6月といえば、奥多摩・石尾根にある千本ツツジのツツジが見頃だ。と、前々から聞いていたが、雨の日の登山が面倒で、いままでお目にかかったことがなかった。
今年こそはと思い、友人を誘って行くことにした。
朝の5時台に新宿で中央線に乗り込み奥多摩に向かうのだが、いつもながらこの時刻の新宿駅はカオスだ。ホームに居る人々が酒臭い。
自分も若い頃はそういう遊び方ばかりだったが、それに興味が無くなった頃に再び登山に目が向くようになったんだよなぁ、と振り返る。
7:55、奥多摩駅をバスで出発。
午後からは雨の予報だが、今のところはまだ大丈夫そう。
8:30頃、峰谷バス停到着。
そこには、周辺の案内板があった。
「峰」とか「奥」とか、本で見たことのある集落の名前が載っていて、ちょっと興奮する。
ちなみに、この停留所には立派な公衆トイレがあり、キレイな水洗トイレで用を足せる。
ここから先、どっち方面に向かうにしてもしばらくの間トイレとは無縁な登山道なので、しっかりと用を済ませておきたいところだ。
峰谷バス停からは、鷹ノ巣山へ向かう道と、千本ツツジに向かう道がある。
鷹ノ巣へは、林道を延々と歩き奥集落を抜けて浅間尾根を登る。
一方、今回の僕らの目的地である千本ツツジへは、やはり林道を延々と歩いて峰集落を抜け、赤指尾根を登る。
峰谷では約20人程度の登山客がバスを降りたのだが、鷹ノ巣方面に向かう登山者がほとんどで、千本ツツジ方面は僕ら2人のほか、3人パーティが1組、ソロトレッカーが1人、トレイルランナー1人だけだった。
身支度を整え、8:45、いよいよ出発。
林道をくねくね登っていくこともできるのだが、案内板はいきなり民家の方を指している。
ここを通るとショートカットできるようだ。
これはきっと民家の方のご好意なのだろう。ありがたく通らせていただく。
ただ、本当にガチで民家の庭先なので、少しだけ心がハラハラする。
庭先を抜けてもおそらくまだ民家の敷地内なんではないかと思うのだが、しっかりと標識が立っている。
ありがたい話だ。
そのまま作業道のようなところをたどる。
右手の畑には電気柵が!
やっぱり触ったらビリッと来るんだろうなー。
すごく確認したい欲求にかられるが、なんとか思いとどまる。
電気柵に気を取られながら歩いていると、すぐに林道に合流。
ここからがひたすら退屈な舗装道路を歩く。
畑仕事をしている地元のおばあさんに挨拶したりしながら、ひたすら峰集落を歩くこと1時間弱。
唐突にゲートが現れた。
ここで舗装路は終わり。
ここから先は舗装されていない林道となる。
その林道を歩くこと5分。
唐突にトレイルの入口が現れた。
唐突すぎて、標識がなかったら、まさかこれが登山道とは思わないだろう。
ここからはひたすら、退屈な杉の植林を歩く。
途中で1度林道を横断する。
このあたりは、倒木が多く、所々で踏み跡を見失いそうになることがある。
前日が嵐に近い天候だったようで、杉の落ち葉が多く、ただでさえ通る人の少ない道を隠しがちで、慎重に見極めながら歩かなくてはならなかった。
そんな植林を抜け、
10:50、赤指山(たぶん)の山頂直下に出る。
周辺の様子からすると、尾根をたどっていけば赤指山の山頂を踏むことができる。
実際、尾根も歩けそうな気配だ。
だが、明確な登山道は尾根の東側についている。(写真ではちょっとわかりづらいかも。)
歩いて楽しそうなのは尾根だったが、小雨が時折パラつくような天気だったので、大事をとって明確な登山道を歩くことにした。
登山道は尾根の少し下を並行して通っている。
尾根はピークを迎え、再び登山道に合流するように標高を下げる。
登山道と尾根の合流地点にたどりつくと、そこには標識が。
なんだよ、尾根も道だったのかよ!
