僕の2014年の登山は、燕岳で始まった。
それは、とても冬の北アルプスとは思えない、穏やかな晴天の登山だった。
そして、2014年を締めくくる登山も燕岳にすることにした。
例年ならば1月2日に出発するスケジュールにするし、知人からもその日程で誘われたのだが、その日程だと仕事の都合上、予備日を一切取ることができないため、思い切って年末のうちに行くことにしたのだ。
それも、当初の計画では12月28日出発の予定だったのだが、ヤマテンの年末天気予報によると27日、28日は好天、29日以降は荒天ということだったので、急遽1日前倒しにした。
(余談だが、先日ある講演会で聞いた話によると、ヤマテンの天気予報が当たりすぎて、ヤマテンの天気予報で悪天候が報じられると、その日はその地域の山小屋に閑古鳥が鳴くそうだ。)
スケジュールとしては、
1日目(12/27) : 東京を出発。12kmの林道歩きの上で、中房温泉泊。
2日目(12/28) : 中房温泉を出発して燕山荘泊。気が向けば燕岳山頂へ。
3日目(12/29) : 燕山荘を出発して下山。帰京。
という、行程。
12月26日に仕事納めなので、準備がバタバタである。
なお、今回は友人を1名同道した。それが例年と違うところだ。
友人は、冬の北アルプスは初めてなのだが、季節を問わずこれまで一緒に何度も登山をしてきたので、大崩れすることは無いだろうと思い連れて行くことにした。が、その友人はスローペースが予想されるので、それが山行にどのような影響を与えるかは未知数だった。
とはいえ、万が一ダメでも途中で安全な場所に引き返せるのが年末年始の燕岳の魅力でもあるし、いざとなった場合の引き返す判断の早さには自信がある(逆にそれが僕の弱さでもあるのだが・・・)ので大丈夫だろう。
そう、年末年始の燕岳は、中房温泉や燕山荘のスタッフの皆様のおかげで、冬山初心者にとっても一定の安全確保がなされた状態で楽しめる山となっている。(このブログをわざわざ読んでくれるような方々にとってはもはや周知のことと思うが。)
第一に、快適な宿の存在。
ゆっくり歩いても十分に到達可能な間隔で、中房温泉、燕山荘と、快適な宿があるのは心強いことである。
もちろん、それをこの時期に営業してくれているというのは、スタッフの皆様の大変な労力によるものであることを忘れてはならない。そこに建物が有るというだけなら、こんな安心感は得られないのであるから。
第二に、しっかりと付けられたトレースの存在。
これもまた、宿の方々による賜物であるが、年末年始はしっかりとトレースが付けられている。
もちろん、夜中にドカ雪が降ってしまえばそのトレースも行方不明になることもあるが、ほとんどの場合は厳しいラッセルを強いられるようなことはない。
また、赤旗の付いた竹竿が目印として立てられているので、道迷いの心配も非常に少ない。
第三に、気象条件。
燕岳は、常に西(つまり飛騨側)から風が吹き付ける。この風が、冬になると風速20~30mになることもサラである。
が、中房温泉から登るルート(合戦尾根)では、その風も常念山脈に遮られてかなり緩やかになる。(実際、合戦尾根を登り詰めて主稜線に出ると、風の強さに驚く。)
冬道は燕山荘の裏手に出るように付けられているので、本当にキツい風に晒されるのは、山荘の裏から入口まで回り込むまでのほんの200m程度である。(燕岳山頂に行くなら、その先往復1時間ほど、その風を受け続けなければならないが。)
第四に、心配の少ない地形。
中房温泉から燕岳までは、尾根沿いを歩いて到達できるため、雪崩に遭うリスクが非常に少ない。
また、年末年始はまだ雪庇も発達していないので、「尾根だと思ったら雪庇の上だった!」という事態が発生する可能性も低い。
さらには、急峻な場所も無いため、しっかりとしたアイゼン歩行ができれば登頂可能というのも有難い。
このような諸条件が重なって、冬の北アルプスの中ではダントツにリスクが小さのだ。
とはいえ、厳冬期の北アルプスなわけだから、装備、技量、体力のいずれも十分な状態で入山しなければならないのは言うまでもない。
話が完全に横道に逸れたが、トレースは逸れないように安全登山を心がけて出発した次第だ。
(「1日目 中房温泉まで」につづく)
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