このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2015年4月4日土曜日

山行記 : 2015年3月7日~ 南八ヶ岳 2日目 すごすご退散



(この記事は「計画概要&1日目」の続きです。)


山の朝は早い。
けれど、起きたら外は雪だった。

まさかの展開にしばし呆然とした後、再び寝床にもぐりこむ。
早くもやる気を無くした。

天気が好転することに全てを賭けて、無理やり東京を後にしてきたのに、こんなのってあんまりだ。


6時半過ぎ。朝食。
ゴハンとトマト煮がお替り自由という想定外の展開。
味噌汁も美味い。
これまで僕が食べてきた山小屋の朝食の中で、ベストバウトと言えるかもしれない。


朝食を食べ終わり、再び外の様子を見るも、やはり雪。
ちょっとこの様子じゃ、連れを連れて稜線に上がるのは危ないかもしれない。

僕自身も、決してピークハンターではないので、景色の悪い状況で登ることはあまり気が進まない。

そんなわけで、中山展望台を経由して、北沢から下山することにした。
完全にやる気喪失。


ダラダラと荷造りをして、小屋を出た時点でもう7:30をゆうに回っていた。
「メシ食ったらすぐに出発するぞ!」
などと息巻いていた昨晩が、遠い昔のように感じられる。これを一日千秋というのだな。(違


外に出てみると、相変わらず雪は降っていたが、青空も垣間見えたりする変な空模様だった。

大同心。

赤岳。

阿弥陀。

テント場越しに見る中岳。

まともに山頂が見えているのは中岳ぐらいで、あとはしばらく待っても山頂が見える気配は無かった。

行者小屋の裏に回り、地蔵尾根に向かう分岐には、人がたくさん集まっていた。
これから赤岳に向かうのだろう。

僕もついうっかり地蔵尾根に吸い込まれそうになったが、なんとか思い留まって中山展望台を目指した。

なだらかな斜面についたトレースを追うだけの簡単なアルバイト。

そんなダラダラした斜面を歩くこと30分。
中山展望台への分岐に到着。
今日のような天気に中山展望台に上がっても、なんの景色も無いだろうが、せっかく山に来て1つもピークを踏まないのも癪なので、登っておくことにしよう。

登ってみると、5人ぐらいのグループが談笑していた。
分岐に置いてあったザックの人々だろう。

そんなパーティを尻目に、写真撮影にいそしんだ。

赤岳。

横岳。

阿弥陀岳。

アダルトビデオのモザイクがもどかしくて仕方が無かった思春期の頃を思い出すような、そんな雲のかかり方だ。

ちなみに、これは後で知ることになるのだが、この日阿弥陀岳で女子高生が滑落遭難するという事故が起きた。
後日その女子高生は無事に救出されるのだが、どうもここ数年、すぐ近くで遭難騒ぎが起きることが多く、次は自分かもしれないという思いが日に日に強くなっていくばかりだ。

さて、しばらく待っても一向に稜線の雲は晴れそうにないので、中山展望台を後にして、赤岳鉱泉へ向かった。
再び、なだらかな樹林帯歩き。

実は、ここから赤岳鉱泉に向かう途中に、一箇所、滑落停止訓練をするのにちょうど良い斜面がある。
連れがそこで、滑落停止という名の雪遊びを強く所望するので、しばし雪と戯れることにした。


斜面を歩いてるんだか這ってるんだが分からない状態で登る連れ。

ヤケクソ半分で雪と戯れる私。

コケてみたものの、新雪に阻まれて滑落停止どころではない連れ。

再び降り出した雪に、呆然と天を仰ぐ私。
気付いたときには、ところどころ見えていた青空もすっかり姿を潜めてしまっていた。


ひとしきり遊んで諦めがついたところで、再び赤岳鉱泉に向かって歩き出す。

9:40、赤岳鉱泉が見えてきた。

赤岳鉱泉では、名物のアイスキャンディーに登るクライマーたちが沢山。

アイスクライミングのギアを買い揃えたものの、ザイルパートナーが居なくてまったく着手できていない僕にとっては、うらやましくて仕方が無い。

持参したコーヒーを飲みながら、ただただ眺めるだけの口惜しさである。

たまに姿を現す横岳。

太陽は雲の向こうで、それでも自己主張を止めてはいなかった。

いつまでも眺めていても仕方が無いので、10:13、赤岳鉱泉を出発。
気温は高かったが、降ったりやんだりの雪のおかげで、木の枝はたっぷりの雪化粧だ。

ふりむけば横岳。(cf.マルシア
嫌な雲の様子と相俟って、
「踏み込んだ者は誰も戻らないことから、魔の山と呼ばれるようになったその山容はあたかも・・・」
と渡辺篤史の声でナレーションを入れたくなるような佇まいである。


その後はただひたすらに樹林帯を進むばかりである。
雪のダケカンバは、やはり美しい。

美濃戸山荘のすぐ手前まで来ると、赤岳鉱泉の雪上車が一台停まっていた。
もしや北八ヶ岳のように、荷台が座席になっていたりしないかと覗き込んでみたが、やはりここは南八ヶ岳。
非リア充風に、荷台は本来の意味での荷台であった。


11:45、美濃戸山荘に到着。
ここでしばし、椅子とテーブルを借りての休憩タイム。

ここから先は林道とショートカットでつなぐなだらかなルートだ。
標高を下げるごとに、道はぐちゃぐちゃになっていく。

12:55、美濃戸口に到着。

こうして、消化不良な登山が終わった。


(了)

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