僕は、星野道夫氏のことをよく知らない。
だが、クマが怖いので、いろいろと文献を当たって対処法を調べていると、ちょくちょく星野道夫氏の話が出てくる。
どうも、「餌付けされて人間を恐れなくなったクマが、クマ写真家である星野氏を襲った」というような、おぼろげな情報だけが僕の頭にインプットされた。
でも、なんか、そんな大まかな情報だけでは気持ちが悪いので、その死の状況や原因に迫った作品である『星野道夫 永遠のまなざし』を読んでみた。
本書は、星野氏と生前に交流のあった著者が調査を重ねた結果を記したドキュメントである。
なんというか、読後感は正直言ってあまりよくない。
なんともやるせない気持ちになるからである。
いろんな歯車がちょっとずつ狂っただけで人は簡単に死に至ってしまうんだなぁ、というやるせなさが1つ。
そして、歯車がちょっと狂ったことを、自分のせいではないと言い逃れる組織人の在り方に対するやるせなさが1つ。
僕は残念ながら星野道夫氏をよく知らないので、氏に対する思い入れはあまりない。
だが、それを差し引いても、また、クマ対策という僕にとっての所期の目的を差し引いても、一人の男の物語として、読んでおく価値のある作品ではないかと思う。
ちなみに、なぜ星野氏がクマに襲われなければならなかったのかを調べていた著者が、アメリカの国立公園でのクマの生態を研究した論文に行き当たり、それを和訳するに至った旨の記述があった。
それが『ベア・アタック』という本である。
ヒグマの本なので、日本では北海道にでも行かないと直接活かすことはできないが、ツキノワグマにも通じる部分もあろうかと思うので、こちらもよくよく読み込んでおきたいところである。
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