このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2015年6月28日日曜日

山行記 : 2015年6月20、21日 尾瀬 1日目 尾瀬ヶ原~尾瀬沼



(この記事は、「計画概要」の続きです。)


山の朝は早い。
が、沼田駅前から尾瀬方面に向かうバスは、8:02発が1本目なので、けっこうゆっくりなスタートだ。

沼田駅前を出発するタイミングでは、雲が多めの天気。
天気予報では、午前中は晴れ。午後から大気が不安定になり、場合によっては雷雨の可能性もあるとのこと。
不安のある天気予報だが、逃げ込む山小屋も多いルートなので、生命に問題を及ぼすようなことはあるまい。

沼田駅前からは、1時間ほどバスに乗って戸倉の鳩待峠バス連絡所まで。
途中、鎌田というバス停でトイレ休憩が入る。

9:34、鳩待峠バス連絡所に到着。
 ここで、このバス停と鳩待峠との間をピストン輸送しているマイクロバスに乗り継ぎ、鳩待峠を目指す。

鳩待峠までの約30分間、何台ものマイクロバスとすれ違う。
もちろんそれらは、僕が乗っている関越バスばかりではないが、それにしても大変な数の観光客や登山客が送り込まれているのだろう。

10:10、鳩待峠に到着。
雲は多めながらも、青空も見える。

自販機もミズバショウ仕様。

身支度を整え、10:20、登山道に入る。
ここから山ノ鼻までは、延々と緩やかな下り斜面を歩く。
最初の斜面は石畳の階段状。
とてもよく滑る。

しばらくすると木道になる。
これもまた濡れていて、非常に滑る。

道端には清流も流れている。

鳩待峠から歩くこと15分、至仏山が見えた。
この時期、至仏山への登山道は閉鎖されているので、登る人はいない(はず)。

木道の一部は真新しく、頻々とメンテナンスされていることが見て取れる。

道端にはコバイケイソウ。

オオカメノキ。

ムラサキシオツツジ。

10:46、沢を渡る。

この沢を渡ったあたりから、木道は川上川に近付く。

このあたりでは、ミズバショウは終わっていた。
ごく稀に、終わりかけの花が残っていることもあるが、
全然ときめきが無い。。。
尾瀬ヶ原や尾瀬沼のほうはどうなのだろうか。不安が募る。

