このブログで紹介している登山ルートの状況は、現在の当該ルートの状況を保証するものではありません。
山行に先立っては、必ずご自身での情報収集を怠らず、安全な計画を心がけてください。

2012年9月26日水曜日

山行記 : 2012年9月15日~ 八ヶ岳全山縦走 【2日目その2】 縞枯山荘の夜

(この記事は「【2日目】 赤岳天望荘~縞枯山荘」編の続きです)


縞枯山荘は冬季も営業している貴重な通年小屋だ。
その特徴的な三角屋根は、ザ・山小屋という感じ。

その縞枯山荘に到着して、ヘトヘトの状態で宿泊手続きを済ませ、案内された部屋は3階。
ここにも山があったか。。。

2階はどうやら個室のようだ。この個室に1人で泊まる勇気は無いな・・・。

3階に到着してみると、すでに先客がいた。
60歳ぐらいの男性の登山者で、聞けば僕と同じように八ヶ岳全山縦走中だそうだ。
ただ、僕と違うのは、3泊4日のスケジュールなのと、観音平からではなく小淵沢駅から歩いているということ。
 その男性と、キレット小屋の先にあった崖の話で盛り上がる。やはり怖かったそうだ。僕だけがヘタレなんじゃないと分かり、ほっとする。

小屋番さんの案内によると今日の宿泊者は全部で11名。非常に空いていた。
おかげで大部屋が広々使える。

大部屋には2枚の張り紙が。


飲食することと命とにどのような関わりがあるかは明記されていないが、煮炊きをするなということだと理解。



布団を干すことと、指定以外の布団を使うことにどのような関わりがあるかは明記されていないが、「せっかくちゃんと干してあるんだから、未着の人の分まで荒らすな」ということだと理解。

着替えをして、明日の行程を検討する。
こんなヘトヘトでは、明日、北横岳、大岳、双子山を経由しての蓼科山行きは、ちょっと難しいのではないか。
思えば、昨日といい今日といい、「山のディズニーランド」として八ヶ岳を舐めていたのではあるまいか。

考えているうちに、夕飯の時刻となった。



おいしい夕飯だった。
もちろんご飯はおかわりをいただく。

夕飯後は、1階の広間で読書。

ふと気が向いて、外に出てみる。見事な星空だった。
が、目の前の笹薮からクマが出てきそうで怖かったので、早々に山荘に戻る。


縞枯山荘の大部屋には照明が無い。
このため、そもそも消灯時間という概念が無く、 寝床で本を読むという行為もOKなのかどうか微妙なところだ。
どうするか迷った挙句、もう寝てしまうことにした。疲れてるし。


ちなみに、トイレの照明には電気が使われており、快適だった。


(「【3日目】 縞枯山荘~蓼科山~下山」編つづく)

山行記 : 2012年9月15日~ 八ヶ岳全山縦走 【2日目】 赤岳天望荘~縞枯山荘

(この記事は「【1日目その2】 赤岳天望荘の夜」編の続きです。)


山の朝は早い。
前の夜に散々泣き言を手帳に書いたが、寝て起きたら立ち直っていた。年の割にはなかなかの回復力ではないか。
待ってろよ、縞枯山荘。
そう、この日の目的地は縞枯山荘である。コースタイム的には10時間弱。舐めていたら痛い目に遭う。


この日の朝食は5:40から。

今日の行程もなかなか長いので、朝食を食べたら早々に出発しなければならない。

というわけで、朝食前に身支度をする。
ついでに、せっかくなので御来光を見てみる。

日の出前、尾根の東側も西側も、きれいな雲海に覆われている。


赤岳の横には、遠くに富士山が見えた。



やっぱり富士山が見えると得した気分になる。東北出身者の悲しい性かもしれない。


そして御来光。


地平線が雲に覆われていたので、本来の日の出時刻よりもやや遅れての登場だ。

そして、朝焼けに照らされる赤岳。


あんまり赤くならなかった。
朝焼けにも赤くならないくせに赤岳って名乗ってるのか、この山は。(と言いがかりをつけてみる。)

