このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2015年9月13日日曜日

山行記 : 2015年9月6日 奥武蔵・伊豆ヶ岳 ついでの登山


奥武蔵には滅多に行かない。
自宅からでは、奥武蔵に行くよりも奥多摩や丹沢に行くほうが早いので、わざわざ奥武蔵に行く理由が見当たらないからだ。

そんなわけで、これまで奥武蔵の山には一度、4年前の台風の日に誘われて伊豆ヶ岳にトレランに行ったことがあるだけだ。(そのときの模様はこちら。)

それが、今回はたまたま土曜日に仕事の用事で秩父に行くことになったので、そこに一緒に行く会社の後輩と共にそのまま秩父に1泊し、日曜に秩父の山に登ろうということになった。

僕としては悲劇の山・武甲山に登っておきたかったのだが、後輩がどうしても男坂の岩場に行きたいと言うので、伊豆ヶ岳を目的地とすることにした。
(計画時点では、男坂が通行止めになっていることをすっかり失念していた。)


さて、土曜の用事も早々に終わり、その日の宿に移動。
宿と言っても、僕も後輩も金が無いので、キャンプ場でテント泊だ。
テント泊で奥武蔵に登山に行くなんて、なかなか無いシチュエーションだ。

場所は、武甲温泉のオートキャンプ場
日帰り温泉施設から徒歩1分の場所にあるキャンプ場なので、風呂に入ってのんびりすることができる。

まずはテントを張る。
今回はそれぞれがソロテントを設営した。

この日はさっさと就寝して、明日に備える予定だった。
が、そうは上手くいくものではなかった。

そう、ここはオートキャンプ場。
車でテント場まで乗り付けられるタイプのキャンプ場なのだ。
こういうところに居るのは、当然登山者ではなく、キャンプ場でパーティをする人種だ。
明らかに自分とは人種が違う。
が、それは別にかまわない。

家族連れキャンパーの小さな子供に
「小さなテントー!」
と指をさされたりするのも、大きな問題ではない。

己の見通しの甘さを呪ったのは、それらのキャンパーが夜の0時を回っても大声で騒ぎ続けていたことだった。
そう、ここは山のテント場ではない。オートキャンプ場だ。遅くまで飲んで騒ぐのは当然だろう。だが、日付が変わってもテンションが変わらないのはちょっと意外だった。
当然こちらは眠れるわけもない。
結局その騒ぎは午前2時近くまで続いた。
起床予定時刻は朝4時半。
スタート前から大いにつまづいた形となった。

今後は、オートキャンプ以外の目的でオートキャンプ場には泊まるまい。


朝5時過ぎ、撤収を開始する。
出発準備を整え、西武秩父線の横瀬駅まで歩く。
後輩もあまり眠れなかったようで、表情筋が死んだままだ。

幹線道路まで出ると、武甲山の姿が見えた。
雲が低く垂れ込め、石灰岩採掘のために痛々しく削られた山肌を覆い隠している。
本日の天気予報は曇りのち雨。午後の早い段階で雨が降り始めるという予報だが、もしかしたらもっと早く降り始めるかもしれないと思わせるような暗い空だ。
睡眠不足と相俟って、気分が全く乗らない。

横瀬駅から西武秩父線で正丸駅へと移動。
6:27、正丸駅の登山ポストに登山届けを投函して出発。
改札を出て右手にある階段を下る。
 この階段が、まるで時空の歪みを表現したかのように斜めになっていて、非常に歩きにくい。
どういう意図でこんな造りにしたのだろうか。

階段を降りてしばらくは舗装道路を歩く。
道路の脇には小さな川が流れている。
4年前に来たときは台風の最中であったため、この川も濁流であった。
当時は、それを見て、誘われるがままにヒョイヒョイついて来た己の浅はかさを呪ったものだ。

