奥秩父・奥多摩縦走路。
金峰山の西、瑞牆山荘から、県境を越えて東京都・奥多摩駅に至る約60kmのトレイル。
今年のゴールデンウィークに、僕はこの奥秩父・奥多摩縦走路に挑戦して、見事に敗退している。雪のコンディションや天候の問題などがあったにしろ、これは非常に心残りであり、口惜しい限りであった。
それ以来僕のなかでは、そのルートに対するリベンジの念が心にオリのように沈殿していて、このルートを一度歩ききっておかないと次に進めないような気持ちでいた。
そもそもこのルートを歩こうと思ったのは、ロングトレッキングに対する憧れからだ。
アパラチアントレイルのようなひたすら長いトレイルを、それこそ何ヶ月もかかってひたすら歩く。
勤め人の身では叶わぬ夢であるが、そんなロングトレイルの雰囲気だけでも味わえればと思っての挑戦だった。
それが惨敗に終わったことにより、己の限界点が想像のはるか下にあったことが分かってしまい、忸怩たる思いをさせられたのがゴールデンウィークの山行であった。
ゴールデンウィークには腐った雪と荒天により撤退を決断したので、今回は難易度を下げて10月の最も気候が安定してそうな時期を狙ってわざわざ有給休暇を取って、5泊6日の日程で行くことにした。
で、そんな計画を練っているところに、僕が下山予定日としていた日から1泊2日で武蔵五日市の民宿で仲間が大勢集まって宴会をすることになり、当初の下山予定地であった奥多摩駅からさらに一足伸ばして、その宿に下山することにした。
ただ、日程的に厳しいようなら、奥多摩駅をゴールにするつもりだ。
具体的な行程の予定は以下のとおり。
【1日目】
東京発→瑞牆山荘→金峰山→大弛小屋テント場(瑞牆山には立ち寄らず)
【2日目】
大弛小屋→国師ヶ岳→甲武信ヶ岳→破風山→雁坂峠→雁坂小屋テント場
【3日目】
雁坂小屋→水晶山→古礼山→雁峠→笠取山→唐松尾山→将監小屋テント場
【4日目】
将監小屋→飛龍山→雲取山→奥多摩小屋or雲取山荘 テント場(食料と水の残り具合により決定)
【5日目】
奥多摩小屋or雲取山荘→石尾根→奥多摩駅→氷川キャンプ場
【6日目】
氷川キャンプ場→鋸山→大岳山→宴会会場
キツイのは1日目と2日目である。
1日目は7:00発のスーパーあずさで新宿を出発するので、瑞牆山荘からの歩き出しは10:00を過ぎてしまう。そこからコースタイムで約7時間の行程を経て大弛小屋に至るので、下手をすれば到着が日没に間に合わないかもしれない。
道は迷いようの無い一本道なので暗くなっても遭難の心配は無いし、こういう時のために100ルーメンのヘッドライトを購入したわけだが、到着後に暗い中で幕営準備をするのはあまり気乗りするものではない。
2日目は、単純にコースタイムが10時間以上に及ぶので、僕のテント泊縦走の重装備で果たして歩ききれるものであるか自信が無かった。
実は今回も荷物が非常に重く、出発時に25~26kg程度の重さがあった。9月の八ヶ岳全山縦走は荷物の重量が17~18kg程度で済んでいたので10時間歩けたが、果たしてこの荷物でそんな長時間、コースタイムどおりに歩けるものなのだろうか、、、
もちろん、ダメそうなら雁坂小屋まで行かず、甲武信小屋のテント場で幕営するつもりでいた。その場合には最終日の鋸山や大岳山の行程を省略して、奥多摩駅から電車で武蔵五日市に移動することになる。
国師ヶ岳と雲取山の間は、僕にとって未知の空間なので、頭で考えるほどに上手く事が運ぶかも分からない。だからこそアドレナリンが出るわけだが。
装備は、ゴールデンウィークの際の装備からアイゼン、ピッケル、冬用のジャケット、ロングスパッツを除いただけで、あとは何も変わらない。(だから荷物も重い)
当然テントもシュラフも詰め込んでいる。
久しぶりの出番となったオスプレイのイーサー85は、例によってパンパンになってしまった。
これを担いで6日間歩くのかと思うと、気持ちも重くなる。
正直なところ、あまり「楽しみ」という気持ちはこの山行には最初から無く、ただひとえに、次のステップに進むための越えなければならないハードルに臨むような思いだった。
そんな6日間について、これから綴っていく。
(「【1日目】 瑞牆山荘~金峰山~大弛小屋」編に続く)
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