このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2015年6月13日土曜日

山行記 : 2015年4月29日~ 大峰奥駈道 6日目 もはや登山ではない



(この記事は「5日目 その2 ひどい判断ミス」の続きです。)


山の朝は早い。

が、目覚めたのは山中ではなくバス停の中。
外は夜半から本降りとなり、今はシトシトと降っている。
やっぱり雨か。。。山に入るのはよそう。


もちろん、まだ夜は明けていない。
近くの街灯がアスファルトを薄暗く照らし出していた。

バス停から見える範囲の民家は全て明かりが消え、眠りの中だ。

僕はバス停の中でパッキングを終えると、4:56、歩き始めた。

雨具の上下を身に付け、モンベルの折りたたみ傘をさして歩いた。
なかなかトレイルでは傘をさす機会は無いが、有るといろいろ便利なので持ってきておいたのだ。
実際、フードをかぶって歩くよりもかなり快適である。

東の空は、うっすらと白んでいるような気もするが、雲が厚くてよく分からない。

5:06、玉置山登山口バス停に到着。
登山道に戻る最後のチャンスだが、何のためらいも無くアスファルトの道を進む。

地図によれば、この先すぐにトンネルが現れるはずだ。

5:13、トンネルの入り口に到着。
正直、気味が悪い。
でも、ここを通らなければ先に進めないので、意を決してトンネルに入る。

中は半分ぐらい手彫りをコンクリートで固めた壁。
そんなところは音が反響しなくて不気味さが増す。

ただ、トンネルの中には雨が降らないので、楽である。

トンネルを抜けると、はるか下に沢のある道となる。
そんな立地と、雨模様のせいか、アスファルトにサワガニが歩いていた。

道はひたすら下り。
どんどん標高を下げていく。

次第に空は白んでいき、それに伴ってガスのかかった山の姿がよく見えるようになってきた。

5:27、国道425号線に出る。
ここまでで30分か。
想定より少しだけ早いペースで進んでいる。

天気は相変わらず悪い。

5:51、芦廼瀬川を渡る。


風景は幻想的なのだが、すでにアスファルト歩きに飽きてきた。

先が見えない不安と、どこまで行っても入らない携帯の電波、現れる気配の無いドリンクの自販機など、次第に倦怠とイライラが募ってきた。

そんなダレてきた6時過ぎ、1台の車が背後から迫ってきて、僕の横で停車した。
そして、窓が開き、運転していた年配の女性が
「良かったら乗ってかない?」
と言う。

なにこの僥倖!
こんな早朝にこんな辺鄙なところで乗せてくれる車がいるなんて、誰が考える??

もちろん、喜んでありがたく乗せていただく。
(風呂に入っていないので、車中が臭くなるのが気になったが、、、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。)

聞けば、たまたま通りがかったわけではなく、わざわざ乗せてくれようとしてバス停に行ってくれたそうで、もぬけのカラだったため、ここまで追ってきてくれたのだそうだ。
嗚呼、なんて親切な方だろう。。。

でも、どうして僕のことを知っているのだろう??
疑問に思って聞いてみたら、
「小さな集落だからね。伝わってくるのよ」
とのこと。
きっと、昨日電話を貸してくれた家の方が、方々に当たってくれたのだろう。
嗚呼、なんて親切なんだろう。。。

その方の車で送られること20分、十津川温泉のバスセンターに到着した。

厚くお礼を申し上げて、送ってくれた女性とお別れをする。この旅一番のハートウォームだ。

バスを待つ間、念願のコカコーラを飲む。
でも、たいして歩いていないので、それほどの感動も無く。

このあと、バスを乗り継ぎ、熊野本宮に到着したのは7:30頃だった。
宿に荷物を預け、そのまま湯ノ峰温泉へ行く。
もはや観光である。
湯ノ峰温泉といえば壷湯だが、世界遺産だけあって異常に混んでいるので、ハナからトライもしなかった。

ここで、昨年11月の御岳での地図読み講習で同じチームだった男性にたまたま偶然出会った。
小辺路を1泊2日でやっつけてきたそうだ。
こんな偶然って、あるものなのだな。

そして、湯ノ峰温泉から帰って、熊野本宮にお参りする。


完全に観光である。

ここで、山上ヶ岳の山頂で出会った男性とバッタリ再会する。
僕の方は踏破失敗したが、彼は見事成功したそうである。すばらしい。うらやましい。
改めて己を恥じた。


有名な大鳥居と、
名物のさんま寿司。

でも、気持ちが癒されることはなかった。
無念さばかりが募る。

今回は総括は無し。
もう一度行きたいかと言われれば、もう行きたくない。

いろいろ思うところもあるが、それは自身の反省と糧にして終わりとしたい。


(了)




2 件のコメント:

  1. sanmon-bunshiさん ごめんなさい。
    再会した時は疲れ果てて本当のことを話せませんでした。
    私にもオチがありまして、山在峠で水が無くなり水を求めて下山しました。
    民家で水を分けてもらって、農家の方に道を教えてもらい再び山へ戻ろうと歩いたのですが、崖崩れで通行禁止になっているらしく軽トラで追いかけてきてくれて・・・親切に断ることが出来ずに有難く乗せてもらいました。
    だから失格です。機会があれば一緒に、リトライしましょう。

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    1. おおお、そうだったんですね! 時刻が早かったのでスゴイなと思っていたのですが、お互いにオチがついちゃいましたね。笑
      次に挑戦するとしたら、トレランスタイルなどで、日数をかけずにやっつけたいですね。

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