ちなみに、この白い部分は花ではなく葉っぱ。
その白い部分に包まれた、芯のような部分に小さくたくさん付いている黄色いのが花である。

サンカヨウは元気に咲いていた。

シラネアオイは終わりかけ。

オオバキスミレ。

11:02、テンマ沢を渡る。

沢を渡ってすぐ、クマ除けの鐘が設置されている。
せっかくなので、カランカランと鳴らしてみる。
他には鳴らしている人は居ない。

そのすぐ先には、ミズバショウの群生地。
さすがにこれだけ群生していると、中には遅咲きの花も残っていたりする。

コバイケイソウも同じところに群生していた。

名前が分からない花。

11:19、川上川を渡る。

川を渡ると、ニリンソウの群生が見られた。

そのすぐ近くには、ミヤマスミレ。

11:23、山ノ鼻ビジターセンターに到着。
ここまでずっと木道が敷かれていた。
えらい労力をかけてメンテナンスしているなぁ。

山ノ鼻にはビジターセンターのほかに、売店や山小屋が何軒が建っている。
休憩している人も多数いたが、我々は先を急ぐので、素通りすることにした。

11:25、分岐を通過。
尾瀬ヶ原の案内板が立てられている。

分岐からは、気持ちの良い平原が見える。ついに尾瀬ヶ原に来たのだ。

11:26、尾瀬ロッジ前を通過。

このあたりは、鳩待峠から山ノ鼻の間よりも、咲き残っているミズバショウが多かった。
だいぶ終わりかけではあるものの、ギリギリ間に合った観だ。

キジムシロも咲いている。
現地で見たときはミヤマキンポウゲだと思ったのだけれど、葉っぱの形が全然違った。黄色くて小さい花の同定が難しすぎる。

振り返ると至仏山。

前方には、遠くまで続く木道と、その向こうにそびえる燧ケ岳。

草原のように見えても、ここは湿地帯。

天気はあまり安定せず、雲が多め。
それでも、度々雲の切れ間から陽が差し込む。
照らし出された至仏山は神々しい。
どうかこのまま、天気が保ちますように。

リュウキンカも咲いていた。

次第に、水面が現れるようになってきた。
これぞ尾瀬といったところか。

小川のほとりにはミズバショウとリュウキンカが咲いていた。
幸せな風景だ。

さらにしばらく歩くと、植生が変わり、背の低い樹木が密集し始めた。
手前の方の白いのはワタスゲ。

11:44、浮島のある池塘が現れた。
もちろんそれも、1つや2つではなく、次々に現れる。

ヒメシャクナゲもあちこちに咲いている。

牛首が近付いてきた。

牛首の手前にも池塘がある。

12:10、逆さ燧が見れるという池塘のほとりに立ってみたが、残念ながら見えず。
やっぱり空がドンヨリしているからか、あんまり映っていない。

ほとりではタテヤマリンドウがひっそりと咲いていた。

さらに先を急ぐ。
空模様は一進一退。少し雲が晴れたと思ったら、また重い雲が広がる、という繰り返しだ。

ミツガシワ。

12:23、牛首分岐に到着。
我々は竜宮方面に向かって直進しつつ、左手を見ると、東電小屋方面に向かう人が見えた。

12:26、今日初めて、燧ケ岳の全体が見えた。
やはりカッコいい。

前にも書いたとおり、僕は高校一年の夏に燧ケ岳に登頂しているのだが、そのときのルートは福島県側から入り福島県側に下山するというルート。
もはや詳細なコースは覚えていないが、多分、御池から入って見晴に降り、尾瀬沼を経て沼山峠に下山したような気がする。
そのようなルートだったからこそ、尾瀬ヶ原に来たのも、尾瀬ヶ原からの燧ケ岳を見たのも今回が初めてだ。
こっちから見るとカッコいいなぁ。


尾瀬ヶ原の北面に連なる2000m前後の山々。
尾瀬ヶ原には白い小さな花が点在している。

12:36、小さな川を渡る。

オゼタイゲキ。

すぐその先に、ミズバショウ群生地への観賞用木道が現れる。


残念ながら、ここのミズバショウはほぼ終わり。
至仏山方面の景色がすばらしい。

ほとりにはレンゲツツジ。白いほうはズミか?

少し青空が見えてきた。


12:57、またもや、鑑賞ポイントのための木道が現れる。

なにかと思えば、湧水点だった。
なんとなく水面がウネウネしているような気もするが、よく分からない。

13:03、リュウキンカが群生していた。
木道の隙間にも。

13:07、竜宮小屋に到着。
ここで少し休憩を取る。

オオバタチツボスミレが咲いていた。

10分ほど休憩し、もうこのままここでのんびりしたいという気持ちを断ち切って出発する。

竜宮小屋の裏で橋を渡る。
この橋を境に福島県に入る。

福島県に入ってから見る燧ケ岳は、一段と大きい。

福島県に入るとすぐ、チングルマが咲いていた。

ミズバショウもまだ残っている。

見晴の山小屋群が見えてきた。

このあたりには、イワカガミが多かった。

見晴の山小屋群はもうすぐそこ。

13:48、見晴に到着。

連れの2人がトイレに行っている間に、休憩小屋などをプラプラ見て回る。
二十ウン年前のおぼろげな記憶が頭の隅の方で刺激される。
随分昔のことなので、おそらく当時と風景も変わっているだろうが、たぶんこの見晴の休憩所で先輩が下山するのを顧問の先生と一緒に待ち、その後この裏にあるテント場で幕営したはず。

この顧問の先生というのがヤンチャな人で、合宿のたびに生徒に酒を飲ますという人だった。
そんなとき、決まって言うのが
「山には山のルールがある。下界とは違うんだ」
というような言葉だった。おおらかな時代だったのだ。

僕もこの先生に酒を飲まされ、人生初の二日酔いを経験したのが高校一年の夏合宿だった。つまり、記憶が確かならば、それがこの見晴のテント場だったはずだ。
思い出深い。

ノスタルジーに浸っていると、連れの2人がトイレから戻ってきた。
さあ、気を取り直して出発である。


見晴から尾瀬沼方面へ向かう道は、ここまでの開けた風景からは一転し、鬱蒼とした樹林帯である。
樹林帯に入ると、一気に湿度が上がって蒸し暑く感じる。まさにこれが草いきれだ。

樹林帯を歩いていると、南東北独特の腐葉土の匂いがする。
この匂いを嗅ぐと、非常に懐かしく感じる。僕にとっての山の匂いとは、この匂いなのだ。
連れにとっては、あまり良い匂いではなかったようだが。。。

14:08、見晴新道は封鎖されていた。
分岐のところから覗き込んでみるだけでも、その荒廃ぶりが伺われる。
この道が使えれば、今日は見晴に泊まって、もうちょっとのんびりと尾瀬ヶ原を散策できたのだが、、、
本日の宿である尾瀬沼東岸の尾瀬沼ヒュッテまでは、コースタイムにしてあと3時間半。全然のんびりしてられない。

鬱蒼とした森の中心は、ブナ。

そんなブナの中でも、ひときわ大きなブナが道端に屹立していた。
つか、ブナだよな、これ?

