(この記事は「計画概要」編からの続きです。)
朝7時ちょうどに新宿を出発するスーパーあずさに乗って、茅野駅で下車。
美濃戸口行きのバスで登山口へ。
登山口にある八ヶ岳山荘には風呂がある。
ここに下山する人は、ここで風呂に入って、新宿行きの高速バスに乗って帰るというパターンが多いようだ。
八ヶ岳山荘前で準備をして、10:33、いざ出発。
まずは、一般の自動車が乗り入れ可能な林道をダラダラと歩く。
砂利道なので、決して歩き安くはないし、楽しくもない。
10分ほど歩くと橋が現れ、渓流を臨むことができる。
この橋は手すりも何もないので、車で渡るのは怖そう。
10:53、分岐が現れる。
見たところ、向かって左はこれまで歩いてきた自動車の通行可能な道、右はややワイルドな道。
結局この先で合流しそうな気はするが、いったん左の道を進んでみる。
10分後、やはり道は合流した。
その先には、なぜか道から少し離れたところに石碑が立っている。
なんの石碑かは確かめなかったし、いろんな意味で怖いので確かめる気にもならなかった。
11:20、やまのこ村が見えてきた。
「村」といっても、単に山小屋の名前だ。
正面に回ると、730円の塩焼きに使われるイワナが水槽で泳いでいた。
やまのこ村の斜め向いにはもう1軒の山小屋がある。
それが赤岳山荘だ。
自家用車でここまで乗り入れた人達は、このあたりの駐車場に車を置いて奥に進むことになる。
この先に自家用車で入れるのは、この少し先にある美濃戸山荘の宿泊客だけだ。
この2軒の山小屋の先にある橋に、まさにその旨の立て看板が設置されていた。
なんとなく、一休さんの寓話「このはし渡るべからず」を思い出すのだが、実際にここでトンチを働かせたところで、褒美が貰えるどころか、怒られるのがオチだろう。
そういえば僕は子供の頃、「屁理屈を言うな」という怒られ方をすることが多かった。関係ないけど。
11:32、その美濃戸山荘に到着。
ここで軽く昼飯にする。
連れも僕も、持参したおにぎりを食べたのだが、それのおかずにと、連れはモツ煮込みを、僕は山菜そばを注文した。なかなか美味しい。
店先には、流水で冷やされた飲み物やりんごが売られていた。
りんごは1個100円。東京の感覚からすると安い。
12:05、再び歩き始めた。
美濃戸山荘から道は分岐している。
向かって左の道は、赤岳鉱泉に続く北沢沿いの道。
向かって右の道は、行者小屋に続く南沢沿いの道。
今回の山行の目的は、冬に向けて、赤岳鉱泉への道を確認しておくことなので、当然北沢に向かう。
次第に道の両脇は緑が濃くなり、空気が次第に山っぽくなってくる。
が、まだまだここは林道。道は単なる砂利道だ。
だらだら歩いていると、道の脇に小さな祠が建てられていた。
双子のような2本の樹木の根元に建っているところからすると、それにまつわる祠なんだろうな、ということだけは理解できる。
あるいは、双子ではなく夫婦かもしれないが。
このあたりは下生えにも日差しが届くので、道端には草花も豊富だ。とはいえ、もう花の季節はほぼ終わっており、咲いているのはトリカブトばかり。だが、秋ならではのいろいろな赤い実が目を楽しませてくれる。
これは、ウラシマソウか?
この実はなんだ??
このほかにも、ナナカマドは実ばかりでなく葉も赤くなっていた。
次第に道は沢沿いを通るようになる。
抜けるような青空と沢のせせらぎ。
とても台風が迫っているとは思えないような好天だが、明日には台風が列島を直撃するのはほぼ確実。
台風が来る前に下山しなくてはならないが、それまではこの好天を満喫しよう。
13:07、人工の小さなダムに行き着く。
この手前には駐車場があり、なんらかの許可を得た車だけがここまで入ってこれるということのようだ。
だが、ここから先は、物理的にも自動車の入れる余地は無い。
ダム手前の橋を渡りと、道が分岐している。
向かって左は沢沿いを通る通常のルート。一方、右は、沢が増水した場合の山側への迂回路のようだ。
もちろん、本日はお日柄も良いので沢沿いのルートを歩く。
ここからは、何度も沢を渡りながら、上流へ向かって詰めていく。
なんだか、奥多摩の川苔岳へのルートを思い出させるような風景だ。
こんな木道もあったり。
次第に八ヶ岳の主稜が見えてきた。
左手には、峰の松目の手前にある崖。
少しずつ紅葉が始まっているようだ。
沢は、水は透明なのだが、なぜか川床が赤い。
水に含まれる鉄分が多いのだろうか。
行く手に見える八ヶ岳主稜がよりはっきり見えるようになってきた。
大同心、小同心が見える。
なかなかカッコイイ岩峰だ。
高度を上げてもなだらかなのは、沢筋の地形の特徴。
ここまでくると、峰の松根手前の崖の全容が確認できる。
なかなかイカツイ地形だ。
14:24、赤岳鉱泉に到着。
横岳の岩肌をバックに建っている、我々の今夜の宿だ。
向きを変えると赤岳も見える。
いったんチェックインをする。
時間がまだ早いので、荷物を置いたらすぐに空身で中山展望台まで向かう。
中山展望台は、赤岳鉱泉と行者小屋の間にある小ピークだ。「展望台」というぐらいだから、きっと展望が良いのだろう。それを期待して向かうことにした。
でも、先月赤岳や横岳のほうから見たときに、そんなピークあったっけかなぁ??
まずは、水の流れでエグれてしまっている登山道を進む。
道端で見つけたカニコウモリの葉っぱ。
葉っぱの形がカニっぽくてコウモリっぽいからカニコウモリというそうな。そのまんまかい。
しばらく行くと、荒れた沢筋をはなれて尾根に向かう。
尾根に登る道は金属製の土留で整地されているのだが、その金属板にはマムートのエンブレムが付けられていた。
マムートが寄贈したってことか?
登山道からは大同心がよく見えた。
15:20、中山展望台への分岐に到着。
展望台手前の斜面からは硫黄岳が見える。
大同心、小同心。
15:25、中山展望台に到着。
正直全く期待してなかったのだが、なんとも素晴らしい展望が得られた。
赤岳。
横岳。
阿弥陀岳。
硫黄岳。
素晴らしい展望。見飽きない。
それにしても、赤岳の北の地蔵の頭から行者小屋に降りるルートは、こうして見るとなんとも恐ろしい姿をしている。
どう見ても崖にしか見えないわけで。
実は明日9月30日は、天気が良ければ硫黄岳から横岳を経由して、地蔵の頭から行者小屋に降り、南沢を下って美濃戸に下山しようと考えていた。
が、目下日本列島を縦断中の台風17号の到着が僕の読みよりも少しでも早ければ、雨が降る中、あの崖を降りなければならなくなる。それだけはゴメンだ。
というわけで、翌日の行動予定を硫黄岳ピストンに変更することにした。
台風が迫っているなかで登山をするだけでも十分にリスキーなのに、これ以上のリスクはおかせない。そう、僕は常にディフェンシブに行動するのだ。
そんなわけで、眺めを十分に堪能して、赤岳鉱泉に引き返した。
(「【1日目その2】 赤岳鉱泉の夜」編につづく)
赤い実がついた小さいのは、ゴゼンタチバナです。
返信削除おお、ナイス!
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