一方、北アルプスの山々は見事に赤くなっていた。


ひとしきり眺望を楽しんだら朝ごはんの時間になった。

食欲が無いので軽めに済ませる。


食事が済んだら、ちゃんとトイレに行って、いよいよ出発だ。
ちなみに、赤岳天望荘のトイレは簡易水洗で、非常にキレイだ。

6:08、出発。
さっきまで赤くなっていた北アルプスの山々も、すでに爽やかな青色になっている。


赤岳天望荘を出てすぐに地蔵の頭の分岐に到着。


エスケープするならここから地蔵尾根を下っていくのが最高なのだが、もう腹を括っていたので迷わず横岳へ向かう。

山と高原地図によれば、この先、横岳の向こう側ぐらいまで難所っぽいワードがずらりと並んでいるのだが、いったいどんなところなのだろうか。
なにせ、昨日コテンパンにやられた崖が「ルンゼ状 落石注意」で済まされているのだから、よほどの難所が続くに違いない。まさにキンタマが縮む思いである。

まず、最初に現れるのがここ。


ここが二十三夜峰?
また岩登りかと思いきや、あっても大した高度ではなく、非常にライト。

振り返れば赤岳。


そして、まだまだ富士山も見える。


さらに標高を上げると、赤岳がよりカッコ良く見える。


地蔵の頭から三叉峰まではいくつもの岩のピークがあるのだが、もはや写真で振り返ってもどれがどれやら分からない。

というわけで、とりあえず順番に貼っていくことにします。




そして、たぶんこれが石尊峰のピーク。


北側の尾根を見ると、まだまだ岩のエッジが続いている。


ここまでのところ、普段だったらなかなかハードに感じたかもしれないが、昨日のこともあり、感覚が麻痺してしまっていた。恐怖は全く感じない。

6:56、三叉峰到着。



ここまで来ると、横岳がかなり近くに見える。奥に見えるのは台座の頭?


あとは粛々と尾根道を辿る。

横岳の手前のピーク。


遠くの北アルプスまで見渡せる快晴。


得した気分だが、暑い。

さして苦労することもなく、ついに横岳の山頂へのハシゴへ。


このハシゴを登り、7:09、横岳山頂到着。


さっさと次のピークへ。


ここからいよいよカニの横ばい。


7:16、カニの横ばいに突入。


全く怖さを感じず。
足元もしっかりしてるし、怖さを感じる理由が見つからない。
感覚が麻痺してるかも。

その先でハシゴを下りて、再び稜線に出る。


いよいよ硫黄岳が見えてきた。

登山道沿いにシカよけの柵が張られている。


こんなところにもシカの食害が広がっているのか。。。
クマの被害なんかよりもよほど深刻だ。

シカよけの柵が途切れるあたりで、硫黄岳山荘が見えてくる。


7:42、硫黄岳山荘到着。


硫黄岳山荘でトイレを借りる。
このトイレが凄まじく立派でキレイ。
トイレがすべて白木作りで、トイレ全体が木の香りで包まれている。悪臭がするとかしないとかのレベルではない。
しかも、簡易ではない、ちゃんとした水洗トイレ。
さらに、僕は張り紙でしか見れていないが、女性用のトイレはウォシュレットがついているようだ。
上の写真からは想像のつかない立派さだ。

用を足した後に売店でペットボトルのお茶を購入して、再び出発。

硫黄岳は山頂付近への登山道が無い。


この画像でいうと、地平線の真ん中あたりが山頂なのだが、登山道は左に向かっている。
僕は、登山道に沿って左の方へ進んだ。

この登山道は、山と高原地図によると
「7つのケルンに導かれて進む」
と書いてある。
なんだろう??と思っていたら、本当にケルンが登山道に沿って立てられていた。


せっかくなので、導かれて登ってみる。
晴れていたから良かったようなものの、これがガスっていたら、そのまま彼岸に導かれてしまうのじゃないかと思うような風景だ。

南方を見ると、南八ヶ岳の山々。


ケルンに導かれて登ってみると、地図上の頂上とは異なるところに「頂上」の標識が立っていた。



東には爆裂火口の絶壁。


北には北八ヶ岳の山々。


山頂の標識が立っている石だらけの広いピークには、分岐の標識も。


標識が示す夏沢峠が次の目標。
この広いピークの北側にある登山道を降りる。


写真下部が登山道。向こうには北八ヶ岳の山々。
これまで歩いてきた南八ヶ岳の山々とは、やはり顔つきが違う。

このまま一気に標高を下げていく。

下っていくと、向かう先にヒュッテ夏沢と山びこ荘の屋根が見える。あそこが夏沢峠だ。


夏沢峠のすぐ手前で、崖沿いの登山道が崩落しかかっていて迂回路が設定されていた。
その迂回路の入口を夏沢峠側から撮影したのが下の画像。


この程度の場所を危険箇所として迂回路としているのを見ると、南八ヶ岳のいろんなところを迂回路にしたほうがいいんじゃねぇか?と思うところだが、きっとこのあたりを歩く人はこんな道でも滑落するのだろう。

