このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2015年8月30日日曜日

山行記 : 2015年8月22、23日 北八ヶ岳 ニュウ、天狗岳 2日目 天狗岳から唐沢鉱泉



(この記事は「1日目 苔の森、ニュウ、黒百合ヒュッテ」の続きです。)


山の朝は早い。
特に、同部屋の人の出立が早いと、うるさくて寝てられない。

今回もその例に漏れず、午前3時ぐらいから遠慮無しにガサゴソと荷造りをしながら、特に配慮無しにしゃべくりまくるという不届きな一団がいて、全然寝てられない。
外は雨だし、ご来光なんか望めないだろうに、こんな早くからどこへ行くというのだろうか。

6時からの朝食に合わせて5時半に起床しようと思っていたのに、結局、5時過ぎには床を離れた。


朝ごはんは、なんと生卵付き!
若い男子2人は朝っぱらから、どのおかずでゴハンをどれぐらい食うかの計算に余念が無い。
朝から食いすぎなのではないかと、心配になる。

6:40、荷物をまとめて黒百合ヒュッテを出ると、霧というよりも霧雨状態。
ザックカバーを着け、雨具のジャケットだけ羽織る。

6:44、出発。
まずは中山峠に向かう。今日は天狗岳に登って、そのまま西側に下山するのだ。
元々は天狗の奥庭を通ることも考えていたが、この天気では無難に中山峠から行くのが正解だろう。

6:48、中山峠に到着。

ガスは晴れないが、霧雨は降ったり止んだり。
樹林帯を歩くうちは雨具を脱いでも問題無いと判断し、雨具を脱いで天狗岳を目指す。

登山道は岩っぽく、意外に険しい。
もはや3年前にこのあたりを通った際の記憶は無いに等しく、初めて歩く道のような気分だ。

たまに現れる、段差を埋める金属製ステップ。
そういえばこんな場所を3年前に下ったような記憶が薄っすらと蘇る。

歩き出して15分もすると、樹林帯を抜けた。

まれにシラビソもあるが、ほとんどはハイマツ帯だ。

7:03、何の分岐かと思ったら、単なる道標だった。

雨に濡れた岩場は、油断ならない。

7:17、丈の低い樹林帯に一瞬入るが、雨よけにはならない。

ナナカマドにも玉水。

ウスノキ(?)も雨がしたたる。

7:38、天狗の奥庭を経由する道と合流。
もちろん、眺望は全く無い。
心なしか、全員口数も少ない。

7:44、ルンゼ状の岩場を上る。

道端の野草に溜まった雫が、まるでスワロフスキーのよう。

エッチラオッチラと岩場を上り、
ついに東天狗岳の山頂が見えた!

山頂直下からは、西天狗岳への稜線が伸びている。
西天狗岳の山頂はガスの向こう。

7:58、東天狗岳の山頂に到着。
山頂にいても、景色も何も無い上に、雨が強まってきた。
連れ3名に雨具の着用を指示し、さっさと西天狗に向かうことにした。

が、なんと、西天狗との鞍部に差し掛かったところで、
ガスが切れて、根石岳や硫黄岳が見えてきた。
なんてこった! 東天狗の山頂から見たかった!

巡り会わせが悪かったということで、諦めるしかない。
あーあ、と思っているうちに、またガスがかかってすぐに根石も硫黄も見えなくなった。

再び西天狗に向けて歩き出すが、鞍部から50m程度ほど、登山道には長い長い水溜りができていた。
こんなに雨量があるようには感じていなかったが、すごいな。。。

振り返ると、東天狗がかろうじて見えた。

西天狗の上りに取り掛かった頃から、ときどき青空が少し覗くようになってきた。

写真だけで見ると、ものすごく爽やか登山に見えるが、実際は降ったり止んだりの最中である。

そして、この日一番の爽快ショット。
奇跡の一枚とも言う。
記憶の中の天気との乖離が激しすぎて、違和感が止まらない。

そして、8:29、西天狗岳の山頂に到着。
日差しはあるが、眺望は皆無という、良いこと無しの状態。
ガスが切れないか10分ほど待ってみたが、無駄だった。

8:39、唐沢鉱泉に向かって下山開始。

西天狗から西側に下りる登山道は、急斜面だ。

しばしばやってくるガスが視界を奪うものの展望が無くなるだけで、道を見失う程ではない。

なんだかやたらと険しいが、難しいわけではない。
岩場が終わったところで、雨具のジャケット脱いだ。
もう雨の気配はほとんど消えたし、樹林帯の中なら体温を持っていかれることもあるまい。