道端には、弱ったキイロスズメバチが落ちていた。
スズメバチも寿命を迎えればアリのエサになるのだろう。
それがエコシステムである。

6:41、中丸屋の前を通過。
このお店、駅前にも看板が出ていたが、普段は開いているのだろうか。

6:51、分岐が現れる。
この分岐は地図に載っていないので、ひとしきり混乱する。
分岐には大岩と祠があるが、特に何の説明も無い。

とりあえず、この分岐は我々とは関係ないものだと結論づけ、引き続きアスファルトの道を歩く。

6:56、ついにアスファルトが終了した。

道の横には苔むした渓流が流れていて、早朝の静けさに風情を添えていた。

7:01、祠が見えてきた。
 山の神の祠のようだ。

7:04、正丸峠分岐に到着。
右の道を選ぶとアスファルト歩きが発生するので、左に進路を取った。

左の登山道は沢沿いというか、沢を縫うように歩くため、丸木橋や飛び石を使って何度か渡渉することになる。

穏やかなせせらぎに、寝不足でささくれ立った心もなだめられる。

沢沿いを遡っていくと、次第に沢の水量が少なくなり、源頭に近付くに連れてそのか細い流れがそのまま登山道になっていた。

沢を登りつめると、そこには延々と続く階段が。
沢から尾根に上がる場合、沢を歩いているうちは比較的なだらかな地形なのが、源頭から上は急な斜面になるケースが多い。
ここもまさにそのような地形である。

7:24、正丸峠に到着。

正丸峠は眺望が良いということになっているのだが、残念ながら雲が重く垂れ込め、パッとしない眺めだ。

ここでウダウダしていても何も得るものが無さそうなので、伊豆ヶ岳に向かって歩き始める。
まずは、またしても長い階段。

すぐになだらかな樹林帯の尾根歩きとなる。
 小さなアップダウンを繰り返し、
樹林の切れ間からたまに見える風景はガス。

7:52、長岩峠に到着。
一瞬左に行きそうになるが、伊豆ヶ岳への道は右。

8:01、またもや分岐。
どっちに行ってもまたすぐに合流するので、楽そうな右の道を迷わず選択。

8:09、男坂手前の分岐に到着。

男坂への道には、
「落石注意」「落石危険」とは書いてあるものの、通行禁止とは書いていない。
うーむ、悩む。
元々はこの男坂を登るために来たようなものなので、リスクを取るかどうか。

ただ、家を出る時点では、男坂のこのような状況をすっかり失念しており、落石対策(ヘルメットとか)を一切持ってきていなかった。
うーん、こんなところでチンケなリスクをおかすのもなぁ。。。

とりあえず、岩場の下まで行ってみる。
うーむ。この上にも岩は続いていそうなんだけど、どうも確かに落石が多そう。
分岐からここまでの100m程度の間にも、おそらく落ちてきたのであろうクズ石が大量に斜面を埋め尽くしていた。
ここを登っても10中8、9大丈夫だろうとは思うのだが、うっかり落石が頭に当たったりしたら目も当てられない。
無用なリスクは避け、女坂方面に向かうことにする。

8:16、女坂は崩落のため通行止め。山腹を上るように左に折れる。
「山と高原地図」では「男坂と女坂の間の道」と表現されているが、アセクシャル坂とでも言えばいいのだろうか。

この坂が地味に険しい。
気温は低いが湿度は高いこの日の気候の中、一気に汗が噴出す。

8:24、尾根に出ると、男坂へ降りる道はロープで封鎖されていた。

伊豆ヶ岳の山頂までもう少し。

8:26、伊豆ヶ岳の山頂に到着。

ここで、本日のメインイベント、山頂ラーメンが始まる。

本日のラーメンはこちら。
山以外で食うシチュエーションの思いつかない、熊出没注意ラーメン。
果たして美味いのだろうか。

フリーズドライのチャーシューと乾燥ワケギをあしらって完成。
なかなかイケる!

