このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2015年11月8日日曜日

山行記 : 2015年10月18日 丹沢・塔ノ岳 バカ尾根ピストン

山友達なのに、一緒に山に行ったことのない人がいた。
もはや言葉上の矛盾である。

というわけで、日帰りで軽いハイキングに行こうということになった。
「軽い」とはいえ、そこはお互い山ヤである。そこそこ歯ごたえが無いとつまらない。
そこで選んだのが塔ノ岳のバカ尾根。
手軽に行けるトレーニングの山だ。

そんなわけで小田急線の渋沢駅に集合。
そこからバスで大倉へ。

大倉バス停のある秦野ビジターセンターには、ヒル対策の塩が桶で置かれていた。
こんなん、初めて見たぞ。いつから置かれてるんだ??

ともあれ、大倉を出発して、颯爽と塔ノ岳に向かう。

8:32、登山口に到着。

登山口の向かいには、今まで気にもとめたことが無かったが、シュールな人形が立っていた。
丹沢クリステル。
その対面には丹沢キャサリン。
これらの意味することは、僕には計り知れない。
世の中には、知らないほうが良いこともある。

バカ尾根は何度も来ていて、これといって目新しいこともあまり無いので、途中経過は少なめで。

8:49、観音茶屋に到着。
まだ開いていない。
バカ尾根の茶屋は、オープン時間が遅いイメージがある。

8:54、大倉高原山の家を経由する道との分岐に到着。

このあたりから、山慣れているはずの連れのペースが上がらなくなった。
体調があまり芳しくないようだ。
体調が悪い中で無理に登山をしても危険なので、休憩などしながら様子を見る。

こういうとき、体調が悪くなった側からすれば
「わざわざここまで来て、こんなところで登山を中止しては申し訳ない」
という思いから無理をしがちだ。なので、パーティメンバーは本人の「大丈夫」という自己申告を鵜呑みにしてはいけない。
とはいえ、体調の悪さの程度は本人にしか分からないので、配慮しすぎて無理に中止してしまうのもバランスを欠く判断と言えるだろう。

こういうときにできることは、体調の悪い側が中止を言い出しやすいように促したり配慮したりすることなのだろうと、僕としては思っている。正解じゃないかもしれないし、正解があるのかも分からないけれど。

今回は、少し休憩をしたことで持ち直したようで、その後は問題なく歩くことができた。

9:12、大倉高原山の家を通過。

展望はこんな程度。
雲は多めながら、視界は確保されている状態。

その後、コースタイム程度の速度で歩いて様子を見ながら、9:19、見晴茶屋に到着。

 見晴茶屋のすぐ先で、バカ尾根のバカの部分が始まる。

バカの部分を過ぎ、ほっと一息つける緩斜面の木道。

このあたりには、ミヤマクマザサを植栽したそうで。
なぜクマザサを??と思ってちょっと調べてみたら、このようなページに行き当たった。

「シカの冬の主食~ササのはなし」
http://www.wmo.co.jp/fn77.htm

ミヤマクマザサはシカの採食圧に強いのだそうな。
もちろん、植栽の理由がそれなのかは分からない。
もしかしたら、オーバーユースによって疲弊した地表を手っ取り早くなんとかするには、クマザサの地下茎が良いという判断かもしれない。

いずれにせよ、大倉尾根の登山道の疲弊っぷりは高尾山以上なので、良い方向に向かうことを祈るばかりだ。

そうこうするうちに、再びバカの部分が現れる。
延々と続く階段。粘土質がむき出しになった地表が痛々しい。

これを登りきるとすぐに、駒止茶屋。9:56に到着。

ここで、大事をとって再び休憩。

連れが、ここでおにぎりをくれた。
そのおにぎりというのが、登山で訪れた際に美味さに感動したという山口館のおにぎりを再現したものだという。
山口館オリジナルのおにぎりは、おそらくヘビーな登山向けのため、塩を多めに振ってあるそうだが、今回は丹沢の気軽な登山のため塩分を控えめにしたとのこと。
ごはんに白ゴマが混ぜ込まれていて、食感と香りのすばらしいおにぎりだった。文字通り、ご馳走様。

あまりのんびりしても汗冷えするので、休憩は10分内外で終了し、再び歩き出す。
駒止茶屋から、次の小屋である堀山の家までは、このバカ尾根にしては緩やかな道が続く。

木々の間から見える表尾根は、稜線付近に雲がかかっていた。
うーん、これだと塔ノ岳の上の方も雲がかかってるかもなぁ。。。
そうなると、バカ尾根唯一のご馳走である眺望が皆無になってしまう。ううむ。

