このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2011年7月24日日曜日

山行記 : 【2日目】 2011年7月16日~18日 常念山脈縦走 表銀座~常念小屋編

前回の続き。

ついに今日は表銀座コース。稜線フェチにはたまらない快適なルートだ。

燕山荘を出発すると、目指す先には槍ヶ岳の勇壮な姿。
天気は快晴。















蛙岩のあたりは大きな岩の間を通り抜ける切通しになっており、少しヒンヤリした感じ。















さすが「表銀座」と呼ばれるだけあって、登山道にはたくさんの人影。



















そしてその向うには大天井岳の姿が見える。
遠く見えるが、あそこは今日の行程の真ん中ぐらいだ。ふぅ。。。

このあたりの稜線上は、なんだかとてもトンボが多かった。



















この黒い点はみんなトンボ。ちょっと驚くぐらいの数だ。
これのおかげか、ハエなどのうるさい虫が居なくて、快適な道だった。

道すがら、かわいい黄色い花がたくさん咲いていた。















シナノキンバイ? それともキンポウゲの一種?
植物はよく分からんけど、とにかくかわいい花だ。

そうこうするうちに、次第に大天井岳が近づいてくる。今回の山行で一番標高の高い山だ。
よく見ると、山頂直下の大天荘の姿も確認できる。















この先、槍ヶ岳に行くのならば喜作新道へと進むわけだが、今回は常念山脈縦走なので、喜作新道へは向かわない。
だが、喜作新道を築いた小林喜作のレリーフはしっかり写真に収めた。



















この喜作新道のスタート地点は、いきなりハシゴから始まる。



















ハシゴを登りきったところから、来し方を見ると、すばらしい稜線が続いている。















嗚呼、ここを歩いてここまで来んだなぁと感慨ひとしお。稜線フェチにはたまらない、すばらしい尾根道だった。
さすが「表銀座」と呼ばれるだけのことはある
この「銀座」にはヴィトンもシャネルもティファニーも無いけれど、それ以上に煌びやかな稜線がある。

ついに槍ヶ岳方面と常念岳方面との分岐点にさしかかった。















いまだ下山せず!』という、実際にあった遭難者捜索のドキュメンタリー作品では、冬の槍ヶ岳にアタックをかけるパーティがこの付近で天候不良により槍ヶ岳アタックを断念、常念岳方面にエスケープするという話が出てくる。
まさにこれから僕がたどるルートは、そのパーティの通ったルートと重なる。つまり、登山の難易度としては、槍ヶ岳に登るほうが常念岳方面のほうが楽だということだ。
(そのパーティが遭難したのは常念乗越から東へ下る一ノ沢なので、今回の僕のルートからは外れているけど。)
でも、それは冬山での話。
今回の僕のコースだって充分タフだ。

分岐から地味な登りを少し歩いて、10:30、大天荘到着。
小屋の裏からは槍穂の素晴らしい眺め。















涸沢カールの雪も目視で確認できた。

小屋で三ツ矢サイダーを買って一気に煽る。
晴天のため、尾根歩きは直射日光との戦いでもある。カラカラの喉に冷たい炭酸の刺激がたまらない。

そのまま小屋の外にザックをデポし、大天井岳の頂上へ。小屋からほんの20分ぐらいの距離だ。
そんなわけで、あっと言う間に大天井岳山頂。



















そして、三角点と祠。






































大天井岳からの眺めは、ぐるり360度の大パノラマ。















↑これは、野口五郎岳とか、そっちのほうの連山。どれがどれか、よく分からん。
















↑こっちは南の方。
奥に常念岳が見える。
2,922mの大天井岳の山頂にいるのに、なぜか常念岳の山頂は目線より上に感じられた。なんだか妙にデカい。本当にあれが常念岳なのか?
何度も地図と照らし合わせたが、やっぱり常念岳以外に考えられない。

今日はあの手前まで行って、明日の朝一番にあの山頂を越えるのか・・・。
遠いし大きいし、しんどかった去年の思い出がよみがえり、気が重くなった。

あまりゆっくりしている時間もないので、早々に小屋に戻って昼飯を食べた。




















山の棒ラーメンに乾燥わけぎを入れてみた。
もうちょっと塩気が強いほうが嬉しかったなぁ。

ラーメンをかき込むとすぐに出発した。

11:30、大天荘出発。

振り向くと大天井岳と大天荘が見えた。















ここから先は、今日はもうめぼしいポイントは無い。
あとはひたすら歩いて、少しでも早く常念小屋のテント場に幕営場所を確保するだけだ。

次第に常念岳の姿も近づいてくる。
















爽快な夏山の風景がひたすら続く。
















ついに最後のピーク。



















このピークを巻いて向こう側に出ると、あとはすぐに常念乗越、つまり、今日のゴールである常念小屋のテント場への下り道だ。
その下り道は鬱蒼とした樹林帯だ。



















こういう樹林帯に入ると、途端に暑くなる。
汗だくになりながら駆け降りると、やっと常念小屋とテント場が見えてきた。















13:50、常念小屋テント場到着。
このテント場も混んでいるが、昨日の燕山荘ほどではない。
さっさとテントを設営し、小屋で幕営料を支払う。
受付には「混雑のため、1畳2名でお願いしております」という札が下がっていた。やはりこの時期の北アルプスの山小屋は恐ろしい混みようだ・・・。

テントに戻ったが、まだ日が高くガンガンに照りつけるため、暑くてテントの中には居られない。
昨日の凍てついたテント場とは正反対の状況だ。

たまらず小屋に行って、生ビールを注文。800円也。















実にウマイ。
でも、去年はこれを3杯飲んでヒドイことになってしまったので、今回は1杯にとどめた。

引き続き、暑くてテントに入れず、日陰を探してさまよっているうちにやっと日が傾いてきた。
それでも暑い。。。
西の空には怪しげな雲が広がっていたが、それがこっちまで来るような気配もなく。


明日は3時起床5時出発の予定なので、早く寝ないと。
さすがに日が暮れてからは徐々に涼しくなり、テント内の温度も適温になった。

あまり眠気が来ないので、持参した本をしばらく読んだ。
その本は、刊行されたばかりの加藤則芳氏著『メインの森をめざして-アパラチアン・トレイル3500キロを歩く』。630ページもあるソフトカバーの単行本だ。どう考えても山の荷物としては無駄に重いわけだが、なんとなくこれを読むと、今回の行程に対する気合も入るのではないかと思い、わざわざ持ってきたのだ。
詳しい感想はまた別な機会に書きたいと思うが、やはり誰でも山を長距離歩くのはしんどいんだなと分かり、少しほっとした。

そうこうしているうちにやっと眠気が来たので、そのまま入眠。

夜中に遠くで雷が鳴り、風も強い状態が続いたが、気にせず寝続けた。
そしてついに、今回の日程で一番キツい3日目を迎える。



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