それが『ハイキング・ハンドブック』だ。
著者は、本職は教育心理学の研究者で、心理学関係の著書が多い。
アウトドア系の著作については、『完全野宿マニュアル』や『野宿のすすめ』など20世紀から独自のジャンルを確立して、定評がある。
本書では、PCT(パシフィッククレストトレイル)のハイカーメーリングリストや著者自身の経験を起点に、ハイキングやトレッキングにおいて通説となっているティップスが、はたして本当なのかどうかについての論考を、豊富なエビデンスを元に行っている。
例えば、
「荷物は軽いほど良いのか」
とか、
「重い靴は疲れるのか」
とか、ハイカーやトレッカーなら誰もが必ず考えるようなテーマ設定が非常に多い。
もちろん、著者独特の道具考も、現代の道具にリニューアルして披露されている。
相変わらず、オスプレーに好意的で、モンベルに冷淡だった。こういうところが、著者が登山雑誌での露出が少ない所以なのではないかと勝手に推測する。
エビデンスを多数用意した、研究者ならではの筆致には非常に説得力を感じるし、示唆に富んだ内容である。
いささかぶっきらぼうな書き方をするキライがあるのだが、それも味というものだろう。
そんなわけで、多くのハイカー、トレッカーに読んで欲しい良著だと思う。
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