14サミッターである竹内洋岳氏による、一般人向けの14プロジェクト完了の報告会が10月6日に銀座で行われた。(詳細)
なぜかここで竹内さんと絡むのが、サバイバル登山家の服部文祥さんという、僕にとって予想もしなかったような組み合わせに驚いて、思わず申し込んでしまったわけだ。1,800円也。
というわけで、生竹内さんを見れるワクワクに足取りも軽く会場入りした。
着いてみると、演台にはデカデカと画像が表示されている。(下の画像)
聴衆はほとんどが年配の男性・女性だが、若い世代もチラホラ見受けられる。
僕の後ろの席に年配の男女数人は、どうもどこかの同じ山岳会のメンバー同士で来ているようで、講演が始まるまでずーーーっと、「○○(人名)は定例に来ていない」とか「××(人名)は体力あるつもりかわからんが、ぜんぜん歩けない」とか「明日の大菩薩には誰が来るんだ?」とか、そんなことを大声で話し続けていた。
正直、うるさい。
開始時刻になると、司会の女性が本日のプログラムについて話し始めた。
その後、14座目となったダウラギリの登山の様子なども含めた映像が上映された。
映像で最も印象深かったのは、ダウラギリを下山する竹内さんを迎えに向かったケンローさんが7,000m付近で竹内さんを発見し、
「あれ、竹内さんですよ!竹内さんのフォームですよ!」
と叫ぶシーン。
下山のフォームって、そんなに人によって特徴が出るものなのだろうか。
その後に竹内さんの講演が始まった。
竹内さんは、すらりとした長い足に細身の白いパンツを履き、ジャケットを羽織って、スカーフを巻いた小洒落た出で立ちで現れた。
まずその口から発せられたのは、14プロジェクトの完了宣言。
なんと晴れやかな宣言であろうか。
続いて、これまでの14座をかいつまんで振り返る。
原風景としてのチベットと、初めての8,000m峰。
ラルフやガリンダとの出会い。
ガッシャブルムでの雪崩。そして翌年のリベンジ。
ガッシャブルムからそのまま連チャンで登ったブロードピーク。
そして、ダウラギリでのケンローさんの順化失敗と、下山時に迎えに来てもらったこと。
竹内さんはそれらを非常に軽妙な、てらいの無い穏やかな口調で語っていた。
随所で笑いが起こり、いつまで聞いていても飽きることの無いような、すばらしいトークだった。
トークの中で印象に残ったことが3点。
1点目。
ガッシャブルムでひどい大怪我を負った翌年に再びガッシャブルムに登った理由について、
「私の登山は自分で降りてくる登山ですから、(前の年のガッシャブルムでは)自分で降りてないですから、気持ち悪くて仕方なかったんですね」
と。
イモトアヤコさんの件があった直後のことだったので、非常に印象に残った。
2点目。
ガッシャブルムで命の危機に瀕して、それでも生き長らえたことについて、
「助けてくれたみんなから少しづつ貰った命」
という表現をしていたこと。
3点目。
登山についての一番楽しい瞬間について、
「どの山に行こうかなーと考えて計画しているときが一番楽しい。決めたあとはけっこう大変」
と話していたこと。
たっぱり、タスクが具体的になると、竹内さんほどの人でも大変なんだなーと。
また、やっぱり「どの山に行こうかなー」と考えているときが一番楽しいというのは、みんなそうなんだという再確認ができたことが、なんだかとても嬉しかった。
なお、この講演時点では、来年以降の登山計画はまだ秘密とのことだった。じらすねぇ。
第二部は、服部文祥さんとの対談。
どういう組み合わせなのかと思っていたら、一緒にK2に登った間柄だそうで、その際のルート工作ではザイルパートナーでもあったそうだ。
服部さんがK2に登頂したことがあるのは知っていたが、竹内さんと一緒だったとは。
服部さんはだいぶ小汚い格好をしていたので、竹内さんと並ぶとものすごいコントラストが生じていて、それもまたスゴイなぁと。
服部さんは毎度毎度のケレン味たっぷりなトークの仕方で、竹内さんの穏やかな語り口とのコントラストも、これまたスゴイなぁと。
トークの中身も、これまた対照的な感じの2人なのだが、その中で特に印象に残ったことを1点。
服部さんが
「山に行きたくないなー、って思うこと無いの? 明日もこの布団で寝たいなー、とか。」
と問うと、竹内さんが
「えー、嫌だったら行かなきゃいいのに」
と答えていたこと。
僕も山に行く前日は大概、「なんで山になんか行くんだろう。。。昼過ぎまで寝てたいなぁ」と毎回思うので、うっかり服部さんに共感してしまったのだ。
そんな服部さんは、この講演の翌日から北海道で猟銃を担いでサバイバル登山だそうで。
僕もこの日の2日後から6日間のテント泊縦走が控えていたので、そこでもまたちょっとだけシンパシーを感じた。
あっという間の2時間が過ぎ、講演は終了。
とても良い講演だった。
こんな講演なら、1,800円を何回でも払って、何回でも聴きたい。
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