちよく歩いていたら、9:55、倒木が道を塞いでいた。
近づいてみると、少し上を巻いて跨ぎやすい場所まで踏み跡が着いていた。
が、跨いで跨げないこともない。
跨いでみると、向こう側にギリギリ足が届かない。己の短足を嘆きながら、倒木の幹を抱き抱えるようにしつつ、エイヤっ!と向こう側に足を着いたら、そこには濡れた石が。
滑ってコケて頭をぶつけた。痛い。

その様子を見ていた連れ2人は、迷わず跨ぎやすい場所まで巻いて倒木を越えた。
まさに、急がば回れ。

10:03、なにか案内板がある、と思ったら、
「ガンバレ ファイト」の激励だった。
ありがたいのだけれども、ちょっと紛らわしい・・・。

再び渓流を右下に見ながら、登山道を進む。

10:05、またもや案内板が現れる。
モチガ滝まで15分とのこと。

空は青く、葉は赤い。

次第に尾根が近付いてくる。

10:18、分岐が現れる。
見ると、元々予定していた沢沿いの道は「難路」とわざわざ書かれている。
「山と高原地図」には「悪路で歩きにくい」と書いてあるものの、手元にある2011年度版では実線になっていたので、マズそうな道になったら引き返すつもりで沢沿いを行くことにした。
(2014年度版では、破線になっていた。。。)

なにせ、沢沿いを行かないとモチガ滝を見れないのだ。

歩き出しは、特に歩きにくいこともない。
道を辿ってすぐに、大きな滝が木々の間から見えた。
これがモチガ滝。眺めは全然良くない。
ううう、、、

その先、登山道はかなり細くなる。

登山道から見る沢には、たびたび滝もどきの急流が見えた。

10:30、なかなかステキな滝が現れる。

その先ですぐ、大きな岩を無理やり巻くように道が付いているが、歩行に問題は無い。
この岩の向こうは、砂のようにザレた登山道だった。
砂で滑るだけでなく、谷側に傾斜した登山道は確かに歩きにくい。
慎重に歩けば特にどうということは無いが、快適とは言い難い。

滝のほうを振り返ると、谷の切れ間から見える空。

10:41、今度は素晴らしいナメ滝が現れる。



その先にもナメ床がある。
たいへん良い沢だ。

10:54、巻道との合流点に到着。

巻道との合流後は、やはり道が歩きやすくなる。
確かに沢沿いの道は多少歩きにくかった。

目の前にはカラマツ林は広がる。

すぐ後、小さな支流を渡渉する。
この時期なのに、水量が多い。

11:00、防火帯と思われる箇所を通過。

カラマツと青空。

11:13、この次の防火帯を上がる登山道の基部まで来たところで、
足元を見ると、氷のようなものが目に付いた。
これは、、、雪・・・?
え、まさかだよね・・・。

こんな時期のこんな場所で、雪が残ってるわけがないよね?

頭にクエスチョンマークを付けたまま先に進むと、
あ、やっぱり雪だ・・・。

とはいえ、この程度の雪ならば行動に問題は無いだろう。
と思っていたら、次第に登山道の雪が増えてきた。
うーむ。。。

11:22、小さな橋を渡る。
沢の底には緑がかった綺麗な砂で埋め尽くされている。

沢を渡ってすぐに、いよいよ登山道に雪が付き始める。
しかも、それがけっこう続く。
続く。

尾根に出でも、雪が残っている。

上がるに連れて、どんどん雪の面積が大きく、深くなっていく。

もはや雪山である。
幸い、雪の深さは3~5cm程度で、傾斜もキツくないため、問題なく歩くことができた。
が、防水ではないトレランシューズを履いていた僕は、シューズ内に次第にジワジワと水が染みてくるのを感じずにはいられなかった。
やはりトレランシューズは、雪道にはそぐわない。

振り返ると、稜線の向こうに八ヶ岳がよく見えた。

雪面にはシカのものと思われる足跡。

12:00、大谷ヶ丸への巻道との分岐に到着。

ここから、地味にキツい上りが始まる。
たまに下り斜面も現れたりしつつ、基本的に斜面に対して斜めに上る。

12:04、白縫神社に到着。
この白縫神社には、源為朝の伝説があるそうで。(詳細はこちらを参照)

ここから先は、踏み固められた雪が凍結している箇所もあり、集中力を要する難所であった。
この場所は、今日が登山初体験の連れにはやや厳しかったのだが、あと5分で稜線に出ることができそうな位置だったことと、万が一転倒したとしても大きな事故になるような場所ではなかったことから、このまま山頂を目指すことにした。

