このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2011年8月6日土曜日

加藤則芳 『ロングトレイルという冒険』

僕は稜線フェチだ。

どこまでも続く稜線は、僕の心を捉えて離さない。
切り立った痩せ尾根も、広々とした尾根も、それぞれの魅力があり、僕はただただその稜線を自分の足で辿りたいだけなのだ。

だから、必ずしも山頂にはこだわらない。
矛盾するようだが、あくまで尾根歩きが好きなだけなので、ピークハントには特に魅力を感じないのだ。尾根歩きのルート上にピークがあるから通る、というだけである。
そういう意味では、完全にアルピニズムの対極に居ると言って良い。
アルピニズムの対極という意味では、加藤則芳氏の提唱するロングトレイルは、僕の嗜好よりももっと対極に位置する。
なにせ氏の提唱するロングトレイルは、尾根歩きですらないのだ。言ってみれば、手入れの行き届いた自然歩道をひたすら延々と歩く、というのがその姿なのだ。

その提唱がコンパクトにまとめられたのが、本書『ロングトレイルという冒険』だ。
同時期に発売された『メインの森を目指して』が非常にボリューミーなのに対し、本書は非常に手軽に読める構成になっている。
とはいえ、その内容は、氏のロングトレイルに対する愛、思い入れ、日本の行政に対する苛立ちなどがよりハッキリと読み取れる内容になっており、読み手の心を熱くさせずにはおかない作品だ。

僕は尾根歩きも好きだが、森の中を歩くのも好きなので、ロングトレイルにも興味深々である。うっかり無職にでもなったら、アパラチアン・トレイルをスルーハイクしに行きたいぐらいだ。

著者は現在ASLという難治なご病気で、ご自身でトレイルを歩かれるのが難しい状態であるとのこと。(ブログ参照)
本書を読み、ご病気のことを考え合わせ、僕としては自分の体が動くうちにできるだけのことをやり切りたいと思う次第だ。
やり切ったところで心残りは生じるかもしれないけれど、「あの時あれをやっておけばよかった」「なんであのときあれをやらなかったのか」などの思いを抱かぬように今日を生きるべきだと。

とりあえず、今年か来年にでも、奥秩父・瑞牆山荘から奥多摩駅までのロングコースを歩こう。

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