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山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年1月2日月曜日

走ることについて書かれた分厚い本

ランニングの指南書や、大会関連のルポルタージュはたくさんあるけど、それとは一線を画したランニングに関する読み物って意外と少ない。

そんな、ランニングに関する読み物3冊、いずれも分厚い本だが、簡単に紹介したい。

まずは、村上春樹 『走ることについて語るときに僕の語ること』。

村上春樹といえば押しも押されもせぬベストセラー作家で、世界各国でも人気があるのだが、もう20年以上ランニングを続けていることでも有名だ。

その村上春樹が、自身のランニング観などについて書いたのが本書である。
僕自身は村上春樹の作品は高校生の頃から愛好し、ジャズについて語っているもの以外は単行本化されている作品は全て読んでいるし、雑誌などにもマメに目を通すようにしている。
そんな中で、他の作品とはちょっと違った意味合いでシンパシーを感じた作品が本書だ。

村上春樹はもちろんエリートランナーではなく、普通の(というより、熱心な)市民ランナーだ。
市民ランナーには市民ランナーの共通言語があるわけだが、その共通言語を通して、この大好きな作家がとても身近に感じられる作品だった。

(今、箱根駅伝の中継見てたら、サッポロのCMで本書の一節が引用されてた。。。)



つぎに、クリストファー・マクドゥーガル 『BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”』。

本書は、局所的にベアフットランニング旋風を巻き起こすキッカケになった本だ。

本書はいわゆるロードレースではなく、トレイルランニングの話だ。
「ウルトラランナー」という書き方をすると日本ではロードのほうが一般的だが、本書で描かれる「ウルトラランナー」は、野山を駆け抜けるワイルドなランナーのことだ。

著者は、膝の痛みを常に抱えている平凡以下の市民ランナー。その市民ランナーが描く、全米一流のトレイルランナーと、メキシコの山岳民族とのランニング対決を描く、激熱なルポルタージュだ。

僕自身、本書を初めて読んだ頃は膝の痛みに悩まされていて、作品中に繰り返し述べられているハイテクスニーカー害悪論に強く影響された。

結局僕自身は、登山によるトレーニングで足の筋肉を太くすることで怪我を回避することができるようになったが、実力値以上のペラペラなソールのシューズを使うようになったのは本書の影響だ。


最後は、トル・ゴタス 『なぜ人は走るのか: ランニングの人類史』。

先月発売されたばかりの本書は、なんと古代ギリシャまで遡って、人類のランニングの歴史を紐解いている。

ただ、著者がどうやらランナーではないからなのか、短距離も中距離も長距離も全て「ランニング」でくくってしまっていて、話があっち行ったりこっち行ったりするので、非常に読みづらい。

それこそ、2500年以上もの期間のランニングの歴史を1冊にまとめていて、しかも、個別の人物にスポットを当てて話をすすめていくので、どうしても散漫だし、連続性に乏しい内容になっている。
かといって、スポットを当てた人物を深く描くことも当然できていないので、冗長なのに非常に物足りない印象。

力作だけど凡作。残念。





やっぱ『BORN TO RUN』は名作だなー。

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