このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2014年9月26日金曜日

山行記 : 2014年9月23日 高水三山 まったりリハビリ登山

先日の剱岳が、いろいろと思い悩むところが多く、かつ、身体的なダメージも大きかったため、総括の済んだところで緩い山に行くことにした。体と心のリハビリである。

目的地として選んだのは奥多摩・高水三山。いろいろな媒体に、初心者向けコースとして紹介されているなだらかな山である。
もちろん、「高水三山」という山があるわけではなく、高水山、岩茸石山、惣岳山という、いずれも標高700m台の3つの山をひとまとめにして呼ぶ際の通称である。

我が社の、登山をしたことがないという若者を連れて行く山を物色中でもあり、検討を兼ねて友人と登ってみた。


9:10、JR青梅線の軍畑駅に到着。
ざっと見て、駅前では登山者風の人々が20人程度、各々思い思いの準備をしていた。

駅前には商店が1店舗あるだけ。
寂しい駅前。

この商店の前を通り、登山口に向かう。
まずは線路沿いを北東へ。
そして、踏切を渡る。

なんだか懐かしさの漂う路地を抜け、
少し大きな通りに出る。
この合流点の、雑な道標に導かれて、
少し太めの道路の路肩を歩く。
すると、ん?!
「国立」?!

なにやら怪しげなオブジェが道路からも見えたが、なにがなんだか分からない。
僕には現代アートを理解するだけの感受性が無いのだろう。

気になる方はオフィシャルサイトをご覧いただくのが良いかと思う。
http://moao.jp/

僕には、これが国立である確信が、今でも持てない。


この美術館をやり過ごしてすぐに、この道路を外れて左折し、平溝通りという道を進む。
道の脇には細い渓流が流れている。

空は秋晴れ。

道端には彼岸花。

9:58、平溝通りから分岐して、登山口へと向かう細道が現れる。
この細道に入るとすぐに、高源寺の山門が現れる。
この裏にはトイレが設置されている。
板張りの、ちょっと小洒落たデザインだ。

天之宮神社を横目で見ながら、引き続き細いアスファルトの道を進む。

10:07、道に面した民家のガレージに、こんなものが。
これはこれは、奇特なことだ。
ありがたく、おひとついただくことにする。

表はこんな感じなのだが、
裏には、一枚一枚異なる文言が記されていた。
僕のは、「深いつもりであさいのは 知識」。
己への戒めにしたいと思う。

10:09、登山口に到着。
ここからは舗装路ではなくなる。

いきなり現れるのは砂防ダム。
そして、いきなりの階段。

10:14、高水山まで1.7kmの道標。
ここからが本格的な登山道となる。

意外と険しい箇所もある。

こうして登山道に入ると、いろいろな植物が目に入る。

この日登山道でよく目にした花。名前が分からない。

ヨウシュヤマゴボウ。
食べると死亡する毒が含まれているようで、触るだけでも皮膚に刺激作用があるとのこと。

ホトトギス。

10:35、高水山まで1.1km地点。
登山道はここから右に向かうのだが、左側にはちょっとした平地がある。

少しここで休憩。
友人と一緒のゆるゆる登山なので、のんびり進むことにする。

10:42、「六合目」の道標。

六合目と七合目の間にベンチが設置されている。
ここからは、いくばくかの展望もある。
ここでまたも小休止して、行動食を摂取する。

10:57、七合目の道標。

ここでふと、疑問が湧く。
この「○号目」は、高水山までの刻みなのか、それともその手前にある常福院までのものなのか。
山頂までの目安であれば、あまりに小刻みすぎる。うーむ。

そうこうするうちに、すぐに八合目が現れる。
やっぱり小刻みすぎないか?

11:07、分岐。
右に行くと上成木へ向かう林道。もちろん、高水山山頂を目指して左に向かう。

だんだん道が奥多摩の尾根道らしくなってくる。


11:11、九号目。

で、11:16、常福院に到着。
やっぱり常福院までの刻みだったんだな。

山門の脇には真っ赤な実が生っていた。

本堂は、神仏習合が進みすぎてて、神なのか仏なのか、よく分からない佇まい。
「賽銭」でも「浄財」でもなく「寳前」なところが余計に混乱を招く。
ちなみに、ぶら下がる太綱を揺らして鳴らすのは鈴じゃなくドラ。
祀られているのは不動尊と剣。
狛犬がいる。しかも、なぜかタレ耳。
なんかもう、習合しすぎて土着信仰も混じってないか??

一応、不動尊なのだから仏式なのだろうと考え、「二拍手」はせず、静かに参る。

そのまま、本堂の脇をすり抜け登山道へ。

本堂の裏にはトイレが設置されているが、これはどうも常福院のものではなく、東京都によるもののようだ。
ちゃんと東京都のロゴも入っている。

尾根に上がると、東屋がある。
もうここでランチにしてもいいんじゃないかというような佇まいの東屋で、後ろ髪を引かれながら山頂を目指した。

奥多摩っぽい尾根道を歩き、
11:27、高水山の山頂に到着。

山頂は広々としてベンチも設置されているが、
風情の無い電波塔が金網で仕切られた中に立っており、それに邪魔されてほぼ展望は無い。
かろうじて、金網の脇から薄らと下界が見える。

山頂から一段下がったところにもベンチがあり、
お狐さんの祠もある。

登山道はいったんそこから下がる。

11:51、鞍部にある分岐に到着。
左に行くと、岩茸石山の山頂を巻いて惣岳山方面へ向かう道。
真正面は岩茸石山のピークへの急登だ。
木の根と岩で、なかなか厳つい風情だ。
この木の根地帯を抜けると、急に展望が開ける。
このなだらかな斜面の向こうが頂上だ。

