このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2014年4月8日火曜日

山行記 : 2014年4月6日 西丹沢・畦ヶ丸 水量豊富な沢と降雪

西丹沢の畦ヶ丸。
地味な山で、その名を知らずに聞いたら、そもそも山の名前だなんて思わないに違いない。
それでも、やっぱり気になる愛すべき山だ。

そんなわけで、小田急線の新宿発6:01の電車に乗って新松田へ。
ここで連れと合流。
そこからバスに延々と揺られて、西丹沢自然教室に着いたのは8:40頃だった。

いつも思うのだが、ここまでで既にちょっとした旅である。
新幹線なら、品川を出て京都に着いてしまうほどの時間だ。

さて、いつものように西丹沢自然教室で登山届を出し、身支度を整える。
西丹沢自然教室のホワイトボードには、入山するにあたっての注意事項や登山道の状況などの情報がびっしりと書き込まれていて、非常にありがたい。
ホワイトボードに、朝8時時点の気温が4℃と書かれていた。
山の中とは言え、標高はたかだか500mちょっとである。この日は気温が低めだった。

家を出る前にチェックした天気予報でも午後は荒天の予報だったが、やはりこのホワイトボードにも「昼過ぎ一時雨 所により(中略)雷」とのことで、凹む。
稜線で雷に遭うのだけは避けなければいけない。
なんとか早いうちに下山しなければ。

8:51、出発。
吊り橋から見る北の空は、抜けるような青空だった。
空気はヒンヤリとして、むしろ気持ちが良い。

吊り橋を渡ると、さっそくミツマタの花が出迎えてくれる。
蜜なのか、花全体がヌラヌラとしていて、触れるとベトつきそう。

9:01、1つ目の砂防ダムに到着。
体が温まる前の急階段に、さっそく心臓を破られる。

砂防ダムを越えると、広い川原に出る。

川原にはギブシが咲いていた。

さっそく一つ目の橋。
ここで、去年の11月に来た時には無かった状況が出来する。
なんと、橋が渡されていない場所にも沢の流れが発生していて、渡渉しなければならない。
トレランシューズで来てしまったので、渡渉は厄介なのだ。

なんとか無事渡り終えて、来し方を撮影。
やはり雪解けのシーズンだけあって、水量が豊富なようだ。

9:08、2つ目の砂防ダムに到着。

ここから先は、仮設の橋が次々に現れる。

次第に、北向きの斜面の谷筋には、残雪が目につくようになる。
この時期にこんなにまだ雪が残っているとは!

9:18、3つ目の砂防ダムに到着。

この砂防ダムを乗っ越したところで、2匹のヒキガエルに出会った。(※ヒキガエルの画像注意)


(↑お好きな方は、クリックで拡大)

動きが鈍いところをみると、せっかく冬眠から醒めたのに、この日の寒さで体が動かないのかもしれない。
べつにヒキガエルが好きなわけではないが、やはり山で生き物の姿をみると嬉しいものだ。

