このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年4月4日水曜日

井賀孝 『山をはしる―1200日間山伏の旅』

神保町の石井スポーツ登山本店にアルファ米を買いに行って、「入荷はずっと先」と言われてガックリした際に目に入ったのが『山をはしる―1200日間山伏の旅』。(アルファ米に関してはこちらを参照)





















「山をはしる」というからにはトレランの話かと思ったら、どうも表紙の様子がおかしい。
よくよく見てみたら「山伏の旅」とか書いてあるじゃないか。ちょうど今、自分がハマっているテーマ。
(山伏の山行についてはこちら。)
ということで即買いした。

読み始めてみると、冒頭の文体がちょっと嫌いなタイプであった。
これはハズレか?!と思いながら読み進めていくと、わりとすぐに文体が気にならなくなってきた。
文体そのものが正気になったというか、少なくとも冒頭の雰囲気とは異なって足腰のしっかりした文体になってきたというのが大きな理由だが、それとともに、彼が「行」に惹かれたキッカケや思いに強くシンパシーを感じたからだと思う。

本書は、大きくわけて、大峯奥駈道、羅臼山、越後三山、富士山の4つの山域に著者本人が行った話で構成されている。
このうち、修験道の行として入山したのが大峯奥駈道と越後三山、もっと広い意味での「行」として入山したのが羅臼山と富士山である。

全編を通していえるのは、登山そのものの話ではなく、そこで「行」を通して出会う人々に対する思いを綴った本である、ということか。
おそらく著者は、人間が好きで、その人間を通して見たときの畏怖されるべき山が好きなのではないかと、僕は想像するのである。

非常に印象深い逸話がたくさん散りばめられており、読んでいて全く飽きるポイントが存在しなかった。スピーディでパワフルで、ぐいぐい読ませる。

特にその中の1つ、冬の富士登山の際にピッケルが氷の斜面に刺さらず進退窮まった話は、他山の石として充分に心に刻まなければならないことだ。


とりあえず、今年か来年の海の日の三連休に、越後三山に行ってみよう。


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追記:
著者名を誤って記載しておりました。
訂正させていただきますとともに、関係者の皆様には深くお詫び申し上げます。



3 件のコメント:

  1. 亜紀書房で井賀孝さんの上記新刊を編集しました者です。石井スポーツさんでのお買い上げ、そして早速のご通読ありがとうございます! 
    修験道と現代登山は、一見遠く離れた世界のようにも映りますが、そこに山と人がいる、ということに変わりはありません。鋭く、また深い読み込みをしていただき、感謝いたします。

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  2. このコメントは投稿者によって削除されました。

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  3. goddy様
    素人の勝手な戯言に大変丁寧なコメントをいただきまして、恐縮至極です。
    著者名の誤記につきまして、誠に申し訳ありません。訂正して、お詫び申し上げます。

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