岩場のあとには、土の急斜面が続く。
が、それもすぐに緩斜面になる。
次の小ピークとの間の鞍部に差し掛かる頃には、かなりゆったりした斜面になる。

振り返ると西天狗岳。

小ピークへの上り返しも緩やか。

9:27、第二展望台に到着。
何の展望も無し。

ただ、このあたりはまだ花が残っていた。




縞枯れの道を歩き、
苔むした大岩のそばをすり抜け、
10:04、第一展望台に到着。
相変わらず展望は無い。

ここまでは多少のアップダウンがあったが、ここから先は下り一辺倒となる。

ところどころ樹林が切れて、展望の効きそうな場所に出るも、やはり展望はほぼ無い。

岩の上にカミキリムシ発見。かっこいい。
田舎育ちだったこともあって、幼い頃は大きなカミキリムシが身近にいたものだが、大人になってからはこういう小さなカミキリムシしか見てないような気がする。
大きいカミキリムシがキシキシと音を立てながら歩く姿には、甲虫に対する憧憬を煽られたものだ。あんまり山の中にはいないのだろうか。

ここから先は、ひたすらシラビソと苔の森を、ひたすら下る。

こうなってくると、一気に飽きる。
どうも、「あとは何でもない道を下るだけ」となると、俄然やる気が無くなるタチらしい。

11:04、尾根道との分岐に到着。
ここからは尾根を降りて、唐沢鉱泉へと降りる。

相変わらず、ダラダラと下りの登山道。

何かの実が色づいていたが、なんの実だろうか。
何にしても、もう秋なのだなぁ。
今年の夏は短かった印象。

立派なベニテングダケ。
ベニテングダケの話』によれば、食うと美味いらしい。が、その旨味成分と毒素が不可分(毒の成分そのものが旨味成分らしい)とのことで、食うのは諦めたほうが良さそうだ。

登山道は、標高を下げるごとに斜度が緩やかになり、
唐沢鉱泉の手前では、幕営できそうなぐらいになだらかになる。

12:06、小さな沢を渡る。

12:08、ついに唐沢鉱泉が見えた!

唐沢鉱泉手前で、唐沢を渡る。
赤岳鉱泉のある北沢も赤かったが、こちらも赤い。

さて、ここで正午も回ったことなので、福岡から参加した連れの1人が持参した棒ラーメンをみんなで食べることにする。本場福岡で購入した棒ラーメンと高菜である。
やはり福岡直送だと思うと、一味違う。
チャーシューはフリーズドライのものを使った。
これがまた、とんこつラーメンによく合った。

と、この時点で12時半を回っていた。
本来は渋の湯まで足を伸ばす予定であったが、我々のペースでこのまま渋の湯まで行った場合、下手をするとお風呂に入るヒマが無くなる可能性がある。(バスの時刻が15時なので。)
風呂に入るだけなら唐沢鉱泉で大丈夫そうなので、渋の湯を諦めることにして、ここからタクシーで茅野駅に向かうことにした。

正直、唐沢鉱泉からは公共交通機関では下山できなさそうだったのであまりリサーチしなかったのだが、風呂に入ってみると、あまり広くはなくシャワーも3つしか無いものの、非常に良いお風呂だった。

しかも、宿泊客でもない我々でも、茅野駅までの送迎バスに1000円で乗せてくれるという。
それならタクシー要らずではないか。すばらしい!


そんなわけで、唐沢鉱泉から送迎バスで下山したのだが、その前に、唐沢鉱泉名物のヒカリゴケを見ておいた。

ヒカリゴケは、唐沢鉱泉の建物の、まさに真裏に生えている。
建物の入口に向かって左手の駐車場を回って、裏に出る。
親切にも、看板が出ている。
渋の湯に向かう登山道も、ここから入るらしい。

で、100m程度入ると、「光苔群生地」という看板が出ている。

岩の穴の中を覗いてみると、
あー、光ってる光ってる。
が、3年前に初めて見たときのような感動は無い。
やはり、風呂上りにサンダル履きで見ても、ありがたみが無いということだろうか・・・。


そんなわけで、無事下山。

帰りの特急車内でビールやらハイボールやらを飲み、新宿から自宅までの記憶がやや曖昧だ。
家にたどり着くまでが登山なので、都心で遭難しないよう皆様もご注意されたい。


(「総括」につづく)



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