尾瀬沼までのルートでは、木道の無い部分も所々にある。

14:21、橋を渡る。
イヨドマリ沢かな。

ニロンソウが咲いていた。

木道の無い箇所。
よく整備された登山道だが、雪解けのシーズンだけあって地面は湿気が多く、ところによっては水溜りなどもできていた。

雪解けの水が流れる小さな沢もちらほら見受けられる。

14:48、石がごろごろした斜面が現れる。
僕の記憶の中の燧ケ岳の登山道は、まさにこんな感じ。
という旨を連れにしたら、ゲンナリしていた。

14:51、木道を残雪がピンポイントで塞いでいた。
これをクリアすると、再びの斜面。
濡れて非常に滑る。

その向こうには、大きな残雪箇所。
石の斜面や残雪箇所など、明日の燧ケ岳越えを仮想するにはちょうど良いポイントが目白押しだ。

さすがにこれだけ残雪があると水温も低いのか、まだまだこのあたりのミズバショウは花盛りだった。


今度は、もはや沢と化している下り斜面を歩く。
よく滑る。
これを下り終わると、平地が広がる。

斜面の出口には、ヤマザクラ。

そして、ミズバショウの群生。

ショウジョウバカマも咲いていた。

チングルマも。

この場所があまりにも気持ちが良くて、木道の脇に設置されていた休憩スペースで寝っ転がっていたら、ついに雨が降り出した。
ちょっとこれは止みそうにないと判断し、雨具を着込み、再び尾瀬沼に向かう。

15:46、ついに尾瀬沼が見えた!

休憩小屋に入り、一休み。

小屋の中には非常にそそるドリンクたちが。
ビールを飲みたい気持ちを抑え、コーラを飲む。

尾瀬沼は雨雲の下で暗い表情を見せていた。

ひとしきりのんびりした後、尾瀬沼の東岸を目指して、北岸を歩く。

雨はすっかり本降りで、フードをかぶっていないと雨が頬を伝うほど。
そんな中を黙々と歩く。

天気が良ければ、きれいな景色が見れたんだろうなぁ。

このあたりでもまだ、ミズバショウは残っていた。

1630、露骨に滑る木の階段をくだり、
開けた場所に出る。

16:35、長英新道との分岐を通過する。
明日、燧ケ岳に登るならここからだ。

そのすぐ先に、キヌガサソウが花を咲かせていた。
いつ見ても、へんな花だなぁ。

16:41、物騒な張り紙が現れる。
さすがにトラバサミは違法だから、くくり罠なのだろう。
であれば、さすがに人間がハマることはないだろうけれど、人間が立ち入ってせっかく仕掛けた罠が荒らされてしまえば、シカが罠にかからなくなってしまう。
そもそも、植生保護の観点からも登山者が登山道以外に立ち入るべきでは無い土地なので、どんな角度から考えても登山道から離れてはいけない場所だということを再認識させられた。

16:42、ついに大江湿原に出た。

山小屋も見える。

16:44、橋が崩落して、別な橋が付けられていた。

湿原はまるで別天地のよう。

ミズバショウの群生も確認できた。

16:49、尾瀬沼ビジターセンターに到着。
本日の宿は、この向こうにある尾瀬沼ヒュッテだ。
なんとか無事に到着。

受付を終え、濡れたザックカバーや雨具を乾燥室に吊るすと、荷物を部屋に置いて早速夕飯。
舞茸の炊き込みご飯。
 ヤマメの干物。
 山菜のてんぷら。
美味。特に舞茸ご飯が美味。

ご飯を食べたあとは、早々に入浴。
そう、この尾瀬沼ヒュッテには、シャワーと風呂があるのだ。(ただし、シャンプーや石鹸等の使用は禁止。)
さらに、洗面所にはドライヤーも完備。

売店には生ビールが売られていたので、風呂上りに飲もうと思っていたのだが、風呂を上がるとすでに売店は閉まっていた。
やむなく、自動販売機(!)で缶ビールを買って飲む。

部屋が個室なので、部屋で飲んでもよかったのだが、せっかくなので玄関前の庇の下のテーブルで飲むことにした。

外は雨。
雨音を聞きながら飲むビールもまたオツなものである。
3人で、今日の景色に如何に心を現れたかを語り合う。

日が暮れると、さすがに空気がヒンヤリとしてくるが、こんなこともあろうかとフリースとダウンジャケットを持ってきたので無問題。


消灯は21時。
就寝。


(「2日目 さっさと下山」につづく)



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