このあたり、「山と高原地図」と2万5000分の1の地図とで、登山道のつき方が違うのでよくわからん。
さて、このあたりはこのルートで珍しく平らな場所で、しかも大きな広葉樹もあるので、少し早いがランチにすることにした。
↓こんな感じの場所。
この先、落ち着いてメシを食えるような場所があるのかもよく分からないということと、おそらく天気も悪化することが予想されたので、大きな広葉樹の下であれば雨が降っても屋根代わりになってくれるであろうと。
結果から言うと、これは大正解の判断だった。
ランチを食べている間に本降りになり、木陰でなければヒドイ目に遭うところだった。
今回のランチはめずらしくちゃんと調理をしてみた。
献立は、
・野菜とコンビーフのスープ
・バケット(バジルアンチョビペースト添え)
の2品。
レシピは別途ご紹介。
やはり、山ゴハンは多少凝ったものを作ってみると幸せを感じる。特に日帰り登山は荷物が少なくて済むので、多少食料をいろいろ担いでも平気なのが嬉しい。
というわけで、幸せを感じすぎて、ランチに1時間半もかけてしまった。
正気に戻って、12:30、慌てて出発。
ランチの間に降っていた雨は止んでいた。ちょうど良い雨宿りだったと言えよう。
しばらくは裏山っぽいのどかなトレイルが続く。
あんまり登山道が立派じゃないあたりが、よりウィルダネスっぽくて良い。
これこそが不人気コースの醍醐味だ。
だが、そんな幸せも長くは続かなかった。
なだらかなトレイルはすぐに終わりを迎え、急登の続く杉林が現れた。
急なばかりで全く面白みの無い道。
最初の林道歩きと併せて、このルートが人気の無い理由がよく分かった。
たった20分程度の素敵なトレイルのために、こんなシンドイ思いをしたのでは割に合わない。
そんなわけで、写真を撮る気にもならず、ひたすら黙々と歩いた。
汗がダクダクと流れ落ちる。
この時期にしてはかなり空気がヒンヤリしている方だと思うが、それでも暑くて仕方が無い。
これで天気が良かったら干からびて死んでいただろう。
それを思うと、視界を遮るモヤを愛おしく感じた。
急登を歩き続けること約40分、木々の間からやっと石尾根らしきものが頭上に見えてきた。
そういえば、周りにツツジが頻繁に見られるようになってきていた。
いよいよ千本ツツジか?
と、ついに石尾根の巻き道にぶつかる。
これで、あとは尾根に上がれば、本日の上り坂はほぼ終了だ!
周囲はたくさんのツツジに彩られていて、まさに千本ツツジ。
ついにこの時期にここに来たのだ。
ツツジの写真を撮りながら石尾根に向かう。
霧の向こうに色鮮やかなツツジというのは、なかなか美しいものだ。
炎天下のツツジよりも艶やかさを感じる。
赤いツツジも咲いていた。
赤と紫のコントラスト。
針葉樹には水滴が光っていた。
もちろん、晴れていれば見えたはずの遠くの山々は一切見えない。
入浴剤でも溶かしたかのような、完全な乳白色の世界。
でも、ランチの時に降って以来、雨は全然降らず。雨具要らずの状態。
入梅しているのだから、雨が降っていないだけでも儲けモノだ。
さて、ツツジを満喫したら、
あとは鴨沢に下りるだけ。
石尾根の新緑のトンネルをくぐり、
七ツ石山の山頂へは向かわず、七ツ石小屋に向かう。
七ツ石小屋上の水場は、昨日の土砂降りにもかかわらずチョロチョロと流れていた。
相変わらずの七ツ石小屋。
と思ったら、見慣れぬ張り紙が。
富士山の山小屋の方が奥多摩で小屋番?!
山小屋にも交換留学みたいな制度があるんかいな?
ちなみに、この後、小屋番と思われる男性が僕らを追い抜きざまに
「七ツ石小屋から10日ぶりに下山してまーーす!」
と言っていた。
山の暮らしは楽しそうだけど、大変でもあるだろうなー。
さて、七ツ石小屋名物の展望もこの天気では残念なばかりなので、立ち寄らずにそのまま鴨沢に向かうことにする。
七ツ石小屋の近道から大きな登山道に出てすぐ、満開のツツジの木が立っていた。
地面に落ちた花弁が、このあたりのツツジの見頃がもうすぐ終わることを告げていた。
堂所の手前では、びっくりするほどの緑のトンネル。
この先はただひたすら鴨沢のバス停を目指し、口数も少ないままに黙々と歩き、16:30、バス停到着。
バス停近くの商店で飲み物を買おうと思ったら、店が閉まっていた。まさか、商売を辞めてしまったんだろうか。
やむを得ず、自販機でペプシを買った。本当はコカコーラのほうが好きなのだが、無いものは仕方が無い。
こうして念願の千本ツツジのツツジ観覧登山は終了した。
【総評】
思ったよりも行動時間が長引いてしまった。やはりランチに1時間半もかけてしまったのが原因か。
それでも、日帰り登山はランチに懲りたい。
先月の川苔山の赤杭尾根をもう一度歩きたいと思わないのと同じく、今回の赤指尾根は再度歩きたいとは思わない・・・。
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