安曇潤平さんの「山の霊異記」シリーズの第三弾が出版された。
タイトルは『ヒュッテは夜嗤う』。
前2作は、収録された作品のうちの1つが単行本のタイトルにも使われているのだが、今回は、単行本のタイトルを冠した作品は収録されていない。
例によって、すんなりと物語に誘う文体は健在ながら、今回の作品は、「怖い」ものよりも、「不思議」なものや「ほのぼの」するものの割合が多い。
そういう意味では、怪談を期待して読むと拍子抜けするかもしれない。
僕はというと、こういうほのぼのしたものも好きだ。
そして、これは前2作についても言えることだが、読んでいるとまるで山好きの人と酒を飲みながら山の話をしているときのような楽しさを感じる。
あそこの登りはキツくてねぇ、とか、あそこからの景色は地味だけどしみじみと美しいよねぇ、とか、あそこの林道歩きは長いばかりでつまらんなぁ、とか、そういう山の四方山話をしているような気分だ。
本書の楽しみは、怪談でぞくぞくすること以上に、そういうところではないのだろうか。
ちなみに、僕は霊体験は皆無である。
が、オバケは怖い。
なので、山でオバケに遭わないで済むよう、それ専用のお守りを誂えてもらって、それを登山に持参している。甚だ恥ずかしい話だが、そのおかげか今でも無事だ。
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