食べ終わってひと段落したところで、再び出発。時刻は9:15。随分のんびりしてしまったものだ。
下り始めてすぐに、山伏峠への分岐が現れる。
我々が向かうのは天目指峠方面なので、左折する。

ひとしきり急斜面を降りると、西吾野駅への最短ルートへ向かう分岐が現れる。
このルートには興味が無いので、そのまま尾根を直進。

すると、今度は尾根道が上り基調に。
古御岳への上りだ。

伊豆ヶ岳から下り基調だと思っていた連れが、明らかに気落ちしながら登っている。
睡眠不足が効いているようだ。

そして、さらに我々を苛む長い階段。
なかなかサディスティックな道だ。

9:34、古御岳の山頂に到着。

ここからまた、そこそこ急な斜面を下る。
上った分だけ下る。これが登山。
ふと我に返った時に襲ってくる徒労感には、気付かぬフリで対応するのが大人である。

その後もしばらく尾根歩きが続く。

岩っぽい道もあれば、
土っぽい尾根もある。
もちろん、土地柄、こんな植林帯も多い。

10:07、高畑山の山頂に到着。

また下る。
道すがら、マムシグサが実をつけていた。
食ったらお腹を壊すビジュアルである。

10:24、鉄塔脇を通過。

その先には急斜面。

その後、なぜか分岐が現れるも、全く気にせずに巻き道に向かう。
後になって中ノ沢ノ頭を巻いたことに気付くも、特にどうでもいい。

10:50、謎の「山道」との分岐が現れる。
山仕事の道という感じだろうか。

天目指峠に近付くと、登山道の両脇下方にアスファルトの道が見えてくる。
登山道とアスファルトの道が交差したところが天目指峠なのだが、そのすぐ手前に伝説らしきものが掲示されていた。
ウナギかぁ。。。
うん、まあ、最近絶滅が危惧されてるし、ちょうどいいかもなぁ。。。(何が?)

10:59、天目指峠に降り立つ。

再び登山道へ。
登山道は真正面の広い道ではなく、
 脇道のように強引につけられたような急な斜面だ。
いじめに近い。

その後はしばらくの間、地味な登山道を上ったり、
下ったりしながら、
やっぱりまた上ってみたり。

なんなんだ、このコースは。
と、打ちひしがれながら歩いている中で、連れの水が尽きた。
出発する際には2リットル持っていたというが、午前中だけで飲み干してしまったようだ。
まあ、あと30分もすれば子ノ権現にたどり着くだろうし、そこには自販機があるはずなので、そこまでの辛抱だと励ます。
かくいう僕も、あと200mlぐらいしか水が残っていない状態だった。僕の場合は、2リットル持参したうちの1リットルはラーメンに使ってしまったのだが。

11:42、小さな祠が現れる。
これは、子ノ権現の奥社のようなものか?

直下には鳥居もある。

11:49、遠くにデカい手が見えた。
いったい何のための手なんだろうか。。。ちょっと怖い。

11:52、子ノ権現に到着。
せっかくなのでお参り。

参道に抜けるところには、顔の大きな阿吽像。
なかなかの迫力。

昔、雷が落ちてしまった御神木。

ここで、自販機で水を補給。
さらにオレンジーナを一気飲みする。
4年前に来たときは、炭酸飲料はCCレモンしか無かったのだが、ラインナップが刷新されていた。うれしい。

さて、ここから東郷神社方面に降りるのがメジャールートのようなのだが、我々は楽して休暇村にたどり着きたかったので、西吾野駅方面へのルートをとることにした。

アスファルトの道を下り、地味な道標から登山道に入る。
ここからが、強烈なまでに地味で退屈な道となる。

延々と続く植林帯。
本当に延々と植林。

12:57、民家が見えた。
ここからは舗装路歩き。
舗装路沿いの小川もなかなかの風情。

13:14に幹線道路に出て、13:33、休暇村に到着。

露天風呂に入っていると、ポツポツと雨が降り出した。
ギリギリセーフだった模様。

こうして、滅多に行かない奥武蔵の山行は終わった。


(了)



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