引き続き、沢沿いの道を歩く。

沢の流れは、ちょっとした段差でも勢いのある滝のようで、見ていて清々しい。


9:36、最後の砂防ダムに到着。

乗っ越すと、そこには分厚い残雪が。

9:38、ベンチに到着。
ここからはしばらく、沢の右岸を歩く。

9:41、下棚への分岐が現れる。
ここから下棚までは登山道があるわけではなく、うっすらとした踏み跡を頼りに、沢沿いを歩く。

雪解け間もないということもあり、前回来た時には無かった倒木などに行く手を阻まれつつ前進する。

9:47、下棚に到着。
やはり前回よりも水量は豊富だ。

この滝壺近くにも分厚い残雪があった。
本来ならのんびりしたいところだが、天気が崩れる前に下山したいため、早々に下棚を後にした。

9:53、登山道に戻る。

ここから先は、まさしく渓流らしい渓流が続く。

途中、橋が1箇所中折れして水に浸かっていた。
雪の重さで折れてしまったのだろうか。
とはいえ、渡るだけなら問題なく、向こう岸に無事だどり着けた。

10:06、本棚への分岐に到着。

この分岐には雪渓があり、ぽっかりと口を開けた残雪の中へと渓流が吸い込まれていた。

本棚に向かう分岐の入口には大岩があり、雪解け水を全身に滴らせていた。
ここまでの道中全てに言えることだが、このような景色の一つ一つに春の息吹を色濃く感じた。
これほどの春の息吹は、やはり街中にいたら感じることができない。
雪解け水のめぐみと日差しの暖かさ、それらに生かされる動植物。命の鼓動を感じると言ったら大袈裟だろうか。

本棚へのルートは、下棚以上に荒れていた。
去年の11月に歩いた場所が崩落していたり、倒木が幾重にもなっていたり。

しかも、水量が多いので、渡渉するにも前回足を乗せた場所は水没している始末。
改めて足の置き場を探しながら本棚に近づく。

すると、本棚の向かいの岩壁に滝ができているではないか。
これだけでも、去年11月に見た下棚ぐらいの水量があるぞ。

一方、本チャンの本棚はというと、
ド迫力。
しぶきが辺り一面に飛び散り、滝全体が白く見える。

しばらく眺めていたかったが、やはり天気の崩れが心配なので、先を急いだ。

10:28、登山道に戻り、畦ヶ丸への道をたどる。

10:31、最後の砂防ダムを通過。

その先すぐのところで、登山道が設計に覆われている箇所があった。
まさかこの時期の西丹沢の、しかもこんな標高の低い場所で雪渓歩きをすることになろうとは。
今年の雪の多さを切に実感した。

ぽっかりと口を開けた渓の流れのすぐ脇を、ドキドキしながら歩く。
どうか踏み抜きませんように。。。
こんな小さな雪渓を踏み抜いたところで命に別状は無いだろうけれど、濡れたり、捻挫したりしたら不愉快だ。

幸い、何事もなく雪渓を通過した。距離にして50m程度ではなかったかと思う。

そのすぐ先にも大きな雪渓があったが、登山道から逸れていたので歩かずに済んだ。

ここからは、沢筋をいったん外れて、支尾根に向かって登る。

途中で本棚の滝の源頭が木々の隙間からうっすら見えるのだが、写真に撮っても再現性は無し。

10:51、支尾根の上に出る。
ここは一瞬なだらかになっていて、広場のようになっている。
テーブル型のベンチも2台設置されていた。

この先は気持ちの良い尾根道がしばらく続く。
尾根道に覆いかぶさるようにアセビが咲いていて、まるでアセビのトンネルのようだ。

その後登山道は、いったん谷筋に降りて、再び登り返す。

狭い尾根道を木が塞いでいて、しかもその木に目印のテープが貼ってあったり、
そのすぐ先には階段があったり。
前日の夜に降ったと思われる雪(!)がうっすらと残っていたり。

11:23、善六ノタワを通過。

ここからは、畦ヶ丸の姿を捉えることができた。

少し歩くと、木々の間から檜洞丸が見えたり。
まだまだあちらは残雪が多い様子だ。

こちらも、登山道沿いに幾ばくかの雪が目につくようになってくる。

この頃から、次第に空を雲が覆う。
雲の様子からすると、雷を伴うようなものではなさそうだが、だんだん雪がチラつき始めた。

雪?!