8:47、夏沢峠到着。


ここには2軒の山小屋が建っている。
1軒が山びこ荘。


この山びこ荘は、屋根裏にヤマネとモモンガが住んでいることで有名で、山荘に案内板が掲示されている。


ヤマネもモモンガも夜行性なので、この時間に見ることはできない。
見たければ山びこ荘に泊まらなきゃならないという仕組み。

ここでまた、ペットボトルのお茶を買った。
売店には、ヤマネとモモンガの餌代の募金箱が置いてあったので100円投入する。
ご主人が「次は是非泊まりにきてください」というので、そのつもりである旨を返答する。

もう1軒の山小屋がヒュッテ夏沢だ。


こちらは団体客(学校登山とか)専用の山小屋なので、この日は開いていなかった。

その隣には風力発電用の風車が立っている。


開けた峠から、再び樹林帯に入る。


このあたりから次第に立ち枯れして白くなっている樹木が目につくようになってくる。
空はあくまでも青い。


ふと足元に視線を落とすと、泥に獣の足跡が。


ヌタ場(動物の泥浴びの場所)ではなさそうだけれども、ずいぶんウロウロした様子が伺われる。
イノシシなのか、シカなのか。
やっぱり生き物の気配が濃いなぁ。

箕冠山のピークに向かって標高を上げていくと、次第に視界が開けてくる。

来し方には硫黄岳の絶壁。


前方には根石岳と東西の天狗岳。


9:38、箕冠山のピークに登山道が最も近づく地点に到着。


ピークはヤブの中のようだが、あんまり興味が無いのでそのまま登山道を進む。

このあと2分で樹林帯を抜け、根石岳が目の前にドーンと現れる。


基部には根石山荘へ誘導する看板が。


肝心の山荘本体は、一段低いところに建てられているので、あんまりよく見えない。


砂漠のトーチカみたいだ。
急いでいるのでこのままスルー。

見事に視界が開けているので、下界も見える。
画像は、たぶん、茅野の街。


根石岳は、下の方はザレていて、上の方は岩っぽい。

9:50、根石岳山頂到着。


山頂から南の眺望。


北側には東天狗岳。


東天狗岳の西には西天狗岳。


根石岳を下ると、天狗岳との鞍部に白砂新道への分岐がある。


実際、このあたりは白い砂に覆われていて、日光が反射して眩しすぎる。


鞍部から見た根石岳はこんな感じ。


東天狗岳をぐいぐい登って、山頂手前のピークを通過。


東天狗岳の山頂にたくさんの人が立っているのがハッキリと分かる。

10:16、東天狗岳山頂に到着。


残念ながら、スケジュールの都合上、西天狗岳に行く暇は無い。
このまま中山峠を目指す。

東天狗岳山頂直下に、西天狗と中山峠のそれぞれに向かう分岐がある。


向かって左に行くと西天狗岳。中山峠方面には、右の岩稜帯を降りる。

この分岐からは、黒百合ヒュッテも見える。


岩稜帯に、天狗の奥庭を経由して黒百合ヒュッテへ向かうルートとの分岐がある。


残念ながら、黒百合ヒュッテを経由すると時間が余計にかかってしまうので、中山峠に直行することにする。
黒百合ヒュッテにはまた次の機会に行きたいと思う。

中山峠に向かって先を急ぐと、東側の展望が開け、にゅうの崖が見える。


残念ながら、にゅうも今回のルートには入っていない。
遠くから鑑賞するのが精一杯だ。

どんどん下っていくと、年配の女性が何やら叫んでいるのが目に入った。
何事かと思ったら、そこにヒカリゴケを見つけたというのである。

ヒカリゴケといえば、武田泰淳の小説しか知らない文系脳の自分だが、歩を止めて見てみると、石の下のわずかなスペースに、蛍光緑に光る物体があった。これがヒカリゴケか!


ヒカリゴケって、本当に光るんだ!
自然ってすげーな、と、素直に喜んでみた。教えてくれたオバチャン、ありがとー!

