このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2016年1月24日日曜日

山行記 : 2015年10月25日 丹沢・ユーシンから塔ノ岳

うちの会社の若手がまた1人、山にハマった。(そのときの山行はこちら

今回はその若手Aと、2年半前から一緒に山に行っている若手Bとの3人で奥多摩小屋テント泊山行の予定だったのだが、いろいろあって1日しか山行に当てられなくなり、日帰りでの計画に切り替えることになった。
だからといって、単純に雲取山往復なんてやっても面白くもない。

いろいろ検討した結果、丹沢湖からユーシンを経由して塔ノ岳に登り、大倉尾根を下山するのが面白いのではないかと。
地図上の距離で約21km。そこそこの距離だ。
テント泊1回分の代替として納得感のある距離感である。


といあわけで、朝8時すぎに丹沢湖畔の玄倉バス停に到着。

登山届けを出して、8:20、出発。

まずは川を渡る。

丹沢湖が美しい。
若手Aがしきりに
「スイスみたいや!」
と言っていたが、本当にスイスってこんなんなのだろうか。
一応確認すると、「実際行ったとき、こんな感じでしたよ」とのこと。
ふーん、スイスってもっと峻険なのかと思ってた。

玄倉川に沿って、アスファルトの道を歩く。

8:29、玄倉第一発電所を通過。

そのすぐ先に、一つ目の砂防ダム。

いよいよ舗装が劣悪になってきた。

道の下には、工事車両が停まっていたり。

8:45、植林帯に突入。
が、それもすぐ終わる。

8:48、西丹沢県民の森への分岐が現れる。
ユーシンへは右の道を進む。

左に進んだ場合、川を渡るらしい。
川にかかる橋は、工事中なのか、まるで更衣室のロッカーのようなものがズラっと並んでいた。

9:00、車止めのゲートに到着。

ゲートを通過してすぐは、針葉樹の存在感が大きかったが
すぐに、道の山側、谷側問わず、針葉樹が生えようのない崖になる。
9:05、そのような地形ならではの構造物である洞門が現れる。

来るまでは、このあたりはきっと退屈な林道歩きなのだろうと思っていただ、意外と見晴らしもよく、思ったよりは快適に歩けた。
路面が固いのは不快だが、それも登山靴ではなくトレランシューズを履いているので、かなり軽減されている。

9:17、境隧道が現れる。
この隧道はそれほど長くないのだが、やはり中は暗い。
隧道を抜けて外の光を浴びると、一段と気持ちが晴れやかになる。

9:27、新青崩隧道が現れる。
このまま隧道に入ればいいのだが、隧道を巻くように谷側に付けられた道が気になって、そちらの様子を見に行く。
その道は、あまり歩かれている気配は無いが、問題なく歩けるレベルのものではあった。
 回り込むと、すぐに隧道が現れる。
が、入り口は封鎖され「立入禁止」の文字が。
諦めて引き返し、新青崩隧道に入る。

新青崩隧道は、けっこう長い。
しかも、途中で湾曲しているので、入り口も出口も見えない、漆黒の空間を歩かなければならない。
ヘッドライト無しで歩くのは危険だ。たまに水溜りもあるし。
連れの2人は、漆黒の闇が珍しいらしく、テンションが上がりまくった挙句、僕がヘッドライトの明かりを灯けて歩いてたら、
「ちょっと消してください! 試しに消してみてください!」
と懇願する。
消すと、「ひゃっほー!」と奇声を上げる。
どうやら僕は、ある種の後輩には恵まれる性分らしい。

そんな隧道も、終わりはすぐにやってくる。
出口側は洞門になっていて、コンクリートの柱の間から見える山々が美しい。

洞門を抜けて振り返ると、この隧道が大きな岩崖をくり抜いて付けられているのがよく分かる。

9:39、石崩隧道に到着。
この中は、手掘り感満載だ。
きっと、人間の大腸を内側から見たらこんな感じなのだろう。

この隧道を抜けると、玄倉川が一気に渓流感を増す。

山側には、小さな滝ができていた。

目の前には、相変わらず林道が続く。
その目と鼻の先にはダム。
水はあくまで丹沢ブルー。
吸い込まれそうだ。

このすぐ先で、川の対岸に大きな滝があったのだが、木々の阻まれて写真にはうまく収められず。
無念。

このあたりから山側の斜面に、秋の草花がふんだんに見られるようになってきた。
ダイモンジソウ。
リンドウもちらほら咲いていたが、もっと先に行ったところのほうが、群生していてすばらしかった。

9:58、山側に、またもや小さな滝状の沢。

沢とほぼ同じ高さまで、林道が降りている。

いくつかの隧道を抜け、
手掘り後に岩肌をコンクリートで固めることすらしていない隧道も抜け、
その向こうには、イワシャジンや、ノギクが群生していた。


10:25、第八隧道に到着。
この第八隧道のそばから、山神峠に続く道があるのだが、そこは崩落のため通行できる状態ではないようだ。
きっと、もう直す気もないのだろう。

10:30、雨山橋に到着。
この橋のすぐ先から雨山峠に続く登山道が延びている。
我々はこちらには向かわず、ユーシンに向かう。

だんだん山深くなってきた。

10:42、下の方に橋が見えた。
 もしや、ユーシンロッジに向かう橋か?と思いつつ道を進むと、分岐が現れた。
左折すると橋の方に下りる。
ここまで来てユーシンロッジを見学せずに素通りするのはいかにも残念なので、橋を渡ることにする。