12:17、悪戦苦闘(←連れが)の末、ついに稜線に出た。
ここまで来れば、もう雪の心配は無い。

最後の山頂直下の斜面を一気に上る。

そして、12:22、ついに滝子山の山頂に到着。
背後には大菩薩嶺。

金峰山や甲武信ヶ岳、八ヶ岳もくっきり。

大月盆地方面も丸見え。

そして、富士山もキレイに見えた。
なんという眺めだろうか。
しばし唖然としながら、惚けた様に景色に見とれる。

気を取り直して、ランチにする。
山頂は団体客に占拠されていたため、寂ショウ尾根の降り口まで行って場所を確保する。

寂ショウ尾根を見下ろすと、名前のとおり寂しい感じ。

降り口には「この先危険」の看板も。

もちろんこんなルートを下りるわけもなく、おとなしくランチを食べる。
陽気がポカポカで、昼寝をしたくなる。下山するのがメンドクサイ。
そんな重い腰をやっと上げたのは13:23。
丸々1時間も滞在してしまった。

山頂から、檜平を経由して、藤沢に下山する。

まずは山頂直下の急坂を降り、尾根を直進する。
登山初体験の連れは、下り坂に苦戦をしてペースが上がらない。

13:32、滝子山二等三角点に到着。
滝子山の三角点は、なぜか山頂ではなく、こんなに下ったところに設置されている。

ここからは、少し急な坂を下りる。
が、それも長くは続かず、すぐになだらかな尾根道となる。

13:53、男坂と女坂の分岐に到着。
下りの苦手な連れのことを考えると、迷わず女坂にルートを取った。

女坂は、ツヅラ折に標高を下げる道だった。

14:13、檜平に到着。
富士山がよく見える。

14:39、ちょっと珍しい風景を発見。
細い樹木が太い倒木に巻き込まれて幹を折られたにもかかわらず、そこからさらに成長を続けているのだ。
明らかに幹を折られているのに、どうやって栄養を吸い上げているのだろう。

15:04、分岐に到着。
「山と高原地図」では、ここを左折して尾根を降り、谷へ下りて藤沢に出るルートしか書かれていない。
が、この道標では、尾根を直進するルートもあるやに示されている。その向かう先の地名は「立河原」。地図を見てもよく分からず。ただ、地形図には確かにこの尾根を辿る道が示されてはいるんだよね。なぜ「山と高原地図」にはこのルートが載っていないのだろうか。

尾根道に興味はあるものの、当初の予定通り藤沢に下りるために我々は尾根を外れることにした。

尾根を外れると、そこは暗く退屈な針葉樹林帯。
ペースが上がらないため、タイムに大幅な遅延が出ているため、暗いのは針葉樹林のせいであるのが分かっていても、気持ちはやや焦る。
日没は16時半頃なので、それまでには舗装路に出たい。いや、「日没までに舗装路に出られれば大丈夫」と自分に言い聞かせることで、冷静さを保つよう心がけた。


どんどん標高を下げていくうちに、沢の音が聞こえるようになってきた。
そして、15:41、「最後の水場」の道標が現れた。
道標に従って水場を見に行くと、100m程度で到着。
「水場」とはいえ、飲用には適さないようだ。

その後、沢沿いに下る。

16:01、樹木の間から滝が現れた。
けっこう大きな滝だが、名前は無いのだろうか。

道を埋める落ち葉も、標高を下げたことでだいぶ植生が変わってきた。

黄色いカエデも美しい。

16:26、最後の渡渉。
これが林道終点か?とも思ったが、確信を持てないまま進む。
すると、両側からかなり草がせり出しているものの、ワダチのように見えないこともない跡が道に着いていた。
が、こんな狭い道、ジムニーじゃないと入れないんじゃなかろうか。

16:29、やたら開けた場所に出た。
ここが林道終点だったのかも。

その先ですぐ、舗装された道になった。
ここまで来ればもう安心だ。
日が暮れても危険は無い。

16:38、一般道に到着。
あとはアスファルトの公道を歩いて藤沢集落を抜け、初狩駅に向かうだけだ。

安堵感に浸りながら歩いた藤沢集落からは、夕焼けに映える富士山の姿がよく見えた。
この集落の人は、こんな贅沢な風景を日常的に見ているのか。
羨ましい。

こうして初心者を連れての滝子山登山は終わった。


(了)


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