このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2014年8月6日水曜日

山行記 : 2014年8月3日~ 後立山連峰縦走 計画概要と0日目

後立山連峰。

明治に入って、国家によって山の名前が一本化されるにあたり、岐阜、富山、長野の県境にある北アルプスの山々はおしなべて長野側の呼び名が採用されたが、立山だけが岐阜、富山側の呼び名から採用されたのだという。
その煽りを食らってか、唐松、五竜、鹿島槍といった名峰が十把一絡げに、その立山の添え物のような「後立山」という名前で呼ばれている。それこそが立山の力強さの証なのかもしれない。
(参考文献『新釈日本百名山』)

だからというわけではないが、後立山連峰を縦走したいと思っていた。

雪深い土地ならではの切り立った峰々。
北アルプス南部に比べて天候も安定せず、なかなか微笑んでくれないというツンデレ評判。
難易度で言えば大キレットに引けを取らないという八峰キレットの存在。
そして、槍穂のような超一流プレイヤーにはない、いぶし銀な輝き。

その全てが僕に「さっさと来い」と言っている。

ただ、僕の住む東京からは決して近いわけでもなく、それなりに気合いを入れたスケジュールを組まないと挑戦が難しい。

それをついに、有給休暇を取って平日に(!)行くことにしたのである。
有給休暇バンザイ!


予定した行程は以下のとおり。
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<8月2日(土)>(0日目)
東京を出て、電車でJR白馬駅まで。
八方のペンションに投宿。

<8月3日(日)>(1日目)
ゴンドラとリフトで白馬八方尾根スキー場を上り、そのまま八方尾根から唐松岳へ。
その後五竜岳方面に向かい、五竜山荘テント場泊。

<8月4日(月)>(2日目)
五竜山荘テント場を出発し、五竜岳を経てキレット小屋泊。

<8月5日(火)>(3日目)
キレット小屋を出発し、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳を経て、種池山荘テント場泊。

<8月6日(水)(4日目)>
種池山荘テント場を出発し、扇沢へ下山。大町温泉郷で入浴後、帰京。
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有給休暇を取ったのは8月6日まで。予備日は無い。
もしエスケープルートの無いキレット小屋でうっかり悪天候に捕まろうものなら、会社をズル休みするしかないというオプション付きのスケジュールだ。
社畜系な僕としては、この時点ですでにけっこうな冒険である。

とはいえ、各日の行程にはかなりの余裕を持たせてあるので、リカバーは一定程度利くように設計した。
たとえば、キレット小屋で1日沈殿したとしても、翌日に早出をすれば十分に扇沢までたどり着けるのだ。

もちろんこんな日程で一緒に行ける人もなく、久しぶりのソロ山行。
ソロでしか味わえない醍醐味があるのである。


なお、行程の中でも触れたが、今回は五竜山荘と種池山荘でテント泊をすることにした。(キレット小屋にはテント場が無い。)
軽量なテントを衝動買いしてしまった金銭的穴埋めを考えると、体力的に多少厳しくてもテント泊を選択せざるを得ない。
まあ、そのための軽量テントなわけだが・・・。

岩場の連続するルートであることを考えると荷物はできるだけ軽くしたいところだが、結局、テントとシュラフ以外はウルトラライトとは縁がなく、荷物がパンパンになってしまった。
なにせ、行き帰りの電車の中での快適な睡眠のために首枕まで持参してしまうほどなので。

そんなわけで、ザックはこんな状態。(山行中に撮影)
ウルトラライトとは正反対のグレゴリー・バルトロ75。ザックの自重だけで2.65kg(メーカー発表)。
荷物全体で約20kgほど。

そして、トレッキングポールとスリーピングマットがどうしてもザックに入りきらず、残念な外付け。
それでも、できるだけスリム化を図るためにスリーピングマットは短めにカットしたし、トレッキングポールは岩場で引っかかりにくいように収納の仕方を工夫した。
もうあとは、岩場では引っかからないように細心の注意を払うしかない。


そんな準備を整えて家を出た8月2日。
まさかの山手線全線運転見合わせの影響で、特急あずさに乗り遅れた。原宿駅付近で線路内に立ち入ったヤツは、いったい何を考えているのか。
イヤな予感しかしないスタートに、テンションは完全にダダ下がり。
白馬村の宿に着いてからも、なんだか気持ちが山に向かわない。

気を紛らわすためにFacebookを見るも逆効果。
やはりFacebookは、翌日からしばらく風呂にも入れない環境に身を置く人間が見るべきメディアではない。
このリア充どもめ! 

鬱々としながら就寝。


ちなみに、一部で報じられていた、白馬村での蛾の大量発生についてだが、僕の見た範囲では特に生活に支障が出るほどではなさそうだった。
たしかに、コンビニの明かりに集まる蛾の数は、東京に比べてやや多いような気はしたが。


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