橋の上からは、気持ちの良さそうな川原が見えた。
あまりにも気持ち良さそうなので、ユーシンロッジを見学したらここに戻ってきて、少し早い昼飯にすることにした。

まずは、先にユーシンロッジへ向かう。

10:47、ユーシンロッジに到着。
ユーシンロッジはしばらく前から休業中で閉鎖されているが、一部は避難小屋として開放されているらしい。
敷地もちゃんと管理されているようで、荒れた感じはしない。
実際、神奈川県としてもユーシンロッジの利活用に関しては課題感があるようで、提案を募集しているようだ。

ロッジの見学(といっても外からウロウロ眺めただけだが)を終え、川原に戻ってランチを食べる。
川原では日向に陣取ったが、モタモタしていたら太陽が移動して日陰になってしまった。日陰に入ると急に冷えてくる。そろそろ出発の潮時だ。

11:19、分岐に戻る。

ここから、ゲートをすり抜けて塔ノ岳へのルートをたどる。

相変わらずの林道歩き。

ところどころで間近に渓流を望めたり。
丹沢の空をバックに色付く葉を眺めたり。

11:43、岩をくり抜いた隧道を通過。
なかなか荒々しい。

隧道の向こうには、丹沢の主稜が見えた。

11:51、熊木沢出合に到着。
分岐を左に向かえば棚沢ノ頭に出るが、我々は右の道を塔ノ岳方面に向かう。

分岐の先は、引き続き林道ではあるものの、車が通れるような場所ではなくなる。

ところどころで土砂が道を塞ぎ、その上を乗り越えていかなければならないのだ。

11:57、2箇所目の土砂崩れ箇所。
この土砂崩れ箇所を越えるときに、往きの小田急線の車内で隣に座っていたオジサンとすれ違う。
聞けば、我々とは逆ルートで歩いているらしい。
そうか、もう塔ノ岳を越えてきたのか。。。
自分たちののろのろ山行に改めて気付かされ、ちょっと焦る。

この道をしばらく歩くと、左手には広い川原が見えてくる。
道は、この川原へと続いていく。

12:15、「川を渡って対岸へ」という道標が現れる。
ここが「尊仏ノ土平」か。

川原は広く、向こう岸の登山道の続きがどこにあるのか、パッと見ではよく分からない。

探り探り歩いていると、投げやりな道標を発見。

おかげで問題なく道を発見できた。

ここからがいよいよ顕著な上りとなる。

崩れかけた階段状の道と、
木の根っこの組み合わせ。

そして、たまに現れるなだらかな場所。

13:09、塔ノ岳の頂上が見えてきた。

標高を上げるごとに、樹林が落葉していて見晴らしが良くなってくる。

見事に色付いた葉も。

13:19、振り返ると富士山が見えた。

もう少し先では、丹沢山もよく見える。

13:31、ここに来ての急な階段状の道。
そして、追い討ちをけかるリアル階段。

13:36、見晴らしの良いベンチが現れるが、絶妙な位置に立ち木があって富士山にかぶっている。

ここには、水場がある。称して「不動の清水」。
いわくありげな石碑も立っている。

この水場から、またさらに階段を上がる。

この階段から見る富士山は、山頂で見るそれよりもスカッと見晴らしが良い印象だ。
鍋割山もよく見える。

丹沢山、蛭ヶ岳から連なる主稜の山々。

そして、いよいよ山頂が見えてきた。
ここから見る富士山は、何も遮るもののない完璧な富士山だ。

13:49、塔ノ岳の山頂に到着。

鍋割山と、その向こうの富士。

山頂の石碑には、水場の石碑と同じ文字が刻まれている。
連れの若手Aは学生の頃にサンスクリット語を習ったそうだが、一番上の梵字は読めず。無念。

さて、せっかく塔ノ岳まで来たからには、みゃーの姿を見て帰ろう。
尊仏山荘に入って甘酒を注文し、みゃーの姿を探すが見当たらず。先週は会えたんだがなぁ。

甘酒を飲むと、若手Aが
「あれ、甘酒ってこんなに美味しかったっけ?!」
と言い出す。
神社の縁日なんかで出される甘酒よりは間違いなく美味いだろうが、そこまで驚くほどの違いが感じられたのは、山だからだろう。
きっとこの若手Aは、近いうち、下界と山とでの味覚の違いに頓悟する日が来るのだろう。


さて、甘酒も飲んで人心地ついた我々は、下山の途につく。
14:27、大倉尾根を下り始めた。

せっかくなので、下りはできるだけ走る。

14:36、金冷シ通過。

14:46、花立山荘通過。

15:05、堀山の家通過。

15:14、駒止茶屋通過。

15:27、見晴茶屋通過。
このあたりで、山の経験の浅い若手Aの膝が笑い出した。
このため、走るのはやめ、のんびり歩く。

15:38、観音茶屋通過。

15:52、登山口到着。

15:59、大倉バス停に到着。

こうして、丹沢21kmの山行が終わった。


(了)


0 件のコメント:

コメントを投稿