このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2014年8月14日木曜日

ツアー登山について

まず最初に断っておくが、僕はツアー登山そのものを否定するつもりは無い。
ちゃんとした先達に連れられて歩くのは、心強いものである。

僕がここで述べたいのは、ツアー登山に参加する客についてである。


今年3月、登山帰りに日帰り温泉に立ち寄った際、休憩所で登山ガイド風の2人の男性が、ツアー客の愚痴をこぼしあっていた。
内容は、客が事前の説明を全然聞かず、現場に行ってテンパるケースが多いことについてだった。
こんなところで大の男がネチネチと客の愚痴かよ、と思って大変残念な気持ちになったものだ。

また、先日山小屋に泊まった際に、今度はツアー客の一部が大声でガイドの悪口を言っているのが耳に入った。
内容は、ガイドが自分たちを大切に扱っていない、というものだった。
曰く、せっかく花が咲いていてもその花が何という花なのかの説明も無い、とか、写真を撮るヒマも与えてくれない、とか。我々は客だぞ、客あっての商売じゃないのか、と息巻いていたのが印象的だった。

どうやら、ガイドとツアー客の意識には大きな隔たりがあるようだ。


ここで、僕の論点は2つ。


1つ目は、「お客様」として登山に来ている、ということに対する違和感。

登山をするにあたっては、己の面倒は己で見るというのが大原則だと、僕は昔から教わってきたし、登山関連の本や雑誌を読めば、どれにだって書いてある。
もちろん、ツアー登山においては、スケジューリングやルート案内の部分をツアー企画者側にお金を払って委託するものである。その部分においては自己責任の原則を当てはめるわけにはいかないのだが、それでも主体性は必要だろう。ただただ連れてこられるだけの「お客様」として登山に臨むのは危険すぎやしないか?


2つ目は、ガイドに対する不満の在り方に対する違和感。

キレイな花が咲いていれば気にもなるだろう、写真も撮りたいだろう。
しかしながら、20人もの団体で歩いていて、1人が歩みを止めるたびに全員が止まらなければならないような状態では、とても各人の好きなタイミングで立ち止まるわけにいかないのは自明のことである。
ましてや、その20人は、自力で登山をすることもままならない「お客様」な中高年である。
雨が降り出せば事故のリスクが高まるし、雷も来るかもしれない、岩場が濡れれば滑落するかもしれない。それらのリスクを廃するためには、とにかくいち早く目的地にたどり着くことことそがトッププライオリティだ。好き勝手に立ち止まらせては、この優先順位が大きく逆転してしまう。

しかも、もし何か事故があれば、注意を払っていたとしても責任を問われるのがガイド業の悲しいところだ。

そもそも20人もの、自立していない中高年の面倒を1人や2人のガイドで見きれるわけがない。
逆に言えば、ツアー客が払っている代金では、この程度のケアしかできないのが実状であることは、金勘定がまともにできる人であればすぐに気付くのではないだろうか。
それを、過分なサービスを要求すること自体が間違っている。
もしガイドにそんなにフレキシブルな対応をしてほしいのであれば、個人でガイドを雇うのが一番だ。(それなりの代金を払わなければならないけれど、それが経済原則というものだろう。)


僕としては、ツアーのような不自由な形態の山行はできるだけ避けたいと思っているが、モンブランやマッキンリーに行くのであれば、ツアーで行くしかないのだろうなぁと思っている。
その時には、口が裂けてもガイドに対して
「オレは客だぞ」
などという残念な言い草はしたくないものである。


0 件のコメント:

コメントを投稿