このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2011年9月22日木曜日

山行記 : 【2日目】 2011年9月17日~18日 蔵王全山縦走 刈田岳~不忘山編


夜中、たびたび目を覚ました。
何度目かに目が覚めたタイミングで外が明るくなっていた。

外に出てみるとまぶしい朝日が照っていて、夜中の雨がウソのよう。
でも、ウソでなかった証に、周辺の木々から水滴がポタポタ落ちていたり、熊笹がズブ濡れだったりしていた。

2日目のスタートラインは刈田岳を少し降りたエコーライン沿いの登山口。
本日目指す山々をエコーラインから眺めると、キラキラとした朝日と雲海の向こう、はるかに眺めることができた。

















本日はあの山々を越えて、向こう側に下山する。
遠いなぁ。

登山口はエコーラインの道端にひょっこり現れる。

















ついに南蔵王へ踏み出す。
ここからしばらくは展望の無い樹林帯を歩くことになる。

南蔵王は北蔵王と異なり、登山道が整備されており登山客も多いルートだ。
(ちなみに、笹谷峠~熊野岳では3パーティ6人にしか会わなかった。しかもそのうちの1パーティは営林署の見回りの人だった。)

10分ほど歩くと、刈田峠の避難小屋に向かう分岐に至る。






















残念ながら避難小屋の見学はしなかった。

峠を越えたということは、ここからが上り坂になるということである。(登山だから。)
山頂に向かう一本のスジのような登山道を、本日最初のピークである前山に向かって登る。

















前山のピークは、何のことも無い道端に「前山」という標識が立っているだけだった。






















三角点も無し。あくまで通過点である。

次に目指すのは杉ヶ峰。本日最初の三角点である。
というほどのことも無く、前山から20分ほど登った8:48、杉ヶ峰の山頂に出た。






















広い山頂で展望も良い。

来し方を見ると、熊野・刈田のいかめしい姿が見える。

















山にジグザグに走る線は、有料道路の蔵王ハイラインである。
出発から約1時間半で、遠くに見えるあの場所からここまで来た。これこそが登山の醍醐味だ。


この杉ヶ峰からいったん下って、その後登り返して、南蔵王の雄・屏風岳に至るのである。
その途中の最鞍部にあるのが、知る人ぞ知る芝草平だ。

芝草平とは、春になると雪解け水が流れ込む湿地帯で、尾瀬のように木道が渡されている景勝地である。
といっても、今の季節はすっかり干上がっており、いまひとつピンと来ない。

















やはり5月~7月頃が見ごろのようだ。

そこからまたコツコツと登り、あまり展望も無いまま、山頂に近づくと急に道がなだらかになる。
そして9:54、屏風岳の広い山頂にたどり着いた。






















ここから尾根伝いに、東側に崖を見ながら南屏風岳の山頂を目指すのだが、屏風岳の山頂直下から南屏風岳を眺めると、東側の崖っぷりがよく分かる。

















この崖っぷりから「屏風」という名前がついているのだそうで。
紅葉の季節などは絶景なんだろうなぁ。

この気持ちの良い稜線を歩いている頃から、徐々に風が強くなってきた。
かなり晴れているので、強めの上昇気流が発生しているのだろう。だが、心配していた雨は、全く降る様子が無い。少し風があったぐらいのほうが、火照った体を冷やしてくれるので助かる。

そうこうするうちに南屏風岳の山頂に到着。10:36。






















一休みすると、早々に出発。
次は不忘山。

不忘山は歌枕にもなっている由緒ある山で、下界から見るとキレイに裾野の広がったコニーデ型の火山である。
その稜線を南屏風岳側から見ると、稜線フェチの自分には垂涎の風景なのだ。

















だが、こんなたおやかな山容に見えて、実は山頂直下は崖である。
三点支持でしっかり登らないといけないルートは、立ち往生する中高年登山者が発生するほどだ。

その崖でスリルを味わった後には、360度の大パノラマが広がる山頂が出迎えてくれる。






















11:12、不忘山山頂到着。

山頂ではパノラマと日差しを味わいながら昼ごはんを食べる。幸せ。
尾西のえびピラフを食べたのだが、これがなかなかのウマさ。今後の登山の定番にしようと思う。

ひとしきり休憩したら、あとはもう下山するだけ。温泉が待っている。

白石スキー場に下山するルートで、山頂直下に「不忘の碑」を見学した。






















レリーフには、太平洋戦争の際にこの近辺に3機のB29が墜落し、搭乗していたアメリカ兵が亡くなったことを悼んでの碑である旨が記されている。

















平和を祈念する碑は、平和な田園風景を眼下に見渡す南斜面に据えられていた。


















そんな碑とは対照的にコミカルなものもすぐ近くにある。
その名も「カエル岩」。






















たしかにカエルに似ているのだが、わざわざ「カエル岩」って書かなくても。。。笑

ちなみに、「不忘の碑」(もしくはカエル岩)のある場所が、長老湖に下りるルートと白石スキー場に下りるルートの分岐になっている。

















この分岐はとても目立たないため、うっかり見落としてしまうとヒドい目に遭う。
もちろん、長老湖に下りるならば、この分岐に気付かなくても差し支えないが、見晴らしの良い方にフラフラと行ってしまうと、白石スキー場方面には下りられないので要注意だ。

この後はしばらく火山特有のザレ場が続くが、その後すぐに滑りやすい土がむき出しになった登山道となる。ひたすら単調な樹林帯で、取り立てて書くほどのこともない。正直飽きる。

ただ、この単調な下りは、非常に体力を消耗した。
ここに来て、登山靴のインソールを忘れてしまったことが響いてきて、靴の中で足がズレるズレる。
下りが長く続くと、ちゃんとフィットしていない靴ではシンドい。
マメもできるし、筋肉も疲労しやすくなる。つくづくインソールの大切さを思い知らされた次第だ。

そうこうするうち、かなりバテた状態で、ついに下界の匂いがするところまで下りてきた。
そこが、白石女子高山小屋跡だ。

















本当に何にも無い跡地だ。
跡地としてわざわざ看板を立てる必要性が有るのかさえ疑問に思うほどのキレイな更地だ。

道の様子を見ると、どうやらここまでは車が入ってくるようだ。
我々の下山地点である白石スキー場の看板も立っていて「ソフトクリーム」「コーヒー」といった文字が躍っている。
嗚呼、ソフトクリーム!! なんと甘美な響きであることか!

そこからは、ひたすら白石スキー場のレストハウス(センターハウス)を目指す。
スキー場だけあって、リフトもあればゲレンデもあるのだが、当然のように雪は無い。
雪の無いゲレンデは僕にとってめずらしかったので、写真を1枚。























ゲレンデを何本もパスして、やっとセンターハウスにたどり着く。

















さっそく自販機でコカコーラを買い求め、一気に煽る。
これこそ文明の味! ビバ、文明!


これにて、長いようで短かった蔵王全山縦走は幕を閉じたのである。

あとは、タクシーを呼んで、予約してあった温泉宿に直行。旅の疲れを癒して帰京、という段取りである。



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