このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2013年2月11日月曜日

山行記 : 2013年2月9~10日 西穂独標(敗退) 1日目 西穂山荘まで


(この記事は「計画概要」編の続きです。)


僕は仕事の関係で福岡に出張することが多い。
なので、福岡行きの飛行機には頻繁に乗っているのだが、最近、新宿発7:00のスーパーあずさ1号に乗るのもそれと同じぐらいの頻度になってきた。

そんな日の朝は、やっぱり早い。
山の朝より早い。

というわけで、2月9日の朝も例に漏れず、5時前には起きて出発準備に取り掛かったわけだ。

そして、気付けば新宿7:00発のスーパーあずさ1号で松本に到着。
松本駅前にあるバスターミナルの10番乗り場から、新穂高行きのバスに乗る。

この場所の気温は、手元の温度計で0℃をやや下回っていた。
寒い・・・。

そして、10:25、バスが出発する。
出発早々、バスの車窓からは、青い空をバックに白く雪をかぶった常念岳のまばゆい姿が目に飛び込んでくる。

なんという快晴。
これは期待できそうだ!

そのまま揺られること2時間、新穂高ロープウェイ到着。
登山者たちがズラズラとロープウェイの駅に吸い込まれていく。

笠ヶ岳方面のどっかの稜線も見える。

ロープウェイの客の半分は登山者、半分は観光客といったところか。

第1ロープウェイから第二ロープウェイへの乗り換えは、いったん外の道を歩く。

この道には人工芝が敷き詰められており、普通の靴で訪れた観光客でも滑らないように配慮されている。流石だ。

第2ロープウェイから外を見ていると、なんだか次第にガスが濃くなってくるのが分かった。
ガスの切れ間から槍穂の稜線が見え隠れするという状況になってきた。
さっきまでの快晴はなんだったんだ?

それでも、かろうじて槍ヶ岳の姿は写真に収めた。
写真下部の黒い帯は、ロープウェイのゴンドラの窓枠だ。

13:40、第2ロープウェイの駅を出ると、そこは雪の回廊だった。

穂高の稜線は、ガスがどんどん濃くなっていく。

ここから西穂山荘に向かって歩き出す。
雪の回廊はまだ登山者ではない観光客もいる。その回廊が途切れるところまでほんの5分だが、これはこれで見る価値のある風景ではなかろうか。

回廊を抜けると登山道が始まる。

今回は山荘までキックステップで歩くつもりなので、アイゼンは着けていない。
トレースはばっちりついているものの、ふかふかサラサラの雪の感触が足の裏に伝わってきて気持ちいい。

燕岳の合戦尾根とはまた趣の異なる、きれいな登山道だ。

テンションが上がらないわけがない。

このルートは、夏の登山道とは違うところに付けられているようで、ルートを誘導する赤い布のついた竿が立てられている。
ありがたい。

このルートからは、槍穂を始め、北アルプス南部の山々が見えるのだが、どうもガスってしまって、ガスの隙間からしか見通すことができない。
そんななかでの奇跡の1枚。
うーん、撮ったはいいけど、どの山だろう・・・。
涸沢岳あたりだろうか。

14:48、小屋が見えてきた。
あれ、こんなところに・・・?
まだ1時間しか歩いてないんだけど、西穂山荘ってこんなに近かった??

いぶかしみながら近づいていくと、小屋の向こうにテント村が見えた。

あ、やっぱりこの小屋は西穂山荘だ!

山荘の前には巨大な雪だるまも。
僕の中では、この雪だるまの名前は「ニシホくん」に決定。

上の写真は別館で、登山道を登ってきた時に最初に目に入ったのが本館の模様。
とりあえず、入口を入って受付を済ませる。

居室はこんな感じ。
居室内での飲食・喫煙は禁止とのこと。

乾燥室と食堂は本館にある。

乾燥室。

食堂。

食堂前には書架がある。『島耕作』が全巻あるそうだ。

夕飯は18時からなのだが、それまでどこに居ようか迷った挙句、入口入ってすぐのレストルームで過ごすことにした。
食堂も居室も静か過ぎて嫌だったのだ。

レストルームは土間になっており、テント泊の人たちにも解放されている。
ただ、場所が入口入ってすぐなので、戸が開け閉めされるたびに冷気が入ってきてジワジワと寒い。

ここで持参したコーヒーを飲みながら読書をしていたのだが、レストルームにいる人たちが、窓の外を見て急にざわつき出した。
何事かと思って外を見ると、なんと、先程まで濃いガスのために全く展望の効かなかった景色が一変し、美しい景色が広がっていたのだ。

僕はレストルームのサンダル履きと素手のままで慌てて飛び出して、写真を撮りまくった。

テント場越しの六百山と霞沢岳。

丸山への取り付きとニシホくん。

だが、すぐにガスが再びたちこめてきて、山の姿は見えなくなる。
そして、僕の手も寒さで痛くなってしまった。
あわててレストルームに逃げ帰る。

というようなことを何度か繰り返して、西穂山荘からの景色を満喫した。

たぶん明神岳のほう。

傾いた日差しと雲海。

凍てつく樹木。

次第に陽の傾きも大きくなり、影も長くなる。

西穂山荘のトイレ越しに焼山。

これらの写真は、1度に撮影したのではなく、ガスってきたらレストルームに引き返し、晴れてきたらまた小屋から飛び出して、というのを繰り返して撮影した。
その間中、僕はずっとサンダル履き。
なかには丸山の取り付きに登って、笠ヶ岳方面を撮影している人たちもいた。
僕は登山靴に履き替えるのが面倒だったのと、翌日の晴天を信じて疑わなかったので、小屋の前をサンダル履きでウロウロしていただけだった。

次第に夕日に照らされて、赤味を帯びていく霞沢岳。

そして夕暮れ。

いいものを見させてもらった。
これだから冬山はやめられない。

その後しばらくして、夕食のアナウンスがされる。

食堂では、同じテーブルの方々と山の話に花を咲かせる。

夕食後、外に出てみると非常にキレイな星空。
これはやっぱり明日晴れるんじゃないか?

星空は写真に収められなかったが、せっかくなのでテント場のほうを撮影してみた。

その後、レストルームにて、山小屋のスタッフさん(オーナーだったかもしれない)からのお天気概況のブリーフィングがあった。
なんと、予報によると明日は吹雪。天気が良いのは今晩までとのこと。My God!!!
天気図を見せてもらったが、たしかにこれじゃ天気が荒れてもしかたない模様・・・。

落胆しつつ、ビールを飲んで就寝。。。。



(「2日目 残念な敗退と下山」編に続く)


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