このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2014年1月19日日曜日

山行記 : 2014年1月12日 丹沢 鍋割山 うどん&歩荷

丹沢の鍋割山といえば、鍋焼きうどんが有名だ。
山頂に立つ鍋割山荘で供される鍋焼きうどんは、評判が評判を呼んで、混雑時には1時間待ちになるという人気ぶりだ。

そんな鍋割山に、僕はまだ行ったことがなかった。
毎度、空いている時期を選んで行こうと思っているうちに季節が進んでしまう。

やはり丹沢が一番混むのは晩秋、樹々が最も色づくころだろう。
その次が、天候が安定して眺めの良い中秋の頃、次に春だろうか。
最も空いているのは酷暑の真夏か。

さすがに炎天下に鍋焼きうどんを食べる気にもならないので、真夏の次に空いてそうな厳冬期が良さそうだ。
ちょうど成人の日三連休は、金がないので遠出できそうにない。これを機会にこれまで足の向かなかった鍋割山に行ってみようと、友人を誘って出かけてみた。

今回の山行のメインの目的は鍋焼きうどんを食うことだが、それと同じぐらい、歩荷のボランティアをすることも重要な目的だった。
「歩荷のボランティア」というと何だかものものしいが、これも鍋割山の名物の一つで、二俣から後沢乗越に向かう途中に水道水入りの大量のペットボトルが置いてあり、登山者はボランティアで鍋割山荘までそれを運ぶというものだ。水源の乏しい山頂に立つ鍋割山荘での生活用水に使用される水となるのだ。

鍋割山の山頂に向かうルートは幾つもあるが、水道水入りのペットボトルを途中でピックアップしていくことを考えると、往路は二俣から後沢乗越を目指さなくてはならないので、自ずからコースが決まってくる。

通常、二俣へは、バスで大倉まで行って林道を1時間以上延々と歩くか、二俣のすぐ手前の駐車場まで自動車で入るかのいずれかなのだが、車は無いし、林道歩きもイヤなので、ゲートまでタクシーで行くことにした。タクシーでも3,000円もかからないようなので。

というわけで、予定コースはこんな感じ。


往路は、県民の森ゲートから二俣、後沢乗越を経て鍋割山山頂へ。
復路は山頂から小丸を経て、その先の分岐から小丸尾根を南下して、再び二俣へ。県民の森ゲートからタクシーに乗る。
連れも居るし、歩荷もするので、ミニマムなルート設定にした。そもそも林道歩きは大嫌いだし。

7:31、小田急線渋沢駅に到着。
連れと落ち合い、タクシーに乗り込む。
8時頃には県民の森のゲートに到着。2,420円也。
駐車場にはかなりの数の車が駐車していた。
こんな季節に、こんな早くからご苦労なことだ。(自分もだが。)

8:06、準備を整え出発。

8:15、栗ノ木洞へのトレイルが現れる。
山と高原地図には載っていない道だが、県民の森にはハイキングコースが多数あるそうで、そのうちの1本なのだろう。
三浦アルプスや鎌倉アルプスでも常々思うのだが、ハイキングコースのちゃんとした地図を用意してもらえんものだろうか。

8:20、ゲートが現れる。
その先も林道はつづく。
のどかな枯野だ。

8:24、尾関廣像を通過。
この尾関廣氏は、丹沢の近代登山の開祖のような人のようで。

ここからは、かつての登山訓練所の建物も見える。

8:27、登山届のポストに到着。
通り過ぎる登山者を尻目に、登山届を提出。祈・安全登山。

8:33、小丸尾根への分岐が現れる。
下山時はここに降りてくる予定だ。

まだまだ林道はつづく。

8:53、林道の終点に到着。そこに、水道水の入った大量のペットボトルが山積みになっている。
積んであるペットボトルは、2リットルと4リットルだ。
4リットルのものは、取っ手が付いているタイプで、「眞露」や「大五郎」といったラベルがかろうじて読み取れるものもある。

僕はここで、ザックに4リットルを2つ、計8リットルをザックに詰めた。
ペットボトルの表面は少し濡れていたりするので、あらかじめ用意してきたポリ袋に入れてからザックに詰め込む。
ズッシリと重みを感じる。
この日はオスプレーのケストレル38だったので、重みにザックが耐えられるかちょっと不安だったが、背負った感じとして問題無さそうだ。

さあ、ここからがいよいよトレイルだ。
登り始めてしばらくは、植林の急登だ。
雪はほとんど無く、まだトレイルも凍ったままなので泥々でもなかった。
が、丹沢特有の、急なばかりで面白くもない杉林に、ややゲンナリする。
背中の荷物が事実以上に重く感じられる時間帯だ。

ただただ地面を見つめながら一歩一歩足を上げる。
気温は決して高くないのに、汗が噴き出す。
着ていたツルギジャケットのベンチレーションを全開にする。ふぅ、涼しい。。。

9:25、後沢乗越に到着。
尾根に立つと、一気に展望が良くなる。

ここから栗ノ木洞に降りる道はあまり歩く人が居ないのか、雪がまだ残っていたが、
鍋割山に向かう方にはほとんど雪が残っていなかった。

地面は比較的乾いていて、泥がストレスになるようなこともない。
が、やっぱりこの尾根も急登の連続だった。
いかにも丹沢らしい急登の尾根道。

余談だが、この尾根に張られていたロープの支柱の商品名は「ユニクロ異型ロープ止め」。
世間で広く知られている「ユニクロ」は「ユニーククロージング」の略だが、こちらは「ユニークロープ」の略だろうか。