12:01、岩茸石山の山頂に到着。本日の最高到達点だ。

棒ノ嶺方面。

川苔山方面。
なかなかの展望だ。

ここでランチにする。
今回は、魚肉ソーセージとエリンギとピーマンを炒めてみた。
味付けはマジックソルト。便利な調味料である。
スープは、レトルトのフカヒレスープ。
やはり汁物があると満足感がぜんぜん違う。

ソロ登山の時は料理なんか絶対しないわけだが、連れがいる登山ではこういうのも楽しみのひとつとなる。
ソロと複数人では、山の楽しみ方が根本的に異なるような気がする。それは、どっちが良いとか、どっちが正しいというような次元ではなく、どちらにもそれぞれ異なる楽しみがあるということだ。

すっかりのんびりしているうちに、ちょっと体が冷えてきた。
気温は高めだったのだが、木陰で1時間も休憩していると、やはりちょっと涼しく感じる。秋を実感する。

このため、暑さを見込んで連れが持ってきてくれたアイスコーヒーは、ひと口だけ飲んで、残りは惣岳山の山頂までとっておくことにした。きっとその頃には、また体が温まっていることだろう。


さて、いよいよ出発という時に、山頂に現れたある二人連れの姿に目が釘付けになった。
若い男女のペアなのだが、女性の方が、生足で膝上丈のスカート姿なのだ。
足元を見ると、トレッキングシューズを履いているし、荷物もデイパックを背負っているので、生足での膝上スカートがより奇異に見えた。
いったいあのスカート姿で、不都合なシチュエーションはここまで無かったのだろうか。
だが、表情はニコやかで、「彼氏に騙されてこんなところに来てしまいました」感は一切読み取れない。
高尾山ならば、膝上スカートで生足なんて人もたまに見かけるが、それでも奥高尾では見たことがない。経緯が知りたくてモヤモヤするが、尋ねられるわけもない。

13:16、そんなモヤモヤも抱えながら、岩茸石山の山頂を出発。
山頂の西側からは、雲取山も見えた。

山頂直下は急斜面。
なかなかに険しい。
あのスカートでこの斜面を登ってきたのか。。。

ただ、すぐに道はなだらかになる。

多少のアップダインを繰り返しながら、
13:29、惣岳山まで1.1km地点に到着。
すこし広くなっていて、ベンチもいくつか設置されていた。

道がきれいに整備されており、かつ、なだらかで、奥高尾の縦走路を歩いているような錯覚にとらわれる。
おなじみの「関東ふれあいの道」の道標が、その錯覚を否応増しにする。

ただ、場所によっては、多少下草が生い茂っている場所もある。
こんなところ、山頂で見かけた生足膝上スカートの彼女は無理なく通れたのだろうか。スゴイな。

下草が生い茂っている場所は、花もきれい。

東側には、木々の間から、さっき歩いた高水山の稜線が見えた。

13:52、惣岳山の山頂直下の急登に差し掛かる。
岩よりも木の根がすごくて、ジャングルジムを登るような気分になる。

急登を抜けると、再びなだらかな道となる。
このギャップがすごい。

13:57、惣岳山の山頂に到着。
山頂には青渭神社の社殿が建っている。

ここで一休みして、連れが持ってきてくれたアイスコーヒーを飲む。
歩いて火照った体に染み渡る美味さだ。

一息ついたところで、冷えすぎないうちに再び歩き出す。

14:12、登山道に注連縄が渡されていた。
この結界を通り抜けられなかったらどうしようかと、中二病っぽい不安にかられるも、アンチドラマチックになんの問題もなく通過できた。
ああ、僕はなんて平凡な人間なんだろう。

この注連縄の下には、青渭ノ井戸がある。
すぐそばに説明書きがあった。
「枯渇することなし」とのことだが、山と高原地図には「冬場に涸れることあり」、同詳細コースガイドには「水が出ていないことも多い」と書かれてしまっている。
夢も希望も無い。

この青渭ノ井戸のすぐ下に分岐がある。
この分岐を直進すると、惣岳山の北に出てしまう。単に惣岳山のピークを避ける巻道なのだ。
なので、右折する。

爽やかな杉の樹林帯がつづく。
通常、奥多摩の杉林は退屈で仕方ない上に、傾斜がキツくてイヤになるのだが、この杉林は非常に気持ちの良い場所だ。

14:49、分岐が現れる。
左折すれば沢井駅。駅前には澤乃井の蔵元である小澤酒造で利き酒ができる。
真正面に進めば御嶽駅。駅前には玉川屋というおいしい蕎麦屋がある。
どっちに降りても美味いものにありつけるわけだが、今回は御嶽駅前にあるシャワールームを試してみようということで、真正面に進むことにする。

が、ここから先はあまり快適な道とは言えなかった。

まず、何度か微妙に上りがある。

道の脇がやたら掘り返されている。
イノシシか?

15:01、一帯が焼け焦げていた。
いったい何の焼け焦げ跡なのか不審に思ってキョロキョロしていたら、足元が疎かになってコケてしまった。

下山してから調べたところによると、今年に入ってこのあたりで山火事があったらしい。(※参照

15:15、不思議な構造物の横を通る。
土砂を止める役割にしては、随分と華奢な印象だ。
古タイヤが、「焼け石に水」感をより強めている。
漁船の舷側のクッションじゃないんだから、、、

15:19、竹林が現れる。
いよいよ人里が近い。

その竹林に佇む、小さな祠。

15:19、ついに舗装路に出た。

15:21、慈恩寺に至る。
寺の真っ正面には踏切。
もうすっかり下山完了である。

最後は玉川屋で締める。

ごちそうさまでした。


やはり低山の魅力はこういうのんびりマッタリした感じだよなぁと、つくづく思った1日だった。


(了)

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