2006年10月、ガイド登山で白馬岳に登っていた女性4人が遭難死した事故で、ガイドの男性に刑事事件として有罪判決が下されました。
「白馬岳4人遭難死 山岳ガイドに有罪判決」(NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150420/k10010054391000.html
事故当時の報道について詳しく記載されているブログ記事がありましたので、リンクを貼っておきます。
「2006年の白馬岳4人死亡事故、ガイドを書類送検」(ブログ「お山へ行こう!)
http://lcymeeke.blog90.fc2.com/blog-entry-2133.html
また、2013年に書類送検された際の解説が、長野県山岳連盟のホームページに掲載されているので、こちらもリンクを貼っておきます。
「白馬岳遭難ガイド書類送検」
http://www.naganogakuren.net/scrap/2013/2013.12.21%83K%83C%83h%8F%91%97%DE%91%97%8C%9F.htm
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ガイド登山における責任問題については、昔から随分と裁判沙汰になることがあるけれど、刑事告訴は珍しいらしい。
ガイドの法的責任が問われるたびに思うのだが、ガイド登山におけるツアー中止の合理的判断が、もう少しガイド業界としてノウハウ化されてもいいんじゃないだろうか。
というのも、ガイド側からすれば、ツアーを中止しようにも、参加者から「契約不履行だ!」などと言われるとなかなかキツいだろうし、同時に、なんでもかんでも中止判断にしてしまうガイドに当たってしまったら、参加者もつらいだろう。
さまざまな遭難報告を読むにつけ、ガイド登山では「総合判断」という名の、ガイド個人の経験と勘に頼る運用をしているように思えて仕方が無い。(ガイドになるための資格試験があるにしても、だ。)
それだと、常に合理性の罠が付きまとう。
人は、俗人的でブラックボックス化された判断には常に疑問を抱くものだ。ツアー参加者から投げかけられるその疑問を、ガイドが現場で一身に背負わなければならないというのは、ひどく重荷であろう。
その負担を減らし、俗人的な判断の罠にはまらないためにも、山岳ガイド業界としての具体的指針やガイドラインを明確にすべきじゃないだろうか。
おそらく、「その場の状況は、そのときでいろいろ異なるのだから、そんな指針やガイドラインなんて決められない」という反論があるだろうが、そんなもんは何でもそうである。何も、登山だけが特別じゃない。
そもそも事前にツアー中止条件を具体的に契約で取り交わしていないのが、ガイドにとっても足かせになっているのではないのか。
契約とはノウハウである。
いかに事前にお互いが納得できる契約を結び、トラブル時に円滑に処理ができるよう事前にコンセンサスを取れるかは、ガイド個人や旅行会社(山岳ツアーなんて零細旅行会社ばかりだろう)単体でそのノウハウを十分に蓄積できるものではない。
であれば、山岳ガイド業界として、ノウハウを集積してガイドラインを決めるべきではないのか。
「山は自己責任」とは、ちょっと山をかじった者であれば皆耳にしたことがあるだろうし、本来の登山者の姿でもある。
が、ガイド登山の客に自己責任を求めるのは、実態として無理がある。わざわざ金を払ってツアーに参加しているのだから、どうしたって「客」という自己意識が働く。
本当に「自己責任」で登ろうという人は、ガイドなんて頼まないのだ。
このような事故が繰り返されないよう、また、ガイドの負担を減らす意味でも、ガイド登山の参加者に一人前の登山者としての自己責任意識を期待することなく、ちゃんと契約関係で処理できるように、ガイド業界全体でノウハウの蓄積と体系化に取り組んで欲しいと思うのである。
あくまで門外漢の素人のたわごとでしかないし、もしかしたらすでに現在ではそのような対策が採られているのかもしれないが、トムラウシの遭難の報告書を呼んでも、ガイド協会のホームページを見ても、このような対策については一切触れられていなかったので、書いてみました。
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