標高を上げていくと、次第に登山道の脇には高さのある霜柱が見られるようになる。
陽が高くなると、これが溶けて登山道が泥々になるのだろうか。

西に見えるのは檜岳山稜。

10:04、緊急連絡番号9の道標に到着。
このあたりからは、樹々の間から富士山が見える。
が、スッキリと見えるようになるにはもうちょっと標高を上げなくてはならない。
そう思って標高を上げるも、タッチの差で山頂が雲に隠れてしまった。
無念だ。

緊急連絡番号10の道標より上は、見晴らしが一段と良くなる。

箱根方面。

檜岳山稜。

鍋割山山頂直下は、さすがに雪が登山道に積もっていた。あ
が、軽アイゼンをつけなくても、慎重に歩を進めれば問題無い程度だ。

10:30、鍋割山荘が見えてきた。

山頂直下の階段。これを登れば山頂だ。

10:35、山頂に到着。

鍋割山荘。

西側の展望。
相模湾方面。

山頂のベンチは、すでに超満員。はたして座る場所を確保できるのだろうか。
ともあれ、鍋割山荘に入り、今日の目的である鍋焼きうどんの注文をする。
出来上がりまでの間に、歩荷してきた8リットルの水を小屋のジイサンに託す。丁寧にお礼を言われた。ただ、リアクションは薄かったので、やはり8リットルという量は大したことないのだろう。次はもう1本加えて12リットル歩荷することにしたい。

小屋には、うどんの他に、美味しそうなおにぎりも売られていた。
シャケのおにぎりを買うか迷ったが、ザックの中におにぎりが入っていることを思い出し、思い留まる。

そして、ついに念願の鍋焼きうどん。
うまい。
しかも、グツグツいうほど熱々で、冬山では大変ありがたい。
暖かく降り注ぐ陽光とあいまって、幸せであった。

1時間近く山頂でのんびりし、11:35、下山の途につく。
軽アイゼンを装着して出発した。

山頂を振り返ると、去りがたいほど素敵な風景だ。
元々の予定では、ここから小丸を経て小丸尾根を下る予定だったが、まだ時間も早いので、金冷シから大倉尾根を下ることにした。

金冷シまでは、大変心地の良い尾根歩きだ。丹沢主脈もよく見える。

南には神奈川県の街と相模湾。

尾根道はこの時期らしく、樹々の葉は落ち、見通しが良い。
樹々の向こうには塔ノ岳も見える。

12:03、小丸を通過。

引き続き、さくさくと稜線を歩く。

12:11、小丸尾根へ降りる分岐に到着。
しっかりとトレースがあるので、けっこうな数の人が小丸尾根を降りていっているようだ。
が、我々は金冷シを目指す。

この頃から、空には重たそうな雲が広がってきた。

12:24、大丸に到着。

12:40、金冷シに到着。
この分岐の木の股に、ザックを挟んでデポしてる人がいた。おそらく、ここから塔ノ岳までピストンする人だろう。
デポしたい気持ちも分かるし、ザックを雪面に置いて濡らしたくないという思いも分からんでもないが、こういうのは樹木に対して負荷をかけるので慎むべきだろう。

我々は塔ノ岳には寄らないことにした。
尊仏山荘のネコには会いたかったが、だいぶ曇ってきたので展望は良くないだろうと判断したのだ。

金冷シから大倉尾根を降りるに当たって現れる最初の小ピークは、登山道の整備中だった。
旧ルートは右。新ルートは左。
右のルートは崩落の危険があるそうだ。

東には表尾根と、その向こうに大山。

雲はどんどん重く垂れ込めてくるものの、かえって隙間から差し込む陽の光が美しい。

13時前に花立山荘に到着。
太平洋方面の展望は、実は塔ノ岳よりもこの小屋の前からの方が良いのだ。
ここに泊まって夜景を眺めたら、どんなに素敵だろうかと思う。
が、まだ実行していない。

残念ながら、この日は富士山は見えず。

ここで、豚汁をいただく。

ひとしきりノンビリしたところで、出発。

花立山荘で軽アイゼンを外して歩き出した。
すぐに登山道は泥々になる。
これは冬の低山の午後の宿命なんだけれど、とてもイヤ。

13:45、堀山の家に到着。
ここでトイレ休憩。
この大倉尾根を歩くときは、なぜかこの堀山の家で尿意をモヨオす。
でも、トイレは正直なところ、決して綺麗ではない・・・。

14:12、駒止茶屋を通過。

14:39、見晴茶屋に到着。
ベンチで少し休憩をする。
思えば、ここで休憩をしたことはなかった。
こうしてのんびりすると、今まで気にもしなかった景色に気付く。ここからの眺めはこんなに良かったのか。

14:52、分岐。
左手に進む。
このあたりまで下がると、登山道はだいぶ乾いてくる。

14:55、観音茶屋を通過。
ここまで来れば、もう下山したようなものだ。

15:15、大倉バス停に到着。

登山靴の泥を入念に洗い流してから、タクシーで日帰り入浴施設へ。
良い山行でした。


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