道は次第に樹林が濃くなり、ジメジメしはじめる。


11:05、中山峠に到着。


分岐の道標もアリ。


黒百合ヒュッテを見てみたかったが、断腸の思いで直進。中山へと向かう。

11:12、にゅうと中山の分岐の手前に、山と高原地図にも載っていない「見晴し台」なる場所が現れる。


たしかに見晴らしは良い。天狗岳やら硫黄岳やらがしっかり見えた。


このあと、このすぐ先の登山道脇で、ちょっと怖いものを見つけた。


樹木の皮を剥いだ跡。しかも比較的新しい。
こんなことをするのは、人間を除けばクマとシカぐらいだが、シカにしては歯で擦ったような跡ではない。鋭い引っかき傷のような跡がある。
ということは、クマしかいないではないか・・・。やっぱり北八ヶ岳には居るんだよ、ヤツが。
怖い、マジで怖い。特に、八ヶ岳みたいな半分観光地のような場所のクマはホントに怖い。
思わず、腰にぶら下げたクマ避けスプレーを手で探って確かめてしまった。

11:19、中山とにゅうの分岐点に到着。


ここからは中山へ直登である。(といっても大した登りではないが。)
北八ヶ岳らしいジメっとした樹林帯をトボトボと登る。


乾いていない泥には、シカの足跡。


このシカと関係があるのかは知らないが、立ち枯れの樹木も目立つ。


こんな風景の中を、ジリジリと登る。
が、いいかげん腹が減ってきた。軽くシャリバテのような状態になって力が湧いてこない。

中山の頂上のすぐ手前の見晴らしの良い場所で停滞し、軽くメシを食う。


ふと横を見ると、獣道。


5分ほどの停滞の後に出発。
その30秒後、11:42、中山山頂に到着。


展望もなにも無いどころか、道端に標識が立っているだけ。
その5分先に展望台がある。


広々とした場所で、多くの人が休憩していた。


僕はさっき休んだばかりなので先を急ぐ。

中山の展望台から高見石小屋への道は、北斜面の上に樹林帯なので、全然地面が乾いていない。しかも岩が多い。
だから、必然的にすごく滑る。とても怖い。


このため、コースタイムを大幅にオーバーしてしまう。
滑る岩は心の底からキライ。だから沢もやらないのだ。

12:37、高見石小屋に到着。


ものすごい数の家族連れがアウトドアランチを楽しんでいた。
なんだここは。山じゃないのか??

何はともあれ、ここで休憩を取る。

高見石小屋の売店。


そしてテラス席。


まずはコケモモジュース。


甘酸っぱくて疲れた体にグイグイくる味。
さらにコーヒーを頼んで、軽く昼飯を食う。


このテラスは心地よい日向で、もはや自分が登山の最中であることを忘れさせるほどにバカンス気分になれる。
目の前の広場を家族連れの小さな子供が走りまわり、人々の装備はことごとくピクニックのそれだ。
もうこのまま下山してしまいたいという欲望に駆られる。
誰かがここで「よく頑張った」って言ってくれたら、本当に下山しちゃったかもしれない。

ウジウジ考えているうちに、20分も停滞してしまった。もう出発しよう。

その前に、高見石を見に行く。
高見石は小屋の裏にある。


まー、見晴らしの良い岩、というところだろうか。

13:00、荷物を背負って再び出発。
次は、丸山を経て麦草峠に向かう。

丸山への登山道は自然散策路のような感じなのか、小さい子供を連れた家族連れとよくすれ違う。


13:16、丸山山頂に到着。


ここからまた、北側のジメジメした滑りやすい斜面を下る。


ジメジメしているだけあって、北八ヶ岳らしいコケの絨毯。

13:52、麦草峠に到着。


麦草ヒュッテ。


麦草峠には思いっきり車道(その名もメルヘン街道!!)が通っていて、自動車で来れる。
この文明の利器を見て、また下山したくなる。
ここにはタクシー乗り場もバス停もある。バスに乗れば茅野駅まで連れてってくれるのだ。

麦草ヒュッテでペットボトルのコーラを買って一休み。
心が折れかけているので、なかなか腰が上がらない。

ちなみに、麦草峠はこんなにも文明の匂いがするのに、auもソフトバンクも見事に圏外。
電話を使いたい場合は、麦草ヒュッテの衛星電話回線を利用する公衆電話を利用しなくてはならない。
この公衆電話を使って、本日の宿である縞枯山荘に到着予定時刻を連絡した。16時を過ぎそうだったからね。

14:00、再び歩き出す。
車道の向こうに登山道があるので、メルヘン街道横断!


