燕山荘のテント場にはもうテントを張れない・・・。
そんな失意の中、合戦小屋をあとにした僕は、意気消沈したまま残りの道のりを歩いた。
どうせ小屋に着いても、1畳に2人とか詰め込まれて折り重なるようにして寝なきゃならんのかと思うと、足取りも重くならざるをえない。
トボトボと歩いていると、足元に唐突に三角点が現れた。
なんでこんなところに?と思って地図を見てみると、「合戦沢ノ頭」という場所のようだ。標高2,489m。
たしかに三角点を置くだけあって見晴らしの良さそうな場所だが、なんせガスがかかっていて、眺望はゼロ。
天気が良ければ槍ヶ岳が見えるようだ。(ソースは「山と高原地図」。)
とりあえず、ここまでくれば燕山荘まであと1時間程度。
近づけば近づくほど、テント場のことで気が重くなる。
途中、こんな↓
岩っぽいところを通ったりしながらの相変わらずの急登だったが、コツコツ登り続け、やっと燕山荘のシルエットが見えてきたのが15:53。
逆光の中、急登の終わりを告げてくれる燕山荘のシルエットが、ある種の開放感を与えてくれた。
最後の坂を登りきると、そこは、これまで通ってきた合戦尾根とはまるっきり異なるすばらしい展望だった。
つまり、燕山荘より東はガス、西は晴れ、ということだったようだ。
すばらしい眺望に、しばし見とれる。
燕岳も、西側半分だけ顔を出してお出迎えしてくれた。
キレイに東側半分が隠れた状態だった。どんだけ恥ずかしがり屋なんだよ!
ひとしきり眺望を味わったあと、いよいよ燕山荘へ。
小ジャレたロッジのような、キレイな建物。
燕山荘は、スタッフの手馴れた対応と食事の美味しさで人気の山小屋だ。
さっそく受付で、テントを張れないものか聞いてみると、
「ご自身でテント場に行かれて、ご確認ください。張れるようなら張って大丈夫です。」
とのこと。マジか!!
そういうことなら何としても張れる場所を探しましょう。
といっても、テント場はすでにこんな↓感じ。
いくら僕のがソロテントだといっても、張れるスペースなんて見つけられるんだろうか。
そう思いながら徐々に奥へと進んでいくと、なんと、まだ完全に雪が残っている一角があった。広さにしてだいたい25mプールよりもちょっと大きいぐらいか。
そこに、ごく僅かながらなんとか1張分ぐらいのスペースを見つけた。
もう、ここにするしかない。雪上幕営の準備なんてしてこなかったけど、仕方がないのだ。
というわけで、雪上に設営。
木のペグなんて持ってきてないから、通常のペグで悪戦苦闘しながらテンションをかける。
すぐ抜けそうだな、と思いながらも、もう仕方がない・・・。
そして、設営完了。
とりあえず、ペグが抜けてテントごと滑っても、崖から落ちるような場所には立てていないので大丈夫だろうと。
グランドシートとサーマレストのZライトを持ってきていたのがせめてもの救いだ。
その後、山荘の受付に行き、改めて幕営の手続きを行なった。500円也。
ついでに売店を覗いてみると、燕山荘Tシャツが数種類売られていたのだが、ここのスゴイところは、素材がすべてメッシュなところ。山歩きには好都合な素材感である。買おうかどうか非常に迷ったが、これ以上荷物を増やすのがイヤで、結局買わなかった。今は後悔している。
あと、なぜか「岳」クッキーが売られていた。
いや、映画化もされているし、北アルプスだし、売りたい気持ちは分かるんだけど、山の上でわざわざ買うか??? 下界にも売ってるんだし。
結局、山小屋バッジと缶ビールとコーラを買ってテントに戻った。
雪上幕営の何が良いかって、ビールやジュースを雪に埋めて冷やせることなんだよね。
早速埋めてみた。
ドリンクを冷やしつつ、メシの準備をする。
バーナーはいつものSOTOのSOD-300。そして、このあいだ買った風防をつけてみる。
やっぱり、風防を着けないより着けたほうが、着火も良かった。
こんだけコンパクトで、多少は役に立つのであれば、持っていて全く損は無いと実感。
尾西のアルファ米(チキンライス)を食べながら、キンキンに冷えたビールを飲む。最高!
東の空にはのどかな入道雲がモクモクと立ち上っていた。
もうすぐ日暮れだ。
明日も晴れるといいな、と思いながら、テントに入ってジッパーを早々に閉めた。
雪が残っている場所だけあって、日が沈み始めた途端に空気が冷たくなってきたのだ。
こりゃ、夜中が思いやられるなぁ。
(2日目に続く)
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