このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2015年8月17日月曜日

山行記 : 2015年8月1日~ 前穂高・奥穂高・西穂高縦走 振り返り (装備編)



(この記事は「3日目 西穂山荘から上高地へ そして帰京」の続きです。)


今回の前穂高→奥穂高→西穂高の山行は、これまでの僕の登山経験の集大成であったと言っても過言ではない。

今回は、そんな山行を装備の面から振り返ってみたい。


まず、今回の山行の特筆すべきところは、テント泊装備であったことだ。

通常、多くの人は、奥穂~西穂のような厳しい岩稜帯を歩くに当たっては、どれだけ装備を軽量化できるかに心を砕く。
僕がこのコースを意識し始めたきっかけとなったオッサンも、いかに装備を削るかに腐心し、着替えすら持たなかったと言っていた。

なのに僕は、あまり軽量化を重視しなかった。
というよりも、可能な範囲で軽量化はしたが、軽量化を最優先したわけではなかった、というのが僕の感覚だ。
必要無いものは担がないが、自分が必要と感じたものは何でも担ぐ。これが本来の山ヤの姿ではないかと思うのだ。

で、僕にとって必要だったもの。


【テント、スリーピングマット、シュラフ】

都心に住む、公共交通機関移動前提の僕が今回のルートにアプローチするには、以下の3つの方法が考えられる。
  1. 朝一のスーパーあずさに乗って出発し、上高地に昼頃到着。そこから歩き始めて岳沢ヒュッテに泊まる。
  2. 朝、なるべく早い特急あずさに乗って出発し、午後一ぐらいで上高地に到着。上高地に泊まるが、ホテルはソロで泊めてくれないだろうし、泊めてくれたとしても金が無いので、小梨平でテント泊。
  3. 夜行バスで移動、早朝に到着したらそのまま穂高岳山荘へ。
今回は「2」だったわけだが、「1」や「3」であればテント泊装備は不要だ。
では、なぜ「1」や「3」を選ばなかったのか。

答えは比較的シンプルだ。
「1」だと、山小屋泊が1泊増えるし、土曜の岳沢ヒュッテなんてめちゃくちゃ混んでそうでイヤだったのだ。
「3」だと、体がしんどい。たぶん、岳沢にたどり着く前に力尽きる。
なので、僕にとって「2」を選ぶのは必然だった。

そうなれば、テント泊装備をいかに軽くするかだけが焦点になる。

テントは、去年から大活躍中のマウンテンハードウェア「スーパーメガUL1」。
グランドシートとして持っていったタイベックシートと合わせても、1kgに満たない。

シュラフは、OMM「マウンテンレイド」。
400gを下回る軽量シュラフで、しかも化繊なので、豪雨の際にしぶきが入り込んでくる「スーパーメガUL1」との相性もバッチリだ。(苦笑)
今回の日程中はかなり気温も高いことが予想されたので、このペラペラのシュラフで充分なはずだ。

スリーピングマットは、5年ぐらい前に買ったモンベル「ULコンフォートシステムパッド90」。
重さだけでいえば山と道のマットのほうが軽いのだが、ザックの中に入れるには嵩張るし、外付けしたり雨蓋に挟んだりしたのでは岩稜帯で怖い。なので今回はこちらにした。

この3つを足しても2kgに満たない。
しかも、テントを持っていればもし山小屋が団体客などで異常な混み具合だったとしてもテント場に逃げることができる。
実際、今回もし山小屋で1畳に2人などという混み具合だったとしたら、迷わずテント場に逃げていただろう。

では、なぜ全部テント泊にしなかったのか。
それは単純に、天候に左右されない居住性と、テントをたたむ面倒を避けたかったからだ。

というわけで、僕にとっての「住」に関するネガティブ要素の重要度は、
  1. 1畳に2人などを詰め込まれる混雑
  2. 豪雨などの荒天
  3. テントをたたむ面倒臭さ
  4. 山小屋の宿泊費
という順番ということだ。
なので、混雑しないのであれば、天候が安定していない場合には小屋泊を迷わず選択する。