西丹沢の低山で、4月に降雪とは。
なんだか今年は変な気候である。

ただ、雲の様子からすると、今すぐ雷が鳴るようなこともなさそうだ。
その点だけはいったん安心しつつ先を急いだ。

11:27、ベンチのある小ピークに到着。
小雪舞い散る稜線上で、白人男性がTシャツ1枚で休憩していた。
僕とはおそらく体感温度が違うのだろう。。。

その小ピークを越えると、今度は長い階段が現れる。
地形図を見ても分かるとおり、この稜線は地味なアップダウンが繰り返される。

この階段を登りきると、
その向こうにはピークが見えた。
一瞬、「あれ?! もう山頂?」と思ったが、こんなに近いわけがない。
左前方に目を移すと、ちゃんと畦ヶ丸の山頂が見えた。無念。

ちなみにこのピーク(1148ピーク)のてっぺんはこんな感じ。
なんもない。

このピークの向こうは、再びヤセ尾根。
行く手には、まごう事なき畦ヶ丸の姿が見える。

いつになくバテ始めている連れに、「高尾でいえば小仏峠から城山ぐらいのもんだから、あと少しだ」と声をかけるも、心が折れかかっている様子に変わりはない。
それでも、別に体調が悪いわけでもなさそうなので前進する。

ここに来て、さらに階段による登り。
もちろんこれは、畦ヶ丸の手前の小ピークだ。
なかなかしぶとい階段である。

いったんこの階段を登り終えると、その先のわずかな平坦部の先でまた階段になる。
これが最後の登りだ。

12:09、山頂の標識かと思えば、避難小屋まで200mの道標だった。
なんだこりゃこりゃ!!

ここからさらに100mほど進む。

12:11、やっと畦ヶ丸の山頂に到着。

いくつもの小ピークや偽ピークに苦しめられてヒネクレてしまった連れが、「本当にこれは山頂なのか。またニセじゃないのか」と疑るので、標識を確認。
間違いなく山頂だ。

が、山頂の喜びもそこそこに、昼ごはんを食べるために避難小屋に急ぐ。
暖かければ山頂でごはんを食べたいところだが、小雪舞い散る寒風の吹きさらしでは、ランチどころか小休止もままならない。

避難小屋へは、山頂の反対側に100mほど降りる。

12:14、見えた!避難小屋。

早速入る。

中には先客が3名いて、相部屋(?)となる。

土間の真ん中には薪ストーブ。
大変良く手入れと掃除の行き届いた、清潔な小屋だった。

ここで、持ち寄ったレトルトスープとバケット、ソーセージのランチを摂る。
デザートは、最近ハマっているデコポン。糖度14度のすごいやつだ。

そうこうするうちに13時近くになってしまう。
窓から外を見ると見事なガスっぷり。
早く下山しないと天気が悪化してしまう。

慌てて荷造りをして出発した。

再びの畦ヶ丸山頂。
前出の写真と比べても、ガスっぷりが分かるだろう。

ここから先は、稜線から降りるまでひたすら黙々と先を急いだ。
さっきバテていた連れも元気に歩いている。どうやら単なるシャリバテだったようだ。

稜線にいる間は、寒風が頬をチクチクと刺すように冷たかったが、稜線から下りるとそれも和らいで快適になった。

本棚との分岐に到着したのは14:09。
ここまで来れば、多少天気が荒れても落ち着いて対処できる。
一安心だ。

心が落ち着くと、往路では目に入らなかったものに気付くもので。
ヤマザクラが可憐な花を咲かせていたり。

また、4つ目の砂防ダムの下の水たまりには、大量のヒキガエルが集っていたり。
春だなぁ。

どうやら天気も大崩れすることなく、無事に西丹沢自然教室にたどり着けそうだ。

15:01、吊り橋。

15:03、西丹沢自然教室に到着。

薪ストーブで温まりながら下界の様子をスマホでチェックすると、なんと東京は激しい雷雨だそうで。
西丹沢のこの静けさからは想像がつかない。
なんとなく勝った気がした。


さて、余談ではあるが、帰りに中川温泉に立ち寄った際にバス停で見つけた掲示。
けっこう逼迫しているのだなと、切実に伝わってきた。
この路線が廃線になると、ペーパードライバーの僕にはこの山域へのアプローチ手段がなくなってしまう。
いろいろ事情もあると思うが、ぜひとも生かし続けて欲しいところだ。


こうして畦ヶ丸山行は終わった。


(参考)
今回のルート↓。




















(完)



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