10:26、堀山の家に到着。
ここでは休憩することなく先に進む。

頭上の雲は間近になり、重くのしかかるようだ。
せっかくの広葉樹のトンネルも、どことなく陰鬱な感じになってしまう。

この時期の定番、色付いたマムシグサの実。ちょくちょく見かけた。
東京近郊の山であれば、どこでも目にすることができる。
積極的に見たいとは思わないのだけれど。

10:37、再びバカ尾根のバカの部分が現れる。
大した斜度ではないが、長々と続く階段は見ているだけでゲンナリする。

この階段を登りきるとなだらかな地形が現れ、息を整えられる。

が、それも束の間。再びの階段地獄。
このあたりまで来るとどうやら雲の中に入ったようで、あたりがうっすら白っぽく見えるようになる。

眺望ゼロ。

嗚呼、今日は富士山を拝めないかもしれない。。。
と、気落ちしているところに追い討ちをかけるように、バカ尾根のバカ本番。

登山道沿いに咲くリンドウで気を紛らわせる。

11:07、ランドマーク的な岩(名前は無いのだろうか)を通過。

この付近にはオニアザミがやたら咲いていた。
特にその中でも元気だった固体。
花のひと房ひと房が赤ん坊の握りこぶしよりも大きいんじゃないかという勢い。

そしてこのあたりからは、花立山荘に向かう階段が始まる。
登っているうちに、青空が見え始めた。
これは! 眺望が確保できるかも! しれない!

11:14、花立山荘に到着。
まだまだ予断を許さない雲の動き。

このあたりまで来ると、連れの調子がかなり回復し、どんどん先を急げるようになった。
というわけで、花立山荘もスルー。

標高を上げるとどんどん頭上に丹沢ブルーが広がってきた。

足元のノギクも陽光をいっぱいに浴びて白浮きするので、ピントがうまく合わない。

リンドウも群生中。

11:23、ついに富士山がちょっとだけ顔を出し始めた。
|ω・`)チラ

という感じか。

丹沢主稜も見えた。

塔ノ岳の山頂も見えてきた。
こりゃ完全に、山頂の視界はクリアだ。
足取りが軽くなる。

鍋割への稜線の紅葉も、だいぶ進んでいた。

11:29、金冷シの分岐に到着。
 ここまで来れば、山頂まではあと一息だ。

眼下の斜面も色付いた木々が多い。

もちろん、こちらの登山道沿いも、紅葉が進んでいる。


11:42、山頂直下の階段に取り付く。

11:44、塔ノ岳山頂に到着。

山頂の北側には雲海が広がっていた。
この時期ならではの、たまに見られる丹沢雲海。

南には富士山。

だが、そんなことはさておき、久しぶりの塔ノ岳なので尊仏山荘の猫の安否を確認にいく。

山荘に入って、居そうなところに目を走らせる。

いた!
暖かい日の定位置に陣取り、たそがれていた。
もう16歳なのだそう。
心なしか、体も小さくなったような。
せっかくなので、あと10年ぐらい生きて猫又になってほしいものだ。

安心してそのまま山荘を出て、外で昼飯を食べる。

日差しは暖かいが、やはり山頂の気温は低い。
次第に体温を持っていかれる。

というわけで、あまり長居し過ぎず、12:26に下山開始。

体が冷えてしまったので、やや筋肉がこわばっている。
それをほぐすようにしながらリズムよく下る。

連れがトレランに興味があるということで、トレランについての基礎講座を行いながらの下山となった。
歩くことと走ることの違いや、トレラン時のマナーなどについて話しながらトントンと下りる。

すると、さっきまで冷えてこわばっていた体もだんだん熱くなってきて、花立山荘では季節はずれのカキ氷を注文してしまった。
ただ、食べるとすぐに体が冷えた。
今日は下山後しっかり温泉につからないと、坐骨神経に影響が出そうだ。

花立山荘から下る階段に差し掛かると、風景は真っ白。
やはり同じ場所に雲は居座っていた。
だからこそ雲海も見れたのだが。

13:22、堀山の家を通過。

連れは、トレランの話をしながらの下山に興が乗ったようで、堀山の家の先にある緩斜面を、登山靴で走り始めた。
ドタドタドタ。
体調が完全に回復したようで安心した。

13:55、見晴茶屋を走って通過。ドタドタドタ。

14:07、観音茶屋を通過。
いままで気にしたことがなかったが、連れが言うには、この看板に出ている「牛乳プリン」がここの名物なのだそうな。
そう言われると気になるのだが、下界がすぐそこだと思うと、どうも足が止まらない。

14:20、登山口に到着。

大倉バス停からはタクシーに乗って日帰り温泉へと移動。

こうしてバカ尾根ピストンが終わった。
今回はチャンプに会えなかったなぁ。


(完)


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