一度下界の空気に触れてしまうと、後ろ髪を引かれる思いがハンパなく強くなる。
麦草峠で見たバス停への思いが断ち切れないままに茶臼岳に向かう。

登山道を入ると、まもなく沼だか池だかが見えてくる。


半分ぐらい干上がっている。
水不足なんだろうか。

この沼だか池だかの向こうに、第一の分岐。


地図上では、ここから先は大石峠まで分岐は無いはずなのだが、どうもこのあたりは散策路が張り巡らされており、へんな分岐が2箇所ほどあって戸惑った。

14:21、大石峠に到着。



分岐を右に進む。

14:37、茶臼山の手前の小ピークに到着。


中小場というピークらしい。変な名前。

もうここまででヘトヘトなのに、あの見上げた先の茶臼山を超えて、さらに縞枯山も超えないと、今日の宿にたどり着けないのかと思うと、目眩がしてくる。

ここからは、茶臼山までほぼ一本調子の登り道。
シャリバテなのか、心が折れているからなのか、体に力が入らない。
道端の石に座り込んでいると、茶臼山の山頂方面から4人組の山ガールが下りてきた。

元気に挨拶をする山ガール。
力なく応じる自分。
話しかけてくる山ガール。

山ガール(以下、「山」)「今日は麦草峠から来られたんですか?」
僕「いえ、赤岳から・・・」
山「え」
僕「昨日、八ヶ岳の一番南から入って、全山縦走中なんです」
山「えー! すごーい!」
僕「いえ、もう心の底から後悔してます。こんなことするんじゃなかった・・・。もう下山したい気持ちでいっぱいです」
山「えー、がんばってくださいよ! もうすぐ頂上です! おしゃべりしながら降りてこれたぐらいの道なんで!」
僕「はうー、、、がんばります。。。ありがとうございます。」
山「展望台の眺めもすごく良かったですよ!」
僕「じゃあ、それを心の支えにがんばります。。。」

と、こんな感じでひとしきり山ガールに泣き言を言い、元気づけられ、重い腰を上げて再び登り始めた。4人の山ガールが天使に見えた。

そんな天使、いや、山ガールと別れて約10分後、15:07、茶臼山山頂に到着。


山頂からすぐのところに、山ガールたちの言っていた展望台があるのだが、精根尽き果てスケジュール的にも休憩している暇が無い状態だったので、そのまま縞枯山へ向かった。
ゴメンナサイ!>山ガール

縞枯山へは、茶臼山の北斜面を下りてから登る。
斜面は比較的なだらか。

鞍部を越えてしばらくすると、前方に急に開けた場所があるように見えた。
もしかしたら、縞枯山の山頂か?!
と思ってたどり着くと、なんてことないただの道端だったりする。無駄に標識なんか立っていたり。



そんなことを3回繰り返し、その都度心を折られながら、15:39、縞枯山山頂のに到着。



縞枯山は、樹木の枯れているが縞々に見えたためにその名がついたようだが、縞々なら中山だって十分立派な(?)縞々だったけどなー。

山頂には、一人の男性登山者が座って休憩していた。なんでも、いまから双子池のテント場まで行くという。今からじゃ、到着時にはもう暗くなっているのではないかと思いながら、健闘を祈って別れた。

縞枯山を下山し始めてしばらくすると、今度は登ってくる年配の女性と出会った。
こんな時間からどこに向かおうというのだろうか。
聞くと、今から麦草ヒュッテに向かうとのこと。
「今から行くのは危険でしょうか」
と尋ねられたが、正直なところなんとも言えない。多少暗くなっても、ヘッドライトさえあれば迷うような道ではないと思うけれど、この女性の判断力や体力がどの程度なのかもよく分からないままには、答えようがなかった。
ご無事を祈りつつ別れる。

16:03、雨池峠に到着。


ここまでくれば、今晩の宿である縞枯山荘は目と鼻の先である。
雨池峠からは西へ進路を取る。すぐに木道が現れる。


16:08、ついに縞枯山荘に到着。


つらかった。本当につらかった。

ヘトヘトで、転がり込むようにして縞枯山荘にチェックイン。


(「【2日目その2】 縞枯山荘の夜」編につづく)