【調理道具、メシ】

今回、テント泊をする分の食料は持参した。
夕食用に服部先生のフリーズドライのカレーとアルファ米、朝食用にお茶漬けの素とアルファ米だ。
が、キャンプ場の食堂が意外(失敬)にもマトモだったので、服部先生の出番は無かった。

調理道具としては、SOTO「マイクロレギュレータストーブSOD-300」と、ガス缶(小)、そして、belmont製深型のチタン製シエラカップと、チタン製のフタ
一人分のお湯を手早く沸かすという意味では、このセットが嵩張らないし、非常に軽量で済む。


【着替え】

多くの山ヤは、着替えを我慢する。
でも、僕は我慢できない。それに、荒天でズブ濡れになったりなどした場合、着替えの有無は命を分ける。
というわけで、僕は、3泊ならば2回分の着替えを持つ。
加えて、下山して入浴した後の着替えも必ず持つ。
これが非常に重いし嵩張る。
バカじゃないかと思われるかもしればいが、どうにもこれを削れる気がしない。


【本】

今回は2冊持っていった。
なぜ2冊なのか。
もし1冊だったとして、それがハズレだったら、宿泊地に着いてからの長い午後をどうやって過ごせば良いのだろうか。だから2冊なのだ。
今回の場合、1冊は大当たり、もう1冊は、ううむ。。。
僕は本の選球眼はかなり良い方だと思うが、それでもやはりハズレを引いてしまうこともある。


【登山靴】

本当は、この山行のために、登山靴を新調した。
それがザンバラン「トファーネNW」だ。
だが、何度もしつこく書いているとおり、激しく靴ズレを生じるので、今回は引退予定だったスポルティバ「パミール」を現役復活させた。
パミールは何とか役目を果たしてくれたが、やはりちょっと奥穂西穂には向かない靴であった。


【ザック】

今回は、ホグロフス「マトリックス70」を使った。
同じようなサイズのザックとしてはグレゴリー「バルトロ75」を持っているのだが、どうもあまり岩稜帯向きではないような気がする。
その点、マトリックス70は、無駄なものを排してシュッとしたフォルムと本体の軽さが魅力。
実は、1年を通して最も使用機会の多いザックはこれである。今となっては廃版だが、デッドストックがあればもう1個購入しておきたいぐらいだ。


【酒】

酒は持たなかった。
そんなに大量に飲むつもりもないので、山小屋で買えば充分だから。


【その他】

ポーチは、トレランスタイルの時でなければ常に持参するパーゴワークス「パスファインダーS」だ。
これにいつも地図とデジカメを入れているので、余程のことが無ければ山行中は常に肩からぶら下げていたい。
が、岩稜帯でこういったものをぶら下げているというのは、動きを阻害するので避けたほうが良いという向きもある。
実際、僕も一昨年の大キレットでは、南岳小屋に寄った際に、ザックの中にこのパスファインダーを仕舞ってしまったものだ。
が、去年の後立山縦走では特に邪魔さを感じなかったので、今回はあえて身につけたままでトライしてみた。

結果、上り下りでは一切邪魔に感じなかったが、壁にくっつくようにして歩かなければならないトラバース箇所では、このパスファインダーが壁にぶつかって邪魔に感じるシーンが何度かあった。
これは反省点である。

また、岩稜帯ではビレイ用の革グローブを着けていた。
実は、土やら草やらを素手で触るのがイヤなのだ。(あと、濡れるのも嫌い。だから沢登りもやらない。)
軟弱の謗りは甘んじて受ける。しゃーない。


山行に影響のあるような装備は以上だ。
今回、装備の不足や過剰を感じることは無かった。といっても、この装備について、過剰と感じる人も当然居るだろうことは想像に難く無い